最果ての地・道東。冬はオホーツクの流氷が優美なこの地は、どこまでも広大な自然が広がる。そして北見がラグビーで賑わう夏は、とかく暑く、とにかく熱い。
8月7日(土)に始まった合宿の序盤は、かつて日本一の晴天率を誇ると言われたこの地域らしく、灼熱の炎天下が続いた。グラウンドでは39度を記録。市内では熱中症で搬送される人が相次いだ。2年ぶりの北海道、ラガッツ一同は10年ぶりに若松自然休養村でお世話になる。目の前にはスキー場が広がり、青々と茂ったゲレンデの風景が選手たちの雑念を沈め、ラグビーだけにのめりこむための1週間を力強く後押しする。
今年の合宿に参加することができた選手は23名。1ヵ月後にシーズン開幕を控えるとあって、北の大地での時間がどれほど重要な意味を持つかは、言わずもがなである。
トップリーグの経験値は今も生きている
一方のバックスは3チーム入り乱れて、激しいコンタクトありの練習。20分を3セット。部員不足で普段、相手をつけての練習ができないラガッツにとっては、あまりにも貴重な生きた練習≠積むことができたが、その代償に負傷者も続出。翌日にブルーシャークス戦を控えていただけに心配されたが、幸いにもシーズンに響くほどの大きなケガ人はでなかった。
合同練習後、東海大を率いて12季、名将・木村季由監督に聞いた。「キャプテンの前川も言っていたように、学生にとっては自分たちよりも強い相手に胸を借りることができ、いい勉強をさせてもらった。セコムさんの選手はみんなタフで、迫力があって、学生たちはそれに圧倒されてしまった」。
また、同じく練習を見ていた薫田真広日本A代表監督も「セコムは集中力があって非常によかった。スクラムに関しては完勝に近いのでは。(普段はマシンを相手にした練習しかできていないと聞くが)まだまだトップリーグでの経験値が生きている。これがなくなってしまわぬうちに、もう一度上をめざしてほしい」とエール。とにもかくにも選手たちにとっては、収穫の多い一日となった。
また、翌11日に行われた今合宿のメインマッチ。ブルーシャークスとのオープン戦は、バックローの高根修平キャプテン、藤田大吾をバックスで起用する苦しい布陣を強いられ大苦戦となったが、試合終了間際、FB加藤祐太の勝ち越しトライで22−17と逆転勝ち(
→ブルーシャークス戦の観戦記はこちら)。残る2日間の日程は、リカバリーを兼ねた山登り、坂道ダッシュ、フィットネスを兼ねたゲーム形式の練習にあて、2年ぶりの夏合宿を締めくくった。
最後に合宿を総括した渡邉監督のつぶやきを。「全員が参加することはできなかったのは残念だけど、人数が多い中で練習できたことが一番の成果だと思う。それに今村六十が復活したのが大きい。今回の合宿でも一番光っていた。今まで小さいグリットや小手先の練習メインだったのが、チームプレーをできたのも収穫。精度としてはまだまだだけれど、いろんなな意見が出て、それを皆で共有することが大切だから。チームとしての形はこれから練っていくことになるけど、選手起用によって、レベルにだいぶバラつきが出てしまうので、その辺りも視野に入れながら対応していきたい」。