健康予防医療コラム ~がん~

葉酸塩(ビタミンB9 )は大腸がんの予防に有効

信頼できる手法を用いた研究の成果が集積されてきた

 研究の方法は色々あり、もっとも安易で信頼できないのは、専門家と称する権威者の何の裏づけもない「効果あり」という一言です。
 研究の方法が難しい、たとえば研究に時間がかかる、費用が多く必要、対象者の数が多い、そうした研究は一般的に信頼できる研究です。コホート調査はもっとも信頼できる調査研究ですが、その方法は、数万人といった多くの人の生活習慣や病歴などをまず最初に調査して、その後何年間も調査を追跡して、その間にある病気になった人が、調査開始時にどのような生活をしていたかを分析し、病気との間連を明らかにする、それがコホート研究です。そのコホート調査によって、ビタミンBの一種葉酸塩には大腸がんを予防する効果があるとの研究が相次いで発表されました。
 30〜55歳の女性看護師8万8756人を15年間追跡調査し、葉酸塩のサプリメントを摂取していた人の大腸がんの発生数が低かったという結果を1998年にE.Giovannciが報告し、その後、42〜61歳の女性5万6837人を対象として1982年から追跡調査し、やはり、葉酸塩には大腸がんを予防する効果が認められたという結果をカナダのPaul Terry博士らが報告しました。
 男性はどうか、サプリメントと食べ物に含まれている葉酸塩では効果が異なるのかといった課題は残っていますが、葉酸塩は、緑黄色野菜や色の濃い果物、豆類などに豊富に含まれているので、多く摂取することが推奨されます。

監修:生山 匡 先生
掲載日:2004年12月01日

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