防犯 2022年07月15日

被害者は高齢者だけではない!
「特殊詐欺」の手口と対策

▼ 盗みの手口は「窃盗」から「特殊詐欺」へ
財産を盗む手口は、窃盗ばかりではありません。
今、警察が対策を強化している犯罪は「特殊詐欺」。
特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして対面せずにだまし、現金を盗み取るものです。
オレオレ詐欺の名で広く知られていますが、特殊詐欺の手口は、ほかにもたくさん存在します。

かつて現金を盗み出す手口といえば、ほとんどが窃盗でした。
今では特殊詐欺による被害額のほうが多くなっています。

給与は振り込み、決済はキャッシュレスが主流になりつつある時代。
現金を自宅に置かない人が増えていますので、住宅を狙っても泥棒も盗みようがありません。

法務省の犯罪白書によれば、特殊詐欺の被害額は2012年に窃盗の被害額を上回り、以降はずっとその傾向が続いています。

△被害者は高齢者だけではない!「特殊詐欺」の手口と対策 TOPへ

▼ よくある特殊詐欺の手口
特殊詐欺の被害を防ぐには、犯行の手口を知っておくことが大切。
高齢者がだまされるイメージですが、働き盛りの世代をターゲットにした特殊詐欺があるという事実を忘れないでください。
特に注意が必要な特殊詐欺の手口をいくつか紹介します。

・オレオレ詐欺
子や孫になりすまして電話で接触。
金銭を要求する手口です。
「会社のお金を使いこんでしまった」「消費者金融で借りたお金を今すぐ返済しないとまずい」など、緊急性を強調して、巧妙に金銭をだまし取ろうとします。
家の事情を調べたうえで電話をかけてくるケースも少なくありません。
話に破綻がないので、思わず信じて振り込んでしまった...ということも多いようです。

・還付金詐欺
自治体、税務署、年金事務所の職員を名乗って、医療費や税金の過払いがある、年金の未払いがある、などという電話をかけて、金銭をだまし取るもの。
還付金を受け取るために手続きをするように言われ、指示されたとおりにATMを操作すると実際は特殊詐欺犯の口座に振り込まれます。
「手続きの期限があるから今すぐATMへ」とせかすなど、相手に考えるすきを与えないあたりも巧妙です。

・架空料金請求詐欺
「携帯電話料金の未納がある」「有料コンテンツの利用料金が未払い」などとメールやSMSなどで料金請求を迫る手口です。
「延滞料金が発生する」「法的手続きに移行する」などと脅し、被害者の不安をあおるのも手口のうち。
たとえインターネット通信事業者や、携帯電話会社を名乗っていても、不審な料金請求に即時応じるのは危険です。

・融資保証金詐欺

画像

「無担保、低金利、保証人不要」などの条件で融資を持ちかける手口。
電話のほか、SMSやメール、はがきなどで接触してくることもあります。
被害者の多くは、20代~40代の働き盛りの世代。
住宅ローンやカードローンなどを利用している人が少なくないため、「融資を受けられるなら」と連絡を取ってしまうことが多いようです。
「返済実績が必要」などと先に振り込ませ、その後も理由をつけて金銭を要求してきます。

画像

△被害者は高齢者だけではない!「特殊詐欺」の手口と対策 TOPへ

▼ 特殊詐欺の被害を防ぐ対策
特殊詐欺犯は、身内になりすましたり、実際にある企業名を名乗ったりして接触してきます。
相手が誰であれ、金銭の振り込みやATMの操作を要求されたときは、まず特殊詐欺を疑いましょう。

子や孫を名乗って金銭を要求されたら、いったん電話を切って、本人と連絡を取ってみる。
自治体や大手企業などからの金銭に関する告知は、公式ホームページを確認する。
冷静になって情報の真偽を確かめてください。

メールなら、相手のメールアドレスのドメインを確認してみましょう。
国内企業の場合「.jp」や「.com」などが使われています。あまり見慣れないドメインからのメールは、日本以外から送信された可能性もあり、何らかのサイバー犯罪や詐欺を疑うべきです。

焦らせたり、不安をあおったりして、即時に行動を促すのは、特殊詐欺犯の常とう手段。
どのような理由であっても、急いで対応するべきではありません。
まずは落ち着いて、本物の情報かどうかを確かめる。
これさえすれば、特殊詐欺のほとんどは防ぐことができるはずです。

△被害者は高齢者だけではない!「特殊詐欺」の手口と対策 TOPへ

▼ 特殊詐欺は「だまされない」と思っていた人がだまされる
とはいえ、特殊詐欺は新しい手口が次々に登場し、巧妙化する一方で、警察もすべての手口を把握しきれていないのが実情です。
コロナ禍に便乗して、「医療費の払い戻しがある」などと騙った還付金詐欺が話題になりました。
思わず信じてしまいそうな巧妙な言葉を用いて、相手をだまします。
今後も社会情勢などに便乗した新たな手口が登場する可能性が高いでしょう。

また、特殊詐欺は、電話をかける「かけ子」、だまし取った金銭を回収する「受け子」を多数使うなど、組織的な犯行がほとんどです。
オレオレ詐欺も行き当たりばったりではなく、狙った家の事情を調べ上げてから接触することが多いことから、情報収集手段を持っていることが伺えます。

還付金詐欺や融資保証金詐欺では、はがきやダイレクトメールで接触してくることもあります。
デザインや文面などを見ると、疑いようがないほど本物らしくつくられていて、誰がだまされても不思議ではないくらいです。

以前、警視庁が行った特殊詐欺の被害者へのヒアリングでは、全員が「自分が特殊詐欺にだまされるはずはない、と思っていた」との回答を得ました。
特殊詐欺が横行していることを知っていたし、不審な振り込み要求に警戒していたにも関わらず、被害にあってしまったということです。

「私はだまされない」ではなく「誰がだまされてもおかしくない」。
自分もだまされるかもしれないという意識を持ったうえで、警戒することが重要です。


* * * * * * * * *


<監修>
濱田宏彰
セコム株式会社IS研究所リスクマネジメントグループ
シニアリスクコンサルタント/防犯設備士/防災士/日本市民安全学会常任理事

濱田宏彰日本市民安全学会常任理事
濱田宏彰日本市民安全学会常任理事

侵入窃盗を中心にあらゆる犯罪情勢の調査研究を継続。各方面に対しセキュリティコンサルティングを実施。犯罪傾向・統計情報を基にリスクマネジメントの観点から、「安全・安心」な暮らしのためのセキュリティについて研究する日々。
地域の自主防災会では常任委員を務め、日々の防災活動にも注力。
また書籍『セコムが教える防犯プロのアドバイス』『タイプ別にみる働く女性の防犯対策 ライフスタイルWoman360°』などの執筆・監修に携わる。

【関連記事 pick up!
被害に遭ったら警察に。届ける時に準備しておくこととは?
「居空き」「忍び込み」の侵入を防ぐ防犯対策

△被害者は高齢者だけではない!「特殊詐欺」の手口と対策 TOPへ

セコム・ホームセキュリティ■留守中のご自宅を守る「セコム・ホームセキュリティ」

「自分でできる対策はしたけれど、長期間留守にするのはやっぱり心配・・・」という方には、防犯・火災監視・非常通報など、お客さま宅の異常発生を24時間365日セコムが見守り、万一の際には安全のプロがただちに急行する「セコム・ホームセキュリティ」もおすすめです。一戸建てだけでなく、マンションタイプや二世帯住宅タイプなどもラインナップしています。

SNSシェア
関連するカテゴリーを見る
特殊詐欺