健康予防医療コラム ~休養・心の健康~
「精神的」余暇活動が痴呆の予防に
米国の75〜85歳の高齢者469人を最長21年間(1980〜2001)追跡し、余暇活動と痴呆予防の関連を研究したグループの報告があります。
「精神的」活動6項目のうち、「ゲームをする」「本や新聞を読む」「楽器演奏」の活動を多くする人(週に数回以上)は、少ない人(週に1回以下)に比べて、痴呆の発生率が低下。「楽しみのために書く」「クロスワードパズル」「グループでの話し合い」の活動については、多くしている人でも痴呆の発症率は、下がりませんでした。
また「身体的」な余暇活動11項目については、「ダンス」を多くする人の痴呆発生率が下がるだけで、「家事」「散歩」など他の10項目については、回数が多くても発生率が下がりませんでした。研究グループは、研究を始めてから9年以内に痴呆と診断された人たちを除いて分析しましたが、結果は変わらず、「精神的」な余暇活動を多くしている人のほうが、10年以上たってから痴呆になるリスクが低かったということでした。
日本においては、財団法人ぼけ予防協会(厚生労働省)により、痴呆医学研究の基礎、臨床、疫学など各分野の第1人者で構成される制定委員会が「ぼけ予防10カ条」を制定しています。その中には、日頃の生活の中で、興味と好奇心を持って、趣味やボランティア活動をすると、脳の活性化につながるとし、書物を読んで感想をまとめるなど頭を使う、また一方的、支配的な人間関係を避け、信頼と平和な人間関係を持つことのすすめなど5項目が「精神的」な活動の内容になっています。
すべてできなくても、一つか二つ自分が夢中になって楽しめるものを見つけ、ユーモアやおしゃれ心を忘れずに素敵に歳を重ねていきたいですね。
脳の活性化については、医療情報サテライトVol.3、Vol.5、Vol.7をごらんください。
監修:村井 保健師
掲載日:2004年08月01日