健康予防医療コラム ~休養・心の健康~
季節とともに生きる
寒い冬には、早く暖かくならないかなぁ…と思うし、暑い夏には、早く涼しくなってほしい…とおもいますね。ところで、「暑い」「寒い」というのは、温度として言うと何度くらいをさしているのか、考えたことありますか?
たとえば、冬ですと、部屋の温度が10度以下になっていると寒いですよね。10度以下といえば、冷蔵庫の中にいるようなものですから、当然寒いと感じます。そして、ストーブをつけて部屋の中が25度にもなると、温かく感じます。人によっては、少し暑いと感じるでしょう。ところが、真夏になりますと、10度以下が寒いのはあたりまえですが、室温25度でも寒いと感じる人がいます。近年では、「省エネのためにエアコンの温度を28度に」等と言われています。28度の部屋で涼しく感じるのは、外気温が30度以上ある時です。気温34度くらいのギラギラした太陽の照りつける炎天下から、室温28度のクーラーのきいた部屋に入ってくると、涼しく感じてホッとします。冬だったら、「暑い」と感じる28度を夏だと「涼しい」と感じるのです。
つまり、暑い、寒いというのは、その季節のからだによって感じ方が違っているのです。
冬には、人間の身体は寒さに順応していますし、夏には夏で、暑さに順応しているのです。
ですから、春や秋などの、これから暑くなる季節、これから寒くなる季節には、まだ順応していない暑さや寒さにからだがついて行けずに、体調を崩す人がいます。
平均気温が17度くらいの春に、急に25度くらいの日が数日続くと、からだが暑さに慣れていないために、かなり暑く感じます。真夏ですと、すごしやすい日と感じる気温25度にからだがついて行きません。こうして、知らず知らずのうちに、私たち人間は季節を身体に感じ、そしてその季節とともに生きています。
季節ごとの気温に身体が順応していくことで、感じ方がこれだけ変わるのですから、気温に限らず、私たち人間が生活していく上での「適応」でも同じようなことが起こっているのかもしれませんね。冬の暑さの気温が、夏の涼しさの気温とおなじということのように、「しんどいこと」が「なんでもない」ことに変わる要素がありそうです。気温に限らず、始めたばかりのジョギングでも、新しい人間関係などでも、最初は「とてもやっていけない…」と感じても、すぐに諦めることはありません。もう少しからだが「慣れる」まで、ようすをみてみてはいかがでしょうか?
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2006年08月01日