第15回
妊娠中の人は特に気を付けたい「風疹」

今回のテーマは、首都圏から全国へと流行が拡大している「風疹(ふうしん)」です。
西横浜国際総合病院小児科の小山田美香先生にお話しを伺いました。
Q.風疹とはどんな病気ですか
風疹ウイルスが原因で起こる急性の発疹性感染症で、風疹に感染した人の飛沫(ひまつ:咳やくしゃみなどのしぶき)によってほかの人にうつります。潜伏期間は2~3週間で、発疹が出る数日前から発疹が出たあと5~7日までは感染力があると考えられています。昔は感染者の多くは子どもでしたが、近年は成人男性が多数を占めています。
Q.主な症状は?
発疹、発熱、リンパ節の腫れ、関節痛などです。ただし、症状が出ない人もいます。




●発疹
風疹特有の症状は、発疹が顔面から始まることが多いことで、その後全身へ拡がっていきます。また、赤い斑点の色が麻疹(はしか)より薄く、3~4日で消えること、発疹が出る前に軟口蓋(なんこうがい:上あごの後方部)に赤い斑点が感染者の約20%に認められることも特徴です。ただし、発疹がまったく認められない人が25~50%います。
●発熱
発疹が現れる数日前から微熱や全身倦怠感があり、発疹が現れると高熱となります。ただし、子どもでは発熱が認められないことがあります。
●リンパ節の腫れ
発疹が現れる前から、耳の後ろ、首、後頭部のリンパ節が腫れることが多く、腫れは数週間続くことが多いとされています。
●関節痛
成人女性や思春期の女性が風疹にかかった場合は、約70%の人に関節痛が認められます。ただし、子どもや成人男性は関節痛になる人は多くありません。
なお、風疹の症状は子どもでは比較的軽いのですが、大人では発熱や発疹の期間が長く、関節痛が激しいことが多いと言われています。
Q.合併症は?
まれに脳炎、血小板減少性紫斑(しはん)病、肝炎、肺炎などを併発することがあります。たとえば、脳炎は感染者の4000~6000人に一人、血小板減少性紫斑病は3000人に一人の割合で発生しています。その点では軽視できない病気だと言えます。今、若い女性の間で不安が広がっている「先天性風疹症候群」も合併症の一つです。
Q.先天性風疹症候群とはどんな病気ですか
妊娠中の女性、特に妊娠初期の女性が風疹にかかると、胎児に感染し、目(白内障など)、耳(難聴)、循環器(動脈管開存症など)、精神発達や発育の遅れなどの障がいを持った赤ちゃんが生まれる可能性があります。これらの障がいを「先天性風疹症候群」と言います。
障がいが起こる可能性は風疹にかかった時期によって違ってきます。妊娠1カ月以内なら約50%、2カ月以内なら約20~30%、3カ月以内なら約5%という調査結果があります。
なお、先天性風疹症候群の赤ちゃんはすべての障がいを持つとは限らず、障がいのうちの一つか二つを持つ場合もあり、周囲が障がいに気づくまでに時間がかかることもあります。
障がいが起こる可能性は風疹にかかった時期によって違ってきます。妊娠1カ月以内なら約50%、2カ月以内なら約20~30%、3カ月以内なら約5%という調査結果があります。
なお、先天性風疹症候群の赤ちゃんはすべての障がいを持つとは限らず、障がいのうちの一つか二つを持つ場合もあり、周囲が障がいに気づくまでに時間がかかることもあります。
Q.治療法は?
風疹には特効薬がないので、自然に治癒するのを待つしかありません。もちろん、合併症が起きたときはそれぞれに対応した治療を行います。
Q.予防法は?
「これをすれば絶対安心」という予防法はないので、風疹に感染しないように気をつけたり、予防接種を受けたりするしかありません。
特に、妊娠中の人は風疹の予防接種を受けることができあにので、外出の際はマスクを着用し、なるべく人込みを避け、帰宅したら手洗いやうがいをしっかり行いましょう。
また、風疹に感染した人はほかの人にうつさないために、発疹が消えたあとも3~4日は外出を控え、外出する際はマスクを着用したいものです。
これから妊娠する可能性のある人は、生まれてくる赤ちゃんのために、予防接種を受けましょう。その際、予防接種をしたのち2カ月間は避妊が必要なことを覚えておいてください。なお、予防接種を2回受けても問題はありません。
特に、妊娠中の人は風疹の予防接種を受けることができあにので、外出の際はマスクを着用し、なるべく人込みを避け、帰宅したら手洗いやうがいをしっかり行いましょう。
また、風疹に感染した人はほかの人にうつさないために、発疹が消えたあとも3~4日は外出を控え、外出する際はマスクを着用したいものです。
これから妊娠する可能性のある人は、生まれてくる赤ちゃんのために、予防接種を受けましょう。その際、予防接種をしたのち2カ月間は避妊が必要なことを覚えておいてください。なお、予防接種を2回受けても問題はありません。
Q.私たちが、心がけるべきことは?
風疹は軽い病気だと思われがちですが、さまざまな合併症を起こす可能性があるので、まずは自分のために、予防接種を受けましょう。
もう一つは、お母さんと赤ちゃんを守るために、同居の家族の方はもちろん近親者の方たちも、予防接種を受けましょう、ということですね。
もう一つは、お母さんと赤ちゃんを守るために、同居の家族の方はもちろん近親者の方たちも、予防接種を受けましょう、ということですね。

小山田 美香(おやまだ・みか)
西横浜国際総合病院 小児科
西横浜国際総合病院 小児科
【略歴】 |
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秋田大学卒業、医学博士。専門は小児科。秋田大学医学部付属病院を経て、2011年から西横浜国際総合病院に勤務。日本小児科学会専門医、ホスピタル・プレイ・スペシャリスト。 |
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