2002年4月26日
セコム株式会社
セコム医療システム株式会社
5月から日本初の
食事支援ロボット「マイスプーン」の販売を開始
 セコム株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:木村昌平、資本金:663億円)とセコム医療システム株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:小幡文雄、資本金:2億円)両社は、5月1日から、生まれながらの身体的障害、または事故や病気、後天的な理由によって手の自由がきかず、自力で食事をすることができなくなった方を対象に、わずかなジョイスティック操作等をするだけで、自分のペースで食事ができるようにサポートする食事支援ロボット「マイスプーン」の商品化に日本で初めて成功し、その販売を開始いたします。

 セコムでは、セキュリティシステムの普及を通じて培ってきた日本最大級の情報通信ネットワークをベースに、情報通信、医療、教育、損害保険、地理情報サービスの各分野において、社会にとって安心で、便利で快適なサービスを創造し、複合的・融合的に提供する「社会システム産業」の構築に取り組んでいます。長期的な視点で、この「社会システム産業」に必要となる高度な基盤技術の研究を行っているセコムIS(インテリジェント・システムズ)研究所では、その研究テーマの一つとして医療福祉分野におけるロボットの研究を1991年から行ってきました。

 食事支援を行うロボットは、日本では例がなく、ロボットの構造や機能、使用法など、試行錯誤で研究開発を行ってきました。その間、利用対象者となる障害者の方のご協力をいただき、安全性、機能性、操作性等の向上に努めてきたほか、平成12〜13年度には、厚生労働省の認可法人である財団法人テクノエイド協会の福祉用具研究開発助成事業の助成を受け、障害者を含む専門家とのプロジェクト体制をとりながら、食事自立装置としての研究開発、フィールドテストを実施。あわせて、新たなセキュリティシステムや安全商品などを生み出しているセコム開発センターが、総力をあげてその商品化に取り組んできました。

 このような経緯で研究開発を進め、このたび、商品化に日本で初めて成功した食事支援ロボット「マイスプーン」は、これまでヘルパーの介助がなければ食事ができなかった方の「自分で好きなものを食べたい」「家族・友人と一緒に食事をもっと楽しみたい」という願いを実現するものです。

 食事支援ロボット「マイスプーン」の主な特徴は以下の通りです。

(1) 自分のペースで食事が可能
  手の不自由な方が身体の一部を使って操作装置を動かし、簡単な操作で食物を口元まで運んで自分のペースで食事することが可能である。
(2) 障害者の残存機能に応じて操作装置を選択
  1.標準ジョイスティック (あご等で操作できる、軽いタッチの操作棒)
  2.強化ジョイスティック (身体に震えがくる等の方向けの操作棒。手元でしっかり握って操作する)
  3.自動モード用ボタン (ジョイスティック操作ができない方向けのスイッチ。自動モード操作でのみ使用する)
  ※なお、利用者の身体の状況にあわせて、ジョイスティックの感度を「低」「中」「高」の3段階に切り替えることが可能となっている。
(3) 多様な食材に対応
  専用のフォークとスプーンを使用して、通常の箸で食べられるご飯やおかず、お菓子など、ほとんどすべての食品を食べることが可能。
(4) 安全性に十分配慮した設計
  日本初の福祉ロボットとして、低出力モータ採用による衝突力の低減や誤動作をした際の自動停止機能など、利用者の安全性に十分配慮した。
(5) 「マイスプーン」の使用方法は以下の通りです。
  1. 食べ物は必ず一口サイズに切って専用食事トレイに盛り付ける。
  2. 利用者にあわせて「手動モード」「半自動モード」「自動モード」のいずれかを選択。
    「手動モード」 :専用食事トレイの中の区画の選択、区画内の食物の選択、食物をつかむといった一連の操作を、ジョイスティック(標準ジョイスティック、強化ジョイスティックとも可)操作で行う。自分の意志で食べたいものを選択することができるモード。
    「半自動モード」 :専用トレイの中の区画の選択のみジョイスティック(標準ジョイスティック、強化ジョイスティックとも可)操作で行うもの。以降の操作は自動で動く。トレイの中のどのグループを食べたいかを選択できる。
    「自動モード」 :ボタン操作をするだけで、トレイに盛られた食事を自動的に口元まで運ぶモード。但し決められた順番で区画を回るので、複数の食物のうち好きなものを選択するといったことはできない。「自動モード用ボタン」(Cセット及びフルセットに含まれる)で操作する。
(6) 利用対象者
  「マイスプーン」の主な利用対象者は、手の自由がきかず、自分で食事をするのに苦労している、またはヘルパーの介助がなければ食事をすることができない方で、頚髄損傷、筋ジストロフィー、慢性関節リウマチなどの障害・病状のある方の一定数となり、日本全国で約20万人の潜在ユーザーがいると推定される。この20万人のうち、3割にあたる約6万人の方は身体障害者施設等の社会福祉施設に入所されており、残りの14万人(7割)の方は在宅で日常生活を送られている。在宅の方であっても家族やヘルパーの方が、施設や施設と関係のあるケアセンター等と密接なつながりを持っている。
(7) 販売方式と販売価格
  1. 身体障害者個人向けには、レンタル方式を採用。レンタル期間は5年とし、「短期的に病状の回復が見込める方」や、反対に「進行性の病状から長期的な使用ができなくなる不安を抱えた方」にも手軽にご利用いただけるように、1年契約の短期契約も用意した。
 

通常の契約

短期契約

契約期間

5年
以降1年ごとの自動更新

1年
以降1カ月ごとの自動更新

保証金

20,000円

20,000円

月額料金(税別)

Aセット 6,100円/月

Bセット 6,600円/月

Cセット 6,300円/月

Aセット 22,600円/月

Bセット 24,900円/月

Cセット 23,400円/月

専用トレイとフォーク・スプーンセットはお買い上げいただくこととし、上記には含めない。また、個別機器、物品単位のレンタルは行わない。

セットによって採用するジョイスティックの種類が異なる。

1.

社会福祉施設向けには、売却方式を採用。
 

安全商品として売却方式をとり、販売価格はセット販売を基本として以下の4種類のセットを設定した。

セット種別

販売価格(税別)

基本 マイスプーン Aセット

380,000円/セット

マイスプーン Bセット

408,100円/セット

マイスプーン Cセット 386,900円/セット
マイスプーン フルセット 436,000円/セット

追加等により、本体や各種ジョイスティックなどの個別機器、物品の販売も行う。
(8) 「マイスプーン」仕様
  寸法:幅28cm×奥行37cm×高さ25cm(本体のみ、収納時)
  重量:6kg(本体のみ、付属品を除く)
  最大消費電力:30W ・電源:AC100V(50/60)  ※海外では利用できません。
 

<報道関係のお問い合わせ先>
セコム株式会社 広報室 吉田 電話03-5775-8210


以上