第10回
春の検診で気になる「高血圧」

春の検診結果を見て気になるのが血圧値。今回のテーマは、「高血圧」です。
東京都杉並区にある荻窪病院・心臓血管センター・循環器内科部長の石井康宏先生にお話しを伺いました。
Q.高血圧の基準を教えてください。

わが国では、日本高血圧学会が、高血圧治療のガイドラインとして、以下の表のような分類を行っています。厳密にいうと、家庭で血圧を測る場合と診察室で測る場合とで数値が異なるのですが、だいたい収縮期血圧(最高血圧)130mmHg以下、拡張期血圧(最低血圧)85mmHg以下が正常、140mmHg以上、90mmHg以上が高血圧と分類されます。
Q.高血圧が起こる原因は?
まれに腎臓に欠陥があり、高血圧となる場合がありますが、一般的な要因として、いちばん大きいのは、やはり加齢によるものです。加齢により、動脈硬化が進むと血圧は高くなります。ただし女性の場合、月経があるうちは動脈硬化は進みにくいのですが、これは女性ホルモンに動脈硬化を抑える働きがあるためです。
Q.予防のために、普段の生活でできることは?
血圧を気にされている方は、毎日の生活習慣を見直してみましょう。そのポイントをいくつかご紹介します。

残す習慣を。
<塩分>
厚生労働省では、健康な成人の1日の塩分摂取量を男性で10g未満、女性で8g未満としています。現在、日本人の1日の平均塩分摂取量は約11~12g。急には難しいかもしれませんが、少しずつでも確実に減らしていくように心がけましょう。
<肥満>
過食や運動不足による肥満も、コレステロールを増やし、動脈硬化を進めるので、血圧の大敵です。毎日の食生活を見直すとともに、適度な運動をしましょう。運動で汗をかくと、体から塩分が出やすくなるので高血圧予防につながります。
瞬発力が必要なテニスや、緊張感を伴うゴルフなどは、あまりおすすめしません。軽いジョギングやウォーキングのように、時間をかけて、自分のペースで無理せず継続的に行える運動がおすすめです。
瞬発力が必要なテニスや、緊張感を伴うゴルフなどは、あまりおすすめしません。軽いジョギングやウォーキングのように、時間をかけて、自分のペースで無理せず継続的に行える運動がおすすめです。

飲み過ぎは禁物。
<飲酒>
お酒は、血管を拡張させるので、適量ならよいでしょう。ただし、飲み過ぎは逆効果です。とくに日本酒は糖分も多いので、飲み過ぎると糖尿病になる恐れもあります。また、お酒に合うおつまみの多くは、塩分も多いので、食べ過ぎに注意してください。
<睡眠>
十分な睡眠をとり、体を休めることは、肉体的にも精神的にもとても大切です。睡眠不足は、当然、血圧にも影響してきます。翌日に疲れを持ちこさないよう、ぐっすり眠る習慣をつけましょう。
<喫煙>

なるべく早くやめる努力を。
喫煙は、血管を収縮させて、血流の抵抗を挙げるので、血圧が上がりやすくなります。徐々に本数を減らし、なるべく早く、やめるように努力しましょう。
Q.先生は「血圧手帳」の記入をすすめられていますね。

「血圧手帳」。
とくに高齢者の場合は、朝、血圧が高くなる傾向があります。しかし、病院で測るとそれほど高くないのです。これは、「仮面高血圧」とも呼ばれ、朝食後、降圧薬を飲んで、血圧が安定したころに来院されるため、医師の前では、あたかも安定しているかのように見える症状です。
このような症状を見逃さないため、最近、多くの医師が「血圧手帳」の記入をすすめています。起床後、就寝前と1日2回、家庭で血圧を測って記入した手帳を、診察の際に持参していただきます。これにより、その人の平常時の血圧の傾向もわかり、診察にとても役立ちます。医師の前で測ると、血圧が高くなってしまう「白衣性高血圧」の人にも血圧手帳は有効だと思います。
このような症状を見逃さないため、最近、多くの医師が「血圧手帳」の記入をすすめています。起床後、就寝前と1日2回、家庭で血圧を測って記入した手帳を、診察の際に持参していただきます。これにより、その人の平常時の血圧の傾向もわかり、診察にとても役立ちます。医師の前で測ると、血圧が高くなってしまう「白衣性高血圧」の人にも血圧手帳は有効だと思います。
Q.降圧薬は飲み続けないといけませんか?
困ってしまうのは、今朝、測ったら血圧が下がっていたから、薬を飲まなかったという方。これは、薬の効果で下がっているものです。医師は、患者さん一人ひとりの血圧の傾向を考えながら、薬の処方をしています。ですから、ご自身の判断で薬を飲まなかったりすると、その後の調整がしにくくなってしまうのです。薬についての判断は、必ず医師に相談の上、行ってください。
Q.やはり、薬の副作用も気になりますが・・・。
たしかに、薬には、大なり小なりの副作用があります。ただ、人によっては、それが出ないこともあります。心配される気持ちもわかりますが、一方で高血圧による影響も見過ごすわけにはいきません。医師は、そのあたりも十分に考慮した上で、薬の処方を行っています。まずは、医師の判断を信頼し、従ってみてください。その上で、何か疑問や不安があれば、医師に相談してみることをおすすめします。

石井 康宏(いしい・やすひろ)
荻窪病院
副院長兼・循環器内科部長
荻窪病院
副院長兼・循環器内科部長
【略歴】 |
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1989年千葉大学医学部卒業。専門は心臓病のカテーテルによる診断・治療。オランダ・ライデン大学循環器放射線科スタッフ、東京女子医科大学循環器内科心臓カテーテル室長などを経て、2007年から荻窪病院に勤務。医学博士、日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医など。 |
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