健康予防医療コラム ~栄養・食生活~
トピックス「お屠蘇」
調合された薬草の意外な効用!
日本酒やビールなどに正月の酒の座を奪われつつありますが、もともとは正月にはお屠蘇を飲むというのが昔からの習慣でした。屠蘇とは鬼気を屠り人魂を蘇らせることを意味することから、その年の邪気を祓い長寿を祈るために正月に飲まれるようになったといわれています。
お屠蘇とは正式には10種類ほどの薬草を調合した屠蘇延命散(屠蘇散)を酒やみりんに浸したもので、中国・魏の時代に処方されたのが最初といわれており、それが9世紀前半に日本に伝わり宮中の正月行事にとり入れられ、それが一般にも広がっていったのだそうです。
屠蘇散に調合されている肉桂、大黄、百じゅつ、山椒、桔梗、乾姜などの薬草には、健胃、強壮、咳、風邪、血液浄化、発汗促進などの効果がある上、酒やみりんにはブドウ糖、必須アミノ酸、ビタミン類も含まれる上、適度なアルコールは血行を促進させるため、正月の儀礼的な飲みものであることに加え、寒い冬に合った優れた健康ドリンクといえるかもしれません。
今では銚子に盃で飲むというのが普通かもしれませんが、お屠蘇は家族そろって新年のあいさつを交わした後、雑煮を食べる前に朱塗りまたは白銀、錫などの銚子と朱塗りの3段重ねの盃で、若者の生気にあやかる意味で、年少者から順に年長者に盃を進めるというのが正式な飲み方だそうです。
参考:華やかな初春 祝・美・膳(白井操)
こんなときこの食べものが効く(木下勤)
続・こんなときこの食べものが効く(木下勤)
監修:古田 裕子 先生
掲載日:2005年01月01日