健康予防医療コラム ~休養・心の健康~

未来は「平等に」わからない

未来をみつめ、前向きに・・・

 「一寸先は闇」ということばがありますね。ほんのちょっと先のことでも、わからないものだという意味です。ふだんは、そんなことを考えない人でも、「予想外の出来事」にであうと、「一寸先は闇だね…」と、つぶやくことになります。
 予想外の出来事には、嬉しいことも悲しいこともあります。予想外に飛び込んできた朗報、予想外の災害など、よいこともわるいことも人生の中では何度となく出会う場面です。
 ひとは、勝手なもので、何事もない平穏な日々が続くと、「単調で退屈だ…」とつぶやきます。しかし、それは言い換えると、「何事もなく、無事な日々が続いている」ということで、大変ありがたいことかも知れません。
 遊園地には、絶叫マシンというのがあって、急降下や回転をくり返すマシンにのって、スリルを味わいたいと行列ができています。毎日が不安や緊張の連続のひとは、「なんでわざわざ恐怖を味わうのだろう?」と思うでしょう。実際に、カウンセリングにおいでになる相談者は日常が不安な人が多いので、だいたい絶叫マシンが苦手です。また、ほどほどに普段の気分が安定していて、たまにちょっとイライラすることがあるという程度の人は、絶叫マシンでこころと身体を揺さぶられ、ドキドキすることが気分転換になり、そのスリルが新鮮に感じられて、楽しいのでしょう。
 「とにかく平和が一番だよ。貧乏でも、美味しいもの食べられなくても、爆弾がいつ落ちてくるかという不安がないだけありがたい」と、戦争を体験してきたお年寄りにはなしをきいたことがあります。そうかもしれませんね。命あっての物種といいますから。
 今、あなたは「平穏」を望んでいますか、「スリルやドキドキ」を望んでいますか?  生きている何十年かのあいだには、いろいろなことがあります。退屈な時期もあるかも知れませんし、こんな辛い状況から即刻逃れたいと言う時期もあるかも知れません。
 辛さも、楽しさも、苦しさも、悲しさも、時の流れとともに、次の気持ちに変わっていきます。人は、何となく今のような生活や人間関係が続いていくものと思っていますが、  実際には、予想外の未来が待っているかも知れません。未来は誰にとっても「平等に」わからないのです。一寸先の喜びかもしれませんし、一寸先の絶望かも知れません。
 平穏に安穏とせず、また目の前の辛さにとらわれすぎず、未来を見つめ、前にすすんでいきたいですね。

監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2006年09月15日

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