所属
中央大学 総合政策学部

職名
准教授

キーワード
憲法 情報法 比較憲法 EU法

助成期間
平成29年度 ~ 平成31年度

研究室ホームページ
2007年
一橋大学大学院法学研究科博士課程修了 内閣府事務官(個人情報保護推進室政策企画専門職)


理論的思考から憲法学へ

自分は理科系の生徒だったと語る宮下先生

私は、最初から法律一筋で勉強してきたわけではありません。高校の頃は、数学や物理が得意な、理科系の生徒でした。初めて法律について勉強をしたとき、論理的に思考を展開していくさまが数学や物理のアプローチと非常に似ていて面白いと感じたため、大学では法律分野──とくにすべての法律の根源である憲法学を専攻したのです。

憲法を学ぶ中で、法律にはプライバシー保護関連のものが多々あるにも関わらず、憲法には一切プライバシーという言葉がなく、解釈の1つであることを知りました。プライバシーとは一体何なのか、なぜ守らなければならないのか。ここを明確にしなければ「根拠はないが、なんとなくプライバシーを保護している」という状態から抜け出すことができません。この「なぜ」を追究し、確かな論拠によってプライバシーを保護すべき理由を説明できる状態にしなければならないと感じ、大学院修了後は内閣府事務官として個人情報保護政策に関わりました。

日本のプライバシー保護法制度は「周回遅れ」

調査を進めていくうち、日本のプライバシー保護法制度はグレーゾーンのまま放置されてしまっている領域が多いことがわかりました。また、アメリカのハーバード大学ロースクールで研究しているとき、欧米諸国ではビッグデータや人工知能の活用におけるプライバシー保護の法規制に関する議論が、日本よりはるかに進んでいることを知りました。日本は欧米諸国に比べて「周回遅れ」の状況にあったのです。

GPSを用いた位置情報の活用、ドローンによる地理空間情報、疫学研究のためのゲノム情報の分析、自動運転技術など、ビッグデータや人工知能を使用し、人類により快適な生活をもたらす社会──「超スマート社会」を支えるためには、欧米諸国の研究者との積極的な意見交換、そして個人情報を取り扱う技術者との連携が不可欠です。海外の法整備を参考にすべきなのは言うまでもなく、たとえば「個人情報をどの程度まで匿名化すれば、個人を特定されるリスクがなく利活用できるのか」は、私たち法学者がすべて判断することは不可能だからです。

しかし国内の文系研究に対する研究助成は、ほとんどが単年度のものであり、技術者や欧米諸国の研究者と協力体制を組むことはもちろん、継続して研究を続けることすら叶わないため、本研究を続けることは非常に困難に思われました。