SECOM RUGGUTs

トップイーストリーグDiv.1
2016-2017

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トップイーストリーグDiv.1 第3戦

セコムラガッツ  0 三菱重工相模原ダイナボアーズ  62
開催日 2016年9月24日(土) キックオフ 12:30
天候 雨/無風 開催地 秩父宮ラグビー場
レフリー 片桐 伸也(関東協会) 観客数 1083人

生涯セコム一本宣言。恩義に厚い堀卓馬の覚悟「ガツガツやってチームが変わったことを体現したい」

セコムラグビー部1:LO堀選手
LO堀卓馬は刺激的な日々を充実と捉えるグットマン
【撮影:長尾 亜紀】
 2月16日、東京・原宿。明治通りに面した靴とバッグの専門店の2階。窓の向こうにセコム本社を望むカフェにその男はやってきた。関東大学リーグ戦の強豪・流通経済大で鳴らし、NECグリーンロケッツに進んだ堀卓馬。恵まれた体躯で将来を嘱望された25歳。だがトップリーグの世界は厳しかった。3年間、ほとんど試合に出られぬまま来季構想外の通告を受けた。
「甘いことを言うつもりはない。ラグビーが縁で大企業にも就職できたわけだし、仕事で生きていくという選択肢だってある。まだラグビーがやりたいという、それだけなら止めた方がいい。相当な覚悟がないとうちではやっていけない」(山賀敦之総監督)。
 転職を視野に入れた面会で、以下は当時のラガッツの内情、山賀総監督と筆者で置かれた環境をありのままに伝えた。「セコムは仕事がフルタイム。夜9時からの練習、家に着くころには日付も変わっている。夜勤があって平日の練習には参加できない。交代制勤務なので丸一日勤務に付くこともあるし、月末は参加人数が一桁の日もある」。嘘偽りなく厳しい現実を語った。ところが堀から返ってきた答えは意外なものだった。
「自分、少し変わっているのかもしれませんけど、お話を伺って率直にやってみたいと思いました」(堀)。結論は急がなくてよいので、焦らずじっくりと話したが翌日、筆者のケータイが鳴る。堀からだった。「一晩真剣に考えて、セコムさんでお世話になろうと決めました。プロ契約でお誘いをいただいた会社は全部断りました。ゆっくり考えるように言われましたが、とにかく早くこの気持ちを伝えたくて」──

セコムラグビー部2:CTB川田選手
ルーキーでレギュラーつかんだCTB川田修司のパス
 9月24日、東京・秩父宮ラグビー場。入社してから半年。決して仕事は楽ではなかったが、堀はもう一度この舞台に帰ってこれた喜びを感じていた。ラガッツがトップイーストリーグのDiv.1に復帰したのが2013年度。この年から三菱重工相模原の連覇が始まった。初年度は0−103の大敗だった。翌年は0−62。昨季は0−55、王者相手になかなかスコアできない状態が続いている。
 グラウンドを押しつぶしそうな黒い雲も、相手のことも関係なかった。どこまで自分たちのラグビーが貫けるか。普通に戦ったら、普通に負ける。前半、ディフェンスから試合の流れをつかみたいラガッツだったが7分、現役サモア代表のNo.8ファイフィリ・レヴァヴェのトライを皮切りに11分SOハミッシュ・ガード、26分に再びレヴァヴェ、39分にはWTBロコツイシュウペリと一方的にインゴールを割られていく。CTBニコラスライアンの正確なキックも安定感を見せ、前半だけで0−33と試合を決められた。

セコムラグビー部3:LO堀選手
大外に残り体躯を生かした豪快なランで魅せた堀
セコムラグビー部4:LINE
まだ26歳、母親とのLINEのやり取りも微笑ましい
「とにかく悔しかったし、自分に腹が立った。あんな展開、見に来てくれたお客さんにも、メンバー外のみんなにも申し訳ない」(堀)。
 大差がついてしまった後半。なんとか一本トライが欲しい。16分すぎ、スペースを探すCTB貴島良太は自陣から狙い澄ましたキックパス。大外で待っていたのは堀だった。足を芝に取られないようスパイクの刃を土に突き刺しながら早めに落下地点に入ってキャッチ。前には誰もいない。体躯を生かした豪快なランでタッチライン際を走る。ラガッツに向けて贈られたこの日一番の大歓声。後ろからはトライゲッターのWTB益子仁紀がサポートに来る。「デイフェンスをギリギリまで引き付けてからパスを放れば」。しかし、一瞬判断が遅れビッグタックルを被弾。倒され、捕まりボールを失ってしまう。気付けばどしゃ降りのグラウンド。泥まみれのジャージーを握りしめた堀の雄叫びがこだました。

「我孫子(NECの活動拠点)では感情を表に出せなかった。努力していたつもりだったけど、控えメンバーは努力するのは当たり前。目に留まるようアピールしないといけない。いかにライバルを超えるか、相手の嫌がることができるか。自分もセコムに来て、まだ遠慮していた部分もあったけど、トップリーグにいた人が来ましたというだけじゃチームにとって何の意味もない。自分が入ったことでセコムが変わったことを体現したい」(堀)。

セコムラグビー部5:No.8杉本選手
どんな相手にも臆することのないFL杉本耀の激しさ
 試合後、敗者の記者会見。ラグビーマガジンの田村一博編集長から堀についての質問が飛んだ。「明るく、ひたむきに努力している選手。トップリーグから来たという変なプライドもなく、すぐにチームにフィットして、若い選手が多いFWの核となって引っ張ってくれています」(岡本信児ヘッドコーチ)。
 取材のソースは数日後、専門サイト「ラグビーリパブリック」に掲載された。「すごい反響だった。最初はあぁ載せてもらったんだぐらいに思っていたら、シェアされまくって、一気に拡散して。気にかけてくれるNECの先輩や同期とかも連絡くれて。実家の母親からもLINEが来ました。うれしくて、何回も読み直したよって。いい記事だねって。励みになるし、もっとやんなきゃなって思いました」(堀)。最後はYahoo! スポーツにまでリンクが張られアクセスは数万ビューに。挨拶代わりの全国区デビュー、初めての感覚だった。

セコムラグビー部3:試合後記者会見
記者会見で悔しい表情を浮かべる岡本信児ヘッドコーチと新井幸輝ゲームキャプテン
「この環境でラグビーやっている人たちってどれだけすごいんだろう。ひたむきで、絶対に上がってやるという気持ちがあって。そこにいる自分を想像したとき、成長できると思ったし、生まれ変われると。そう思って飛び込んでみて、確かに熱はあったけど、物足りなさも感じています。2020に掲げている目標があって、自分は絶対にやってやりたいし。それなら、一人ひとりがもっとラグビーのことを考えてほしい。クラブハウスで仕事の話ばかりしているのを耳にすると、どこか変な感じがしてしまう。スーパーラグビーやトップリーグの試合をもっと見ろとは言わないけど、自分のチームのことですよ。よくしようと考える、興味持って当然じゃないですか。勝ちたいからぶつかって喧嘩してでも言い合う。はみ出し者がいたっていい。自分が先頭に立って、ガツガツやっていきたい」(堀)。
 いまも両親が暮らす故郷には山も海もある。福井県にゅう郡。子どもの頃は秘密基地を作り、謎の棒を振り回しながら山中にいる猿や猪を探した。父親とは船に乗って海へ出て、スズキやアジを釣ってはその日の晩御飯にした。
「移籍について後悔はしてません。めっちゃ好きなんですよこのチーム。本当にセコムに来てよかった。心の底からそう思っています」。山と海をまたにかけてきたガリバー。翼をもがれた痛みも、これから味わう最上の歓びも、大自然はみんな知っている。
【文責:小谷 健志】

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