健康予防医療コラム ~栄養・食生活~
トピックス「お雑煮」
そのルーツは年神さまへのお供え物をいただくこと!
武士の宴会では最初の盃が初献といわれその初献の肴が雑煮であったことから、「雑煮から始まる」ということにかけて、1年の始まりである元旦の朝に雑煮を食べる習慣が生まれたと考えられています。
もともとは、その年の年神さまにお供えした食べ物を新年最初に汲んだ水を用い、新年の神聖な火で煮て食べることで1年の無病息災を祈ったことから、雑煮の元の姿は文字通りゴッタ煮で、たくさんの具とモチが入った汁物であったと考えられています。また、雑煮に入ったモチは日本人にとって魂の象徴で、新しい年の魂を食べて1年間を元気に過ごすという願いがこめられているといわれています。
また、汁物であるにもかかわらず雑煮は飲むとはいわずに食べるといいますが、これはヨーロッパにおけるスープの場合も同様で、各国の言語で「食べる」ということが多く、飲むという動詞を使うことは少ないそうです。
雑煮の種類は地方によってさまざまですが、その理由はその土地で採れた特産物を年神さまへのお供えとし、それをモチと一緒に煮ていただいたことからきていると考えられており、それがそれぞれの地方の正月のいちばん大切な料理として残っているのです。
参考:日本の食卓文化考(熊倉功夫)
監修:古田 裕子 先生
掲載日:2005年01月01日