健康予防医療コラム ~アルコール~
酒好きの急性膵炎
急性膵炎は食生活の欧米化やアルコールの摂取増加によって、最近増加しています。
急性膵炎では膵臓の機能が障害されて、膵臓の酵素(リパーゼ、ホスホリパーゼ、エラスターゼなど)が膵臓の細胞組織に漏れ出して膵臓の自己消化を起こします。そのために、膵臓実質細胞の破壊、脂肪の壊死、膵臓出血などの症状をきたします。また、肝臓、腎臓、心臓などにも合併症が起こり死亡率は30%にも及ぶ大変重篤な病気で、重症急性膵炎は難病にも指定されています。
症状は、急にみぞおちから背中にかけて激しい腹痛が起こり、この腹痛は発生時から徐々に強くなって持続した激痛となります。特に、飲酒、暴飲暴食、脂肪の多い食事の後に起こり吐き気や嘔吐も伴います。症状が軽い場合は数日で痛みはとれますが、胆道感染を起こすと重症になります。
原因は胆石症、胆道炎などが20%、大酒飲みが40%、その他手術後に発症するなどです。アルコールの摂取では、胃酸の分泌を促進させるため消化管ホルモンの作用を介して、膵臓の分泌機能が亢進し膵炎が起こると言われています。特に、30〜50歳代に多く女性は胆石症、男性はアルコールによる場合が多くみられます。
最も新しい治療法は、東北大医学部外科の武田和憲助教授の考案した「膵臓酵素阻害剤の動脈注入法」で、足の付け根にある大腿動脈から細い管を入れて膵臓の炎症部分に5日〜1週間持続して薬を注入します。この方法で、死亡率が大幅に改善されました。
監修:斎藤 保健師
掲載日:2006年09月15日