健康予防医療コラム ~休養・心の健康~

雲のかたち

既成のイメージの枠

 画用紙に「雲のかたち描いてみて」というと、だいたいの人がモコモコとした楕円形のようなかたちを描きます。しかし、実際の空にある雲はさまざまな形をしていますよね。「入道雲」「スジ雲」「飛行機雲」…。「雲のかたち」と言われてすぐに飛行機雲を連想する人はあまり多くないようです。しかし、空を見上げて「あっ、飛行機雲!」とすぐにわかります。青い空に一筋筆でさっと描いたような雲をみつけて、すぐに「雲」とわかります。 いろいろなかたちの雲があって、ぱっとみると、どれも雲だとわかるのに、頭の中で描く雲は、その中のどれかに限定されてしまうというのは、どういうことでしょうか?

 私たちがものを見て「何か」とわかるには、あらかじめその「もののイメージ」をもっているからです。初めて見るものは「何か」がわかりません。初めて見るくだもの、初めて見る虫、初めて見る植物…。もしかすると、くだものなのかどうか、虫なのかどうか、植物なのかどうかもわかりません。でも、今までの自分の知っているくだものや、虫や植物の「イメージ」に似ているから、そう思います。実際には、植物のように見える虫もいるし、果物のようなキノコとか、自分のもっているイメージとは違うものかも知れません。

 こう考えてみると、人は沢山のイメージを持っていることがわかります。雲、くだもの、虫、植物…そのほかにも道具や建物、衣類など…そして、そのイメージと違うものに出会うと、不思議に感じたり、不安に感じたり、怖くなったり、無視したくなったりします。しかし、好奇心旺盛な人、新しいアイディアを沢山生み出す人は、既成のイメージの枠にとらわれない発想をもちます。わからないことの枠を越えて新しいイメージを想像すること、それには既成のイメージの枠をはずしてみる余裕、遊び心、無心さなどが役に立ちます。今日であったものに始めて出会ったような新鮮な目で身の回りを見回してみると、新しい発見があるかも知れません。既成のイメージを少し横に置いて周りを見てみましょう。

監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2005年12月15日

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