健康予防医療コラム ~身体活動・運動~
ウオーキングだけでは不十分な筋肉の老化予防
筋肉には持久能力がある赤筋(遅筋)と瞬発力がある白筋(速筋)があります
筋肉には持久能力がある赤筋(遅筋)と瞬発力がある白筋(速筋)があります。赤筋はもともと持久力があり、姿勢を維持するのに適しています。一方、白筋は瞬発力があり、速く走る、高く飛ぶ、遠くに投げるといった「走・跳・投」に優れています。
赤筋も白筋も、その特性に合うトレーニングをすればますますその能力が高まります。つまり、マラソンのような持久性のトレーニングをすれば赤筋に能力はますます向上し、短距離走のようなトレーニングによって白筋の能力が向上します。
逆の言い方をすれば、ウオーキングのように、瞬発力を必要としない運動しかしない場合、白筋は衰えてしまうことを意味します。その結果、階段をさっさっと上るようなダイナミックな動作ができなくなり、ゴルフでは飛距離が落ちるといったことになると思われます。
白筋と赤筋の割合は、からだの部位によって異なります。特に、太もも前側の筋肉は白筋が多い部位で、走・跳・投に欠かせない筋肉です。この特性は、ウオーキングをしても太もも前側の白筋をそれほど鍛えることができないことを意味しています。実際に、加齢とともに、太もも前側の筋肉が他の部位の筋肉より細くなることがわかっています。これは、多くの人は加齢とともにダイナミックに動くことがほとんどないことが原因です。
今や生活の中で瞬発力を必要とすることはほとんどありません。だから、白筋を鍛えて太ももの衰えを防ぐ必要はないと考えることもできますが、お年寄りが生活の中で活動範囲が狭くなるなどの原因は筋力の低下ですから、太ももを鍛えることは毎日を活動的に過ごすために重要です。