- 第14回
- 2016/04/26

海外、特にヨーロッパを旅して感心するのは、何百年も昔の歴史的な街並みがきれいに保存されて、それが街の個性になっている、ということ。だが、日本にだって古きよきものを残しながら、個性的な街づくりをしている都市がある。神奈川県横浜市だ。そんな横浜の街を歩いてみよう。
馬車道に残る名建築たち

神奈川県立歴史博物館
神奈川県立歴史博物館は1904(明治37)年に旧横浜正金銀行(現在の三菱東京UFJ銀行)として完成した建物。明治以降の建築物としては初の史跡指定を受けている。常設展示としては古代から現代に至る神奈川県の歴史資料を5つのコーナーで展示するほか、企画展が年に4回程度開催されている。
かつて、このあたりにファッション雑誌のグラビア撮影隊が連日のようにやって来ていたのを思い出した。ガス灯や博物館前、旧富士銀行横浜支店が撮影場所になっていた。旧富士銀行は1929(昭和4)年に安田銀行横浜支店として建てられたイタリア・ルネッサンス風の建物。石組みが美しく、撮影は馬車道側の石組みをバックに行われていた。
富士銀行は合併でみずほ銀行となり、店舗は元の第一勧業銀行に統合されていたが、建物は東京藝術大学大学院としてほぼそのまま残っていた。かつての銀行建築の豪華さを伝える見事な建物だ。
周辺を歩くと、旧三菱銀行横浜支店がイオニア式の柱があるファサードを残してマンションになるなど、古い建物の味わいを残して建てかえられたビルが多いのに気づいた。街路樹も大きく育っていて、全体に昔と同じか、それ以上の落ち着きを感じる。

日本郵船歴史博物館
ここから、赤レンガ倉庫まで歩くことにする。昔はとにかく古びた大きな倉庫で、ギャング映画にでも出てきそうな雰囲気だったのだが、2002年に文化施設、商業施設として生まれ変わったという。再生後を見ていないので、ちょっと楽しみである。
異国にいるような錯覚
見違える、という言葉があるが、文字通り見違えた。古びたレンガ倉庫はレトロな味わいは残したままおしゃれな施設「横浜赤レンガ倉庫」に生まれ変わっていた。明治時代に建てられた保税倉庫のクラシカルな外観や重厚な鉄扉はそのままに、中はホールやギャラリー(1号館)、ショップや飲食店(2号館)と、倉庫時代とはまるで違ったイメージになっていたのだ。これなら若い人も集まるだろう。
旧国鉄貨物線跡のガーター橋を渡って山下方面へ。クイーン塔と呼ばれる塔がある横浜税関のイスラム風の建物や、キング塔のある神奈川県庁、ジャック塔のあるルネッサンス様式の横浜市開港記念会館、さらには、旧英国総領事館を旧館として使っている横浜開港資料館などを辿りながら歩いていると、どこか異国にいるような錯覚に捉われる。かつては船会社や小さな貿易会社が使っていた雑居ビルで、カフェやレストランが営業しているのもエキゾチックだ。

ホテルニューグランド
横浜港にこれだけたくさんの建物が残っているのは、戦争中のアメリカ軍が占領後に使用する目的で湾岸部の建物を爆撃対象からはずしたから、と言われている。赤レンガ倉庫も戦後はアメリカ軍に接収されていたし、山下公園に面した「ホテルニューグランド」には、アメリカ軍最高司令官マッカーサーが日本到着から3日間宿泊している。ホテルニューグランドのクラシックな建物は今でも健在で、マッカーサーが宿泊した315号室は「マッカーサーズスイート」として宿泊可能だ。江戸時代の開港以来のさまざまな歴史の記録が残っていることが、ほかにはない表情をこの街に与えているのだ。
山下公園から、中華街に向かった。みなとみらい線ができて、一番変わったのが中華街だそうだ。観光客がどっと増えたという。それにあわせて、新しい商業施設もつぎつぎ登場し街の風景も変わったのだ。
それでも、「関帝廟」の前まで来ると、やはり懐かしい中華街だ。関帝廟は『三国志』で知られる蜀の英雄・関羽を祭っている。義に厚い関羽は中国では昔から商売の神様とされてきた。中国を離れ、世界を舞台に活躍するようになった華僑が、その土地土地に建てたのが関帝廟だ。
陽も沈もうとしている。ディナーは昔なじみの店で、本格中華を堪能しようか。
旧国鉄貨物線跡のガーター橋を渡って山下方面へ。クイーン塔と呼ばれる塔がある横浜税関のイスラム風の建物や、キング塔のある神奈川県庁、ジャック塔のあるルネッサンス様式の横浜市開港記念会館、さらには、旧英国総領事館を旧館として使っている横浜開港資料館などを辿りながら歩いていると、どこか異国にいるような錯覚に捉われる。かつては船会社や小さな貿易会社が使っていた雑居ビルで、カフェやレストランが営業しているのもエキゾチックだ。

ホテルニューグランド
山下公園から、中華街に向かった。みなとみらい線ができて、一番変わったのが中華街だそうだ。観光客がどっと増えたという。それにあわせて、新しい商業施設もつぎつぎ登場し街の風景も変わったのだ。
それでも、「関帝廟」の前まで来ると、やはり懐かしい中華街だ。関帝廟は『三国志』で知られる蜀の英雄・関羽を祭っている。義に厚い関羽は中国では昔から商売の神様とされてきた。中国を離れ、世界を舞台に活躍するようになった華僑が、その土地土地に建てたのが関帝廟だ。
陽も沈もうとしている。ディナーは昔なじみの店で、本格中華を堪能しようか。
取材先
- 【神奈川県立歴史博物館】横浜市中区南仲通5-60 TEL:045-201-0926
- 【日本郵船歴史博物館】横浜市中区海岸通3-9 TEL:045-211-1923
- 【横浜赤レンガ倉庫】横浜市中区新港1-1-1 TEL:1号館045-211-1515 2号館045-227-2002
- 【ホテルニューグランド】横浜市中区山下町10 TEL:045-681-1841
- 【横浜中華街関帝廟】横浜市中区山下140 TEL:045-226-2636
※このコラムは『セコムライフ』2008年夏号に掲載した記事をベースにWEB用に再構成したものです。
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