健康予防医療コラム ~休養・心の健康~
「わかりました」の意味
「分かる」「解る」「判る」…と、「わかりました」には、色々な意味合いがあります。
会話での言葉のやりとりでは、いちいち文字に書いている訳ではないのですが、「違いが分かる」「内容が解る」「意味が判る」などと、文字にすると少し意味が理解しやすくなります。共通するのは、今まで漠然としていたことが明確になること、そしてそれをその人が了解したときです。しかし、それ以上にも意味があります。「同意」という意味です。
Aさん
「…そういう理由で私はこの結論には納得できないのだけれど、そう思わない?」
Bさん
「はい。よくわかりました。」
というようなやりとりの場合、Aさんの考えに、Bさんが「同意」しています。更にいうとこの「同意」にも2種類あります。「Aさんの気持ち(考え)と私も同じです」という同意と、「Aさんの感じている気持ち(考え)を私は理解しました。(私の考えとは違うけど)」
という同意です。Aさんが自分の気持ちと同じでいてほしい、共感してほしいという気持ちを強くもっている場合には、後者の「わかりました」の場合、AさんとBさんの間で微妙なずれが起こっています。Aさんは共感してもらったと感じるけれど、Bさんはそうは感じていない…というずれです。このような微妙なずれが生じないためには、どうしたらいいでしょう?
もし、ずれを起こしたくないときには、「了解」と「同意」をわけて表現しましょう。
たとえば、「Aさんのお考えはよく分かりました。お気持ちも伝わってきます。私の意見とは違いますが、Aさんの立場からするとそう考えるのは当然だとおもいます。」というように自分の気持ちは違うということも伝えて同意します。そこを丁寧につたえることで、「あのとき、わかったっていったじゃない?味方だと思っていたのに…」という行き違いをふせぐことができます。関係を大切にしながら、自分も大切にする工夫です。
監修:大多和 二郎 先生
掲載日:2005年10月01日