助成研究者情報(三浦昌生先生3)|安全安心な科学技術の振興:セコム科学技術振興財団

芝浦工業大学システム工学部環境システム学科 教授 三浦昌生先生インタビュー「地域安心システムの実現に向けて」


昨年の3・11の大震災により、東北地方全体が同様の問題を抱えていると聞きましたが…

放射能の影響が懸念される地域からは、「子どもへの影響が無視できない」といって、若い家族が出て行きます。残っているのは、高齢者の世帯のみです。ただ、この問題は東北地方だけの話かというと、そうではなくて、これから20~30年後に大都市に住む私たちが直面するであろうことが先取りされていると、捉えなければなりません。
 震災に伴う東北地方の高齢化問題は、数十年後にもっと大規模な形で都会の私たちにやってきます。だからこそ、いま解決しておかなければ日本という国自体が破綻してしまう危険性があるのです。

何とか実現してもらいたいものです。

そうですね。地域で高齢者問題、コミュニティ問題に取り組んできて、同じような目的に向かっているにもかかわらず、情報不足や思い込み、組織の壁などで連携がうまくいかない地域の関係者達が、新しい地域連携マネージメントの手段、手法を創り出すきっかけになれば良いと思います。
 そして、自分の領域に閉じこもる傾向が強い日本の専門家集団の壁を意識的に壊し、新しい意味のある社会システムをデザインしていきたいと思っています。
 本プロジェクトを構成してきた人たちは、医師、建築家、システムエンジニア、薬学研究者、街づくり研究者、福祉サービス関係者、地方自治体職員、高齢者施設職員など、実に多様です。こうしたメンバーが互いに異なる分野の人々と議論を交わすことで、これまでにない新しいシステムが出来上がると思っています。

違った職種の専門家が集まり、議論を交わすなかで、一つの方向性を見つけていくというのは、大変な作業ですね。

これまで日本の地域社会システムは、高度経済成長に立脚した経済システムを背景に、行政依存、家族依存、企業依存によって賄われてきました。しかし、前提条件であった高度成長が潰えた今、“新たな担い手”が必要とされてきているのです。このような新しい社会システムデザインをどうするのか、誰がやるのかも、現在は明確ではありません。しかし自分の死に場所さえ定かではないという不安が、社会全体を覆っていることは確かであり、行政でも企業でもない新しい主体が“地域の安心”をデザインし運用することは、意義深いものであると思うのです。

システムの実際の運用時の、課題点などはありますか?

高齢者へサービスを供与するという視点をなかなか超えられず、サービス供給者側の視点になっているという限界が存在します。高齢者自身あるいは高齢者同士が自ら参加して相互関係を作っていくという視点が、今後の課題だと思っています。

長時間のインタビューどうもありがとうございました。

※本インタビュー記事についてさらに詳しく知りたい方は「社会システムデザインプロジェクト.pdf」をご覧ください。また内容その他について質問がある場合は財団までお問い合せください。