健康予防医療コラム ~身体活動・運動~

肥満は食べ物の内容だけでは解消しない!

肥満の元凶は脂肪

 メタボリックシンドロームの予防・改善には、食事の改善が不可欠であるのは誰もが認める事実です。しかし、数多くの研究が進む中、以前は常識として考えられていたことが現在はそうではないという事実も多く存在するのです。
 脂肪が太る元凶という考え方は、食事のカロリーの割合が脂肪に大きく傾いていた肥満大国アメリカの状況から示唆されていたことですが、アメリカではこの30年間、肥満人口は増加の一途をたどっているものの、脂肪からの摂取エネルギーが減少していることから、必ずしも脂肪が悪者とはいえないのではないかという反省が生まれました。
 脂肪からの摂取エネルギーが減少する中、アメリカでは炭水化物の摂取量が増えています。肥満やその他の病気の予防のためにアメリカ人の食べ方を変えようということが目的でアメリカ農務省が作成したフードピラミッドでは、炭水化物からの摂取エネルギーを多くすることを推奨していますが、その炭水化物も「精製されていないもの」でなければ、逆に肥満を助長するとして、フードピラミッドも見直されつつあります。
 食の欧米化により肥満が増加したとされる日本人ですが、総摂取カロリーは年々減少傾向にあり、脂肪からの摂取エネルギーも現在はほぼ理想とされる25%強のレベルを維持しています。こうした事実は単純に食べ物の内容だけで肥満予防を論じるには無理があることを示しているといえるでしょう。
 

監修:古田 裕子 先生
掲載日:2008年05月01日

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