助成研究者情報(絹川弘一郎先生6)|安全安心な科学技術の振興:セコム科学技術振興財団

富山大学大学院医学薬学研究部(医学)内科学(第二)講座 教授 絹川弘一郎先生インタビュー「入退院を繰り返す心不全患者に対する重症化・再入院予防及びQOL改善支援」(第2回)

本格研究で新たに見出された課題点はありますか。

 心不全の心不全重症化検知予測アルゴリズムを構築するためには、重症化した患者のデータが必要となります。しかし、研究参加中は症状が安定した状態で過ごされる方も多く、重症化時の特徴を捉えるのは決して簡単なことではありません。また、ある患者で重症化の兆候として出現した変化が、他の患者では全く見られないというような個人差も見受けられます。一見すると、ある患者特有に見える変化を、どのように規則として分類していくかというのが、大きな課題であると考えています。現在は、心拍変動を詳細に解析していくことで、汎用性のあるアルゴリズムの開発を目指しています。

今後の展望を教えてください。

 生体データによる心不全重症化検知予測アルゴリズムとそれに基づくオートアラートシステムの構築が先決です。倫理審査を通過した3施設において、100名のデータ解析を目標に進めていきます。その後、再入院予防のための効果的な療養指導を検討していく予定です。将来的には医療機器認証を取得し、重症化予防の保険外自費サービスから保険医療への移行を目指しています。
 また、心不全に限定しない、他疾患への水平展開も検討しています。たとえば、厚生労働省が推進する「データヘルス計画」の中で糖尿病等の重症化予防が重要視されていますが、本研究にて開発したシステムを活用することにより、人的資源に依存しない低コストのサービス提供が可能になります。今回の研究の成果によって、さまざまな角度から医療費の削減に貢献できるものと考えております。

それでは最後に、これから研究助成を申請される方々へのメッセージをお願いします。

 セコム財団の研究助成は、多岐にわたる分野の研究者を対象にしている点が大きな魅力だと思います。「自身の研究で、社会に恩恵をもたらしたい」という使命感をもっていらっしゃる研究者の方々にぜひとも応募していただき、研究の推進・発展に結びつけてもらえればと思います。

慢性心不全で苦しむ患者のために、一刻もはやい実装を願っております。
長時間のインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。