健康予防医療コラム ~歯の健康~

ストレスと虫歯

 ひとくちにストレスと言っても千差万別ですが、ストレスによって虫歯や歯周病になることがわかっています。

 成人の歯は上下合わせて28本ありますが、日本では55歳を過ぎると急激に歯が抜けて(喪失歯が増えるといいます)、60歳では12本、70歳では20本も歯が抜け、80歳ではなんとわずか4本しか自分の歯が残っていません。一方、アメリカ人は80歳でも日本人の60歳と同じような歯の状態を保っています。
 東京医科歯科大の志村則夫助教授は、唾液中には細菌の働きを抑える免疫物質や抗体が含まれていて、唾液分泌の減少は虫歯や歯周病になる危険を高めるため、極端な言い方をすれば、一生懸命歯磨きをしても虫歯をなくす効果は薄いと考えています。唾液は耳下腺、舌下腺、顎下腺から1日1リットル分泌され、消化を助けるアミラーゼなどの酵素が含まれていて、ベルオキシターゼという酵素には抗菌作用があり歯を保護しています。ストレスが強くなると副腎皮質ホルモンの分泌が盛んになり、唾液中の濃度も高まりますが、このホルモンが白血球の働きを抑制するため、虫歯や歯周病を進行させてしまうという結果になります。
 志村助教授は、「虫歯は本来、その人がどのような生活を送っているかという大きな視点から考えるべきこと。虫歯も歯周病も生活習慣病です」と明言しています。

監修:斎藤 保健師
掲載日:2006年10月15日

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