防災・防火 2023年06月07日

第380回 消火器の使い方と処分方法

火災の備えである「消火器」。
備えてあっても「使い方がわからない」という方は少なくありません。
いざというときに扱えなければ、消火活動に支障をきたす可能性があります。
消火器は、使い方を知ってこその備えです。
消火器の基礎知識や使用後の処分まで、一連の流れをマスターしておきましょう。

2023.6.7更新

火災の備えである「消火器」。
備えてあっても「使い方がわからない」という方は少なくありません。
いざというときに扱えなければ、消火活動に支障をきたす可能性があります。
消火器は、使い方を知ってこその備えです。
消火器の基礎知識や使用後の処分まで、一連の流れをマスターしておきましょう。

火災は他人事ではない

画像消防庁から発表された令和4年の消防統計(火災統計)によると、年間2万件以上の建物火災が発生しています。建物火災での出火原因でもっとも多いのは「こんろ」。

次いで、「たばこ」「電気機器」「配線器具」「ストーブ」の順に多くなっています。
出火原因は、日常生活で身近にあるものばかりです。

火災は、決して他人事ではありません。
消火器を備え、使い方を把握しておきましょう。

住宅用消火器の種類

一般家庭で使われる住宅用消火器は、大きくわけて「粉末」と「強力液」の2タイプ。
本体の色は赤だけではなく、ベージュやグリーンなどインテリア性に配慮したデザインもあります。
使用期限は5年~8年程度で、薬剤の詰め替えはできないので、定期的な買い替えが必要です。

・粉末消火器
木材・紙・布などによる普通火災、灯油などによる油火災、電気器具などによる電気火災に使用できる。
素早く消火できますが、薬剤の放射時間と放射距離は、強化液消火器と比べて短め。

・強化液消火器
粉末消火器と同様、木材や紙・布などによる普通火災、灯油などによる油火災、電気器具などによる電気火災に使用可能。
瞬間的に炎を消すことができませんが、冷却効果があり、粉末消火器と比べて放射時間や放射距離が長め。

・エアゾール式簡易消火具
てんぷら油火災などの初期消火に効果を発揮する、スプレータイプの消火器。
軽量で取り扱いが簡単。


スプレータイプの簡易消火具は、住宅用消火器ほどの消火能力はありません。
消火器の代替品にはなりませんので、補助的なものとして消火器とは別に備えるようにしましょう。

消火器の使い方

画像

(1)レバーの下側だけを片手で持つ
(2)安全栓を引き抜く
(3)火元からある程度離れ、ノズルを火元に向ける
(4)火元を狙ってレバーを強く握る
(住宅用消火器で約12~28秒間薬剤が噴射される)

消火器は最後まで放射することがポイント。
一度炎が消えても、再発火する可能性もあります。

消火器を使用したあとの掃除方法(住宅用粉末消火器の場合)

粉末消火器の粉末薬剤は、粒子が非常に細かく、掃除機で吸い取ると目詰まりする可能性があります。
ほうきなどでかき集め、袋に回収しましょう。

粉末薬剤を取り除いたあとは、雑巾などで掃除を。
雑巾についた程度の少量であれば、水で洗い流して問題ありません。

また、粉末薬剤を吸い込む恐れがあるので、十分に換気をおこないながら掃除しましょう。
マスクを着用したほうが安心です。

半年に一度は消火器の点検を!点検のポイント

住宅用消火器は、破損などがあると使用できない可能性があります。
半年に一度くらいは以下のようなところをチェックしておきましょう。

□ キャップは破損していないか
□ 本体がへこんだり、変形したりしていないか
□ ホースが抜けてしまっていないか
□ 消火器の上部などが腐食していないか
□ 使用期限が切れてしまっていないか

消火器の使用期間や使用期限は、本体に記載されています。
期限が切れた消火器は使用せず、販売店に相談してください。

消火器の処分方法

使用期間・使用期限が切れた消火器は、一般ごみでは捨てることができません。
内部に圧力がかかっているため、破裂する恐れもあります。
屋外やベランダなどに期限切れの消火器を置きっぱなしにすると、容器が腐食しやすく、破裂する可能性があり危険です。
放置せず、正しく処分しましょう。

消火器販売店などにある「特定窓口」を通じて、回収・リサイクルしてもらうことができます。
消火器リサイクル推進センター」のページで、最寄りの「特定窓口」を検索してみてくださいね。

* * * * * * * * *

火元になりやすいキッチンに消火器を備える場合、「こんろ」より奥には置かないようにしましょう。
「こんろ」から火の手があがった際、消火器が取れなくなる可能性があります。
キッチンの入口などで、邪魔にならない・すぐ手が届くところに設置してください。

また、家電製品や配線器具などによる電気火災にもご用心。
間違った使い方、つなぎっぱなしでコンセントにたまったほこりなどが火災の原因になります。
この機会にあらためて部屋のなかをチェックして、火災予防をしておきましょう。


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