健康予防医療コラム ~休養・心の健康~
安心感の保険
「少ない掛け金で大きな安心!」「一生の保障!」などと、さまざまな保険のTVCMが盛んに放映されています。不意の事故や病気に見舞われたとき、確かにお金が必要ですし、そのときのために保険に入るということは、「安心を買う」ことなのかも知れません。
入院費用や手術費用に関する不安が減ると、助かりますね。ただ、病気や事故に見舞われないという保障ではありませんから、完全な安心が手に入るわけではありません。
経済的な保障の他に、「人の心による安心」があります。自分の抱えている悩みを、「そうなの、大変だったね。つらかったよね…」と共感して受け止めてもらうと、現状の問題はまだ解決していなくても、安心することがあります。「聴いてもらったら、なんだか大丈夫なような気がしてきた…」というように、気に病んでいるだけの取り越し苦労でしたら、しっかり聴いてもらうだけで、平気になってしまうこともあります。
健康や職業や社会制度について、すべての未来がわかっている人はいませんから、「本当に大丈夫かな?」と考え始めてしまうと、すぐに不安がやってきます。そんなときに、人からのこころの支えはとてもありがたく、大切なものだ思います。誰かに「大丈夫!」と優しく言ってもらうと、それだけで安心することがあります。自分自身でも自分に対して「大丈夫、きっと何とかなる!」と声をかけると、気持ちがホッとできる人もいます。
そして人に聴いてもらう以外にも、ちょっとした生活の場面で注意していると、自分にとっての「安心感を手に入れる方法」が見つかることがあります。それは、ペットと遊ぶことかもしれませんし、好きな音楽を聞くことかも知れません。近くの公園を散歩することかも知れません。不安が大きくならないうちなら、切り替えもしやすいのです。ちょっとしたことで、意外と不安に覆われていた気持ちが切りかわり、安心感を得ることができます。不安をそのまま放っておかずに、そのような、生活でのちょっとした安心感獲得法を自分なりにつかんで実行していくことが、「保険による安心」以上に「安心感の保険」になるかも知れません。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2006年06月01日