健康予防医療コラム ~栄養・食生活~

連載12 理想的な食生活とは?

高血圧には高カルシウム食品

 カルシウムもカリウムと同様ナトリウムと反対の作用をすることがわかっています。ナトリウムをとりすぎると水分が体内に貯留されることによって血圧が上がりますが、カルシウムが十分にあると自然の利尿剤の働きをしてくれることで、余分なナトリウムと水分の排泄を促すのです。
 食事からのカルシウムの摂取が少ない人は、骨からカルシウムを溶かし出すことで血中のカルシウム濃度をコントロールしているのですが、これには副甲状腺ホルモンが関与しています。副甲状腺ホルモンは「からだの中にカルシウムをとり込め」というメッセージを持つホルモンですから、細胞膜にあるカルシウム・チャンネルというものを開いて、筋肉細胞内へとカルシウムをとり入れるのではないかと考えられています。
 血圧の薬にはカルシウム拮抗剤という、カルシウムが細胞内にとり込まれることを阻害することで血管の収縮を抑える薬がありますが、食事からのカルシウムの不足が、逆に細胞内のカルシウム濃度を変化させていると考えられています。したがって、食事からのカルシウム摂取が十分であれば、副甲状腺ホルモンの過剰な分泌によって骨を溶かしてカルシウム濃度を調整することは避けられるのです。

監修:古田 裕子 先生
掲載日:2005年06月15日

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