- 第34回
- 2017/02/24

転勤したサラリーマンが永住したいと考える街という調査で、かならず上位を占めるのが福岡だ。トップに輝くことも多い。街がコンパクトで緑が多く、歴史文化に恵まれ、食べ物が美味しく、気候もおだやかで、人情にもあふれている。そんな街の溢れんばかりの魅力を一部だけでも紹介してみよう。
商業の街・博多は祗園山笠とともに

櫛田神社「山笠」
山笠の行われる櫛田神社は博多の総鎮守で、5月の「どんたく」、7月の「山笠」、10月の「おくんち」と博多を代表する3つのお祭りが行われることで有名。
中でも山笠の追い山笠では、朝4時59分を合図に、大きな人形を乗せた「舁き山笠」が締め込み姿の男たちにかつがれて5分おきに境内に走り込み(櫛田入り)、その迫力には圧倒される。舁き山笠とは別に祭り期間中に町内を飾る「飾り山笠」が境内に展示されていたので見学。
お隣に「博多町家ふるさと館」という新しい施設ができた、と聞いてそちらにも足を運んだ。
今ではほとんど見ることのできなくなった博多の町家を復元した施設で、博多の歴史や、山笠をはじめとする博多の人々の暮らしに触れることができる。昔ながらのしきたりが、今なお生きているのが博多の街だというのがわかる。
櫛田神社から地下鉄の中州川端駅まで伸びる上川端商店街にも飾り山笠が展示されている。この「上川端通流」だけは、飾り山笠がそのまま櫛田入りする。珍しい飾り山笠なのだ。
この周辺は市内でも最も再開発が進んだ地域で、その先鞭をつけたのが1996年にオープンした「キャナルシティ博多」だ。商業施設、オフィス、ホテルなどで構成される複合商業施設で、その名の通り地下1階に運河が流れ、どこかよその国に来たような雰囲気。
異国風の新しいものを積極的に取り入れる、自由貿易都市・博多の伝統は、新しい施設にも生きているのだな、と感じた。
必勝祈願と花名所・筥崎宮
櫛田神社とともに福岡の人々から親しまれている神社が筥崎宮だ。正月3日に締め込み姿の男たちが宝玉を奪い合う勇壮な「玉せせり」や、秋の風物詩「放生会」。山笠のときには、箱崎の浜で舁き手が身を清める「お汐井取り」の神事も行われる。
中州川端駅から地下鉄に乗り、箱崎宮前で下車。駅からの参道は街中とは思えないほど清逸な気配がただよっている。
境内ではプロ野球の福岡ソフトバンクホークスや、サッカーJリーグのアビスパ福岡の選手たちのサインが入った大きな絵馬が目を牽く。鎌倉時代に「元」の軍船が福岡に侵攻した元寇の役の際、亀山上皇が「敵国降伏」を祈願したところ、神風が吹いて侵攻をまぬがれたとされ、新年には福岡のスポーツ関係者が筥崎宮に必勝祈願のお参りをするのだ。

筥崎宮神苑花庭園
また、駅のそばにある「筥崎宮神苑花庭園」は花の名所。取材時は冬ぼたんの盛りだったが、記事になるころには春ぼたんとしゃくやくが見事だろう。
いったん天神に戻って、2005年の開業の地下鉄七隈線に乗り換えた。
薬院大通で下車。ここから浄水通りの坂を上がったあたりは休日によく訪れた場所だった。福岡随一の高級住宅街で、ブティックやカフェ、レストランなどが点在する人気のエリア。坂の上には市立動植物園があって、そこで遊んだ後に買い物や食事を楽しんだのだ。
この地にあった福岡玉屋創業者・田中丸善八の邸宅跡を整備した施設「福岡市文化交流公園 松風園」があると聞いて足を運んでみた。
昭和20年代に建てられた茶室と日本庭園のある公園で、駿河湾から観た富士山を模した庭園は、動植物園の緑が借景になった見事なものだ。
懐かしいところもあり、新しいものもある。でも、やはりここに住みたいという気持ちは変わらないなあ。
中州川端駅から地下鉄に乗り、箱崎宮前で下車。駅からの参道は街中とは思えないほど清逸な気配がただよっている。
境内ではプロ野球の福岡ソフトバンクホークスや、サッカーJリーグのアビスパ福岡の選手たちのサインが入った大きな絵馬が目を牽く。鎌倉時代に「元」の軍船が福岡に侵攻した元寇の役の際、亀山上皇が「敵国降伏」を祈願したところ、神風が吹いて侵攻をまぬがれたとされ、新年には福岡のスポーツ関係者が筥崎宮に必勝祈願のお参りをするのだ。

筥崎宮神苑花庭園
いったん天神に戻って、2005年の開業の地下鉄七隈線に乗り換えた。
薬院大通で下車。ここから浄水通りの坂を上がったあたりは休日によく訪れた場所だった。福岡随一の高級住宅街で、ブティックやカフェ、レストランなどが点在する人気のエリア。坂の上には市立動植物園があって、そこで遊んだ後に買い物や食事を楽しんだのだ。
この地にあった福岡玉屋創業者・田中丸善八の邸宅跡を整備した施設「福岡市文化交流公園 松風園」があると聞いて足を運んでみた。
昭和20年代に建てられた茶室と日本庭園のある公園で、駿河湾から観た富士山を模した庭園は、動植物園の緑が借景になった見事なものだ。
懐かしいところもあり、新しいものもある。でも、やはりここに住みたいという気持ちは変わらないなあ。
【博多名物】
ごまさば

これだけは地元でないと味わえない博多の味がごまさばだ。新鮮なさばのさしみをごまダレであわせたもの。家庭や店に寄って個性がある。
明太子

名物・明太子は戦後生まれ。「ふくや」創業者の川原俊夫が1949年に製造を開始。あえて特許はとらず、明太子の名前も自由に使えるようにしたことから、博多名物にまで成長した。辛みの中に甘みがあっておいしい。
取材先
- 【「博多町家」ふるさと館】福岡市博多区冷泉町6-10 TEL:092-281-7761
- 【櫛田神社】 福岡市博多区上川端1-41 TEL:092-291-2951
- 【株式会社ふくや(本店)】福岡市博多区中洲2-6-10 TEL:092-261-2981
- 【キャナルシティ博多】 福岡市博多区住吉1-2 TEL:092-282-2525
- 【筥崎宮神苑花庭園】 福岡市東区箱崎1-22-1 TEL:092-651-1611
- 【福岡市文化交流公園 松風園】福岡市中央区平尾3-28 TEL:092-524-8264
※このコラムは『セコムライフ』2011年春号に掲載した記事をベースにWEB用に再構成したものです。
第34回 福岡 転勤族が永住したくなる街(後編)