健康予防医療コラム ~身体活動・運動~

ウオーキングのし過ぎと予防法を考える―その2

寿命がかえって短くなる

 1週間に3,500kcal以上運動をすると寿命がかえって短くなるという有名な研究報告があります。歩数に換算すると、1日に約18,000歩程度。しかし、病気の種類によって死亡率との関係が違ってきます。心筋梗塞のような循環器系の生活習慣病では、35000歩でも死亡率が低くなる傾向があるのです。こうした結果は、し過ぎの弊害を予防するヒントを与えてくれそうです。
 その研究は、西欧先進国で20年近く継続して調査された貴重なもの。西欧諸国の死亡率1位は断然心筋梗塞で、それ以外の病気の死亡率は低いので、運動量と死亡率との関係はそれほど明確ではないのですが、傾向をみると、運動量が多すぎて死亡率が高くなるのは、大腸がんのような消化器系の病気です。つまり、運動のしすぎは消化器系に現われる傾向があるように思えます。だとすると、食事の後は運動を控えるようにしたほうがよい、といえそうです。
 消化器系の血液循環は運動中に悪くなります。通常、食事をして胃腸に食物が入ってくると蠕動(ぜんどう)運動という動きが胃腸に起こります。消化液の分泌量も増加します。胃壁は粘液を出して、胃酸が胃壁を消化することから逃れるようにできています。ところが、食後に運動をすると、そうした消化活動がうまくできなくなってしまいます。食事をした後は、しばらくは心身ともに穏やかにすることが胃腸の健康に大切です。それを故事では「親が死んでも食休み」といいます。

監修:生山 匡 先生
掲載日:2004年09月15日

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