「withコロナ」の在宅介護、デイサービスを利用する?しない?

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「withコロナ」の在宅介護、デイサービスを利用する?しない?

こんにちは、セコムの武石(たけいし)です。

デイサービスを利用する場合は、感染対策を事前に確認しましょう。在宅介護を支えるサービスのひとつ、デイサービス(通所介護)。
施設内で食事や入浴、機能訓練などを提供してもらう日帰りの介護サービスです。
家にこもりがちな要介護の方にとっては貴重な活動と社交の場であり、ご家族にとっては在宅介護から解放されるひとときでもあります。
デイサービスは、在宅介護生活においてとても重要な役割を担っているのです。

しかし、新型コロナウイルスの猛威は、「日中はデイサービスに通う」という日常を一変させました。
デイサービスは、限られたスペースに人が集まって飲食や活動を行うので、感染症が広がるリスクが高いことは否定できません。
全国的に感染者が増えていくなかで、介護施設でもクラスターと呼ばれる集団感染が相次ぎ、感染の不安が現実として迫ってくるのを感じた方も多いと思います。

「感染するのが怖い」
「でもデイサービスを利用できないのは困る」

介護家族の皆さんは、いま、このような葛藤のなかにいるはずです。
デイサービスを利用するか否かを、どのように判断すれば良いのでしょうか。

今回は、デイサービスの役割を改めて整理するとともに、コロナ禍でどのように在宅介護を維持していけば良いかをまとめます。
新型コロナウイルスと共存しながらの介護を、より良く、前向きに変えていく一助になれば幸いです。

● 「デイサービス」は代用が利かない
デイサービスに通うことで得られるものは、日常生活上の介護だけではありません。
体を動かしたり、他の利用者と交流したりすることで、頭も心もいきいきとするのです。

集団のなかで他の人と一緒に行う活動には、家庭内では得られない「はりあい」があります。
他の利用者とはりあい、まだ頑張れるという前向きな気持ちが芽生えたり、反対にいたわる気持ちが生まれたり。
話が合う友達ができることもあれば、ときには馬の合わない利用者同士が言い争うことだってあります。

他者との交流から生まれるさまざまな心の動きは、ポジティブなものも、ネガティブなものも、精神を活性化させ、気力や意欲を高めるものです。
このような効能が得られるのは、デイサービスならではと言えます。

コロナ禍でデイサービスの利用ができなくなったり、利用を控えたりしていた方のなかで、身体機能だけではなく、活力の低下が問題になりました。
原因は、日中の活動量が減ってしまったことはもちろん、他者との交流がなくなって「はりあい」を失ってしまったことが大きいと思います。

身体介助やリハビリなら、訪問系のサービスでも受けられますが、集団のなかでの活動や交流、そこから得られる刺激は、通所サービスでしか生まれないものなのです。


● デイサービスを利用するべきなのは、どんなとき?
デイサービスを利用すれば、新型コロナウイルスの感染リスクが高まる。
デイサービスを利用しなければ、心身の機能低下というリスクが高まる。

まずはこの事実を認識したうえで、「利用する」「利用しない」のどちらが良いか考えてみましょう。
デイサービスにどんな役割を求めているかで、人それぞれ選ぶ道が変わるはずです。

たとえばデイサービスでは、一日を過ごすなかで日常生活に必要な動作をつぶさに確認し、その方のウィークポイントを把握して必要な機能訓練を行います。

「トイレに座るときの動作が危なっかしい。トイレでの排泄(はいせつ)を維持するために、下肢の機能訓練に力を入れよう」というように、実際の動きを見ながら方針を決めるのです。

このような実用的な機能訓練を適切に行えるのは、一日の過ごし方をトータルでみることができるデイサービスならではです。

日常に必要な身体機能の維持を優先したいなら、通うことを継続し、デイサービス利用の空白はつくらない方が良いと言えます。
また、認知機能の維持を重視するなら、家族以外との交流の機会を減らさないことが大切だと言えるでしょう。

昨今はデイサービスでも感染対策には細心の注意を払っているはずです。
どの施設でも、「食事のときはパーテーションを設置して飛沫感染を防ぐ」「レクリエーションのときはマスクやフェイスシールドを着用する」など、できる限りの感染予防対策を講じ、徹底する意識が高まっています。

デイサービスを利用するのであれば、施設側の感染対策をよく確認し、ご家庭でもマスク着用や検温など必要な対応を欠かさないようにして送り出しましょう。


● 在宅介護で「コロナフレイル」を防ぐには?
デイサービスが他のサービスに代替できない役割を持つ以上、通所を継続する意義は非常に大きいものです。
しかし、新型コロナウイルスの感染リスクが完全に排除されない以上、年齢を考え、「デイサービスには行かない」という選択をする人がいるのは当然。持病があれば、なおさらです。

デイサービスの利用を控えても、フレイル(活動量の低下による心身の虚弱)はできるだけ避けたい。
そのように考えるなら、ご家庭でもできることはあります。

家のなかで歩く距離を増やしたり、通っていたデイサービスのスタッフに家でもできる機能訓練の方法を聞いたりして、できる限り活動量を減らさないようにしましょう。
ケアマネジャーに相談して、不足部分を充足するケアプランを考えてもらうのもひとつの方法です。

家での生活が中心になっても、できるだけいきいきと過ごす工夫は欠かせません。
脳を刺激するような、手先を使って楽しめる趣味などを新しくはじめてみるのもおすすめ。

編み物や楽器など、昔好きだったことにもう一度、取り組むのも良いですね。
もし、取り組むものが思いつかなければ、ご本人と一緒にアルバムや写真の整理をしてみてはいかがでしょう。
思い出話に花が咲けば、記憶をつかさどる海馬の働きが活性化しますし、いまでも楽しめる昔の趣味を発見できるかもしれません。

また、家にこもりがちになると、季節の移り変わりがわかりにくくなります。
庭先や縁側でも良いので、お日様の光を浴び、窓を開けて季節の風を感じてもらってください。
ベランダ菜園で手軽にできる野菜を育ててみても良いかもしれません。
毎日の水やりなど役割を担ってもらい、育てた野菜を収穫して食べる、ご家族から「おいしい」と感謝されるなど、成果を実感できることがあると自信や活力が生まれます。
日常のなかに、ささやかでも楽しみをつくることが大切です。


どんな環境でも感染リスクはゼロではなく、これからの私たちはその現実を受け入れながら前に進んでいかなくてはなりません。
リスクとベネフィットを秤にかけながら、「何を選ぶか」を判断することが求められます。
在宅介護生活を新しくはじめるような気持ちで、いまやるべきことを見極めていってください。

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