健康予防医療コラム ~休養・心の健康~
体と心のバランスを大切にしましょう!
「一病息災」という言葉があります。広辞苑によると「持病が一つくらいある方が、無病の人よりも健康に注意し、かえって長生きであるということ」とあります。
身の回りにも、いつも「ここが痛い」「あそこの調子が悪い」といっていながら、実際には、入院もせず、持病以外については、調子もそれほどわるくなく過ごしている人がいる反面、「薬なんか飲んだことない」「病気らしい病気はしたことがない」という人が、突然倒れたりという事実に出会うと、「一病息災」という言葉を思い出します。
一番よいのは、「持病もなく、健康に留意して長生きする」ことなのでしょうが、人間は、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の喩えもあるように、辛い思いをしているときには、がんばっても、少し楽になると、注意を怠るという傾向があります。ですから、一病息災というのは、人間のありようを見事に言い当てている言葉かもしれません。
長期の入院から回復して退院したとき、病院の玄関を出てホッとした人は、健康のありがたさをしみじみ感じるでしょう。マスコミ報道や、知り合いの人の病気のニュースを聞いたとき、闘病記などを読んだときには、「健康に注意しなければ…」と思うのですが、常に365日、食事、運動、生活習慣を整えて生活するということは、なかなか難しく感じる人も多いのではないでしょうか。そうです、この「毎日」「ずっと」ということが難しいのです。「今日中にこの仕事を仕上げなければ…」「世話になった人の誘いだから断れないな…飲みに行くか」「何となく面倒くさくて、寝る前のストレッチも三日坊主」「美味しそうなもの見ると、いっぱい食べたくなっちゃって…」などと、まわりの誘惑や要請、そして怠け癖などが、食事、運動、生活習慣のバランスを少しずつ崩していきます。
つまり、「健康を保つ」ということは、「自分がどのように生きるか」ということと、密接に関係しているということです。日々、人とのつきあい、仕事の仕方、自分の欲求のバランスなどを整えていること、それが自然にできていることが、健康維持の秘訣です。
自分は体と心のバランスを大切にするという気持ちをいつも確認することで、さまざまな行動パターンは変わってくるでしょう。「自分がどのように生きるか」そんな視点から、もう一度「健康」について考えてみましょう。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2008年03月15日