健康予防医療コラム ~身体活動・運動~
新生児にみられる塩味嗜好の個人差
新生児にみられる塩味嗜好の個人差
個人差はあるものの、塩分の摂取量を減らせば高血圧症が改善されることはすでによく知られた事実。また、自然に高血圧症−脳卒中になるSHRラットは、塩分を加えた飲み水を好むことが知られています。この塩味の嗜好性は、生後3日以内の新生児にはやくも観られる現象で、塩味嗜好性の新生児の血圧が塩味を嫌う新生児より血圧が高いという研究結果が報告されました。
アメリカの内科医Stephen H.Zinner教授らは、新生児がお乳を吸う際に見せる唇でなめる動作(吸啜運動)回数を数える方法で、甘味と塩味に対する新生児の嗜好反応を調べました。血圧も測定した新生児234名の中で、塩味を好む反応を示した新生児が67名おり、彼らは塩味を嫌う反応を示した新生児より、最大血圧が平均で3.3mmHg高く、最小血圧が3.1mmHg高かったこと、また、祖父母が高血圧症の治療を受けている新生児ではより血圧が高いという結果です。
こうした結果を高血圧リスクに直ちに結びつけるべきではありませんが、塩味の嗜好性は変えることが可能ですから、高血圧リスクの高い人は、意識的に薄味になれる、また、塩分の摂取量を減らすようにするべきでしょう。