健康予防医療コラム ~身体活動・運動~
ウオーキングでは腕は前にふる?後にふる?
忙しくて運動の時間がとれないと嘆いている人でも、30分の運動を1日3回に分けて10分ずつおこなえば運動の効果が現れますのでお勧めです。
数年前にテレビを見ていると、ある大学の教授がいうには、ウオーキング中の正しい腕のふり方は、肘を90度に曲げて前に大きくふりましょうというものでした。その後も、テレビでその教授の同じ主張を耳にしました。腕を前にふろうが、後にふろうがどちらでもよいと思えますが、どうして前にふる方がよいのか、その教授はまったく説明をしないで、自分でウオーキングフォームを示していましたが、少し滑稽なフォームに見えました。
健康運動法としてのウオーキングには大きく3つの効果があります。1つ目は日頃の運動不足を解消し、生活習慣病を予防改善するため、2つ目は、肩こりや腰痛のような自覚症状と骨粗鬆症のような病気を予防改善するため、3つ目は足腰・心肺機能の能力を向上させるため。
運動不足を解消するのがウオーキングの目的だとすると、もっとも大切な条件はウオーキングスピードで、速ければ速いほど運動不足解消効果が大きいので、速く歩けるウオーキングフォームがよいことになりますが、そのために腕を前にふる必要はありません。強いていうとすれば、前後に大きくふる方が効果的だし、肘の角度にこだわる必要もありません。このことは、3つ目の足腰・心肺機能の能力向上にもあてはまります。
2つ目の肩こりや腰痛、とりわけ肩こりに関していえば、腕は後に大きくふる方が肩の筋肉をよく使うので前にふるより効果的。さらにいえば、人は加齢と共に猫背になり、腕を後にふることができなくなります。猫背を予防改善し、美しい姿勢や歩き方をつくるには、腕は少し意識的に後にふる方がベターです。ためしに行ってみてください。