健康予防医療コラム ~がん~
紫外線の効果
紫外線には皮膚以外のがんを減らす効果がある?
「紫外線は皮膚がんの原因になり、皮膚の老化を促進する」といわれてきましたが、逆に、紫外線が不足すると他のがんになる危険があるという研究結果を、アメリカのWilliam Grantがもっとも権威のある雑誌Cancer(がん)に報告しました。
皮膚がんの原因になるのは主に紫外線Bですが、その紫外線Bのアメリカの500地域の被爆量を調べ、さらに、がんの原因となる他の要因を補正した上で、白人のがんの死亡率を比較したところ、膀胱がん、乳がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、食道がん、直腸がん、および胃がんによる死亡率は、紫外線被爆量の多い地域のほうが低い(北部の死亡率はは南部の2倍)という報告です。さらに、紫外線による皮膚がんの死亡数増加より紫外線不足による他のがんの死亡増加のほうが数倍は多いとしています。日本人は白人より紫外線で皮膚がんになる危険は低いことを考慮すると、紫外線の害より、効果を重視したほうがよいかもしれません。無論、紫外線にあたりすぎることは避けるべきでしょうが。
監修:生山 匡 先生
掲載日:2006年08月15日