健康予防医療コラム ~糖尿病~

遺伝情報と健康づくり

 21世紀の健康づくりは、明らかになった遺伝情報を基に、個人の遺伝子に対応した薬やサプリメントを処方される日が来るでしょう。

 女子栄養大学の香川靖雄教授は、(社)日本栄養・食糧学会の主催でおこなわれた「脂質栄養と健康増進」というシンポジウムで特別講演をしました。この中で、健康食品は、個人や目的に応じて使用するべきであると提案しました。
 香川教授によると、最近、医学の分野ではEBM(科学的根拠に基づいた医療)という言葉が盛んに使われていますが、EBMはあくまでも平均を指すものであり、個々人に当てはめるには無理があるとのこと。例えば、よく効く薬と言われているものでも、その人の体質によって効き目が違っていて、副作用のほうが強く出る場合もあります。
 これらの相違は遺伝子の違いによって起こると考えられ、本当の意味でのEBMとはこのように異なる個人個人に合わせた医療が行われることをいうものです。また、日本人の多くは低脂肪食に順応できるための「飢餓耐性遺伝子」をもっていますが、最近の日本人の糖尿病や肥満の増加は、これらの遺伝体質を理解しないまま脂質を摂りすぎることや運動不足が原因であろうとのことです。
 これからの健康づくりは、生活習慣病を予防し、更に健康増進を図るためにも、遺伝情報の更なる解明とともに、個人差に合わせた薬やサプリメントの使用が必要になるでしょう。

監修:斎藤 保健師
掲載日:2007年01月01日

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