健康予防医療コラム ~栄養・食生活~

骨粗しょう症と栄養素(4)

腸管でのカルシウムの吸収を促すビタミンD

 ビタミンDは骨と健康と係わりの深いビタミンで、食品として摂取されるほかコレステロールを材料に紫外線によって皮膚でも合成されます。
 体内に入ったビタミンDは肝臓と腎臓で活性型ビタミンDに変わり、腸管でのカルシウムの吸収を促し、血液中のカルシウムを骨に運び、骨に沈着するのを助ける働きを持っています。また、カルシウムの摂取量が少ない場合は、カルシウムが尿中に排泄されないように腎臓で再吸収させる働きもあります。
 ビタミンDの摂取が不足すると骨からカルシウムが溶け出して血中濃度が上がりますが、ビタミンDの過剰摂取も腸管からのカルシウムの吸収が促進されるため、カルシウムの血中濃度は上昇します。カルシウムが多くても不足しても高い血中濃度は数値を示すことになりますが、これはカルシウム・パラドクス(カルシウムの矛盾?)といわれています。
 また、最近の研究で、85歳の女性に1日あたりカルシウム1,200mgとビタミンD20μgを1年半にわたり毎日摂取させたところ、骨密度が増加し骨折頻度が少なくなったということから、カルシウムとビタミンDの摂取が骨粗しょう症の予防だけでなく治療にも有効であると考えられています。

監修:古田 裕子 先生
掲載日:2004年07月15日

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