健康予防医療コラム ~休養・心の健康~
時の流れと人の心
時間は誰にとっても平等に、そしておなじ早さで流れています。これは客観的な世界でのできごとです。人の心や生活している実感としては、時の流れは時にはゆっくり、そして時には早く、また時には止まったように感じることがあります。
「一年の計は元旦にあり」「年の暮れ」「年明け」「季節のはじまり」「週明け」「週末」いろいろな表現の中に、人の心が、時の流れに「節目」を感じ、そしてその節目に何かを確認したり、生活のスタイルを切り替えたりすることに利用しています。
年の暮れというと、クリスマスイルミネーションのイメージも相まって、なんだか夜のイメージがあり、年明けというとなんだか夜明けや朝のイメージがあります。時間は同じように流れているのに、人が「節目」を作り、人が生活する社会が、さまざまな行事や生活習慣でそれをかたちにしている感じです。
お祭りや、結婚式、法事、入学式や卒業式、それらの行事などが節目となり、時の流れにアクセントをつけてくれています。その節目毎に人は心を感じ、気持ちを新たにし、人と人との関係を確認したりしています。そういう意味では、時間の流れは一定ではなく、さらに区切りのポイントまであると言った方がよいでしょう。
日本の新年は1月1日ですが、中国では「春節」といって、旧暦の元旦を新年のはじめとして祝っています。横浜中華街などでは、沢山の忘年会が12月におこなわれ、また1月にはいると新年会が行われます。しかし、そこでお料理をつくっている中華街の人たちの本当のお正月は旧暦の正月ですから、すこしあとになります。春節には沢山の爆竹がなり、龍が舞い、獅子が舞うお正月の行事が行われます。
ですから、時の節目がクロスして中華街の1月は何となくずっとお正月のような感じです。その空間には約一ヶ月ほどのずれがあるにしても、一年の初めを感じ、一年の健康と安全を願う人の心が通じ合っています。節目に心を感じ、そして心の節目に時を感じる。そんなアクセントのある生活の中で、人は生き生きできるのだなと、あらためて感じます。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2006年01月15日