2002年4月8日
セコム医療システム株式会社
セコム医療システム(株)が日本初となる
在宅医療向け「セコム電子カルテシステム」を3月から発売
 セコム医療システム株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:小幡文雄、資本金:2億円)は、日本初となる在宅医療に適した本格的な共同利用型の「セコム電子カルテシステム」を3月から発売いたしました。このシステムは、これまでセコムグループが培ってきた医療・情報セキュリティ・ITのノウハウを融合し、開発したもので、昨年来6ヵ所の医療機関で試験的な運用を実施し、その効果が十分なことから、2002年3月、セコム医療システム株式会社の発足を機に本格的な発売を始めました。セコム医療システムでは、このシステムの普及により、「開かれた医療の実現(つまびらかな医療)」をめざし、患者が中心で、医療の質が高く、そして効率的な医療サービスの実現に貢献します。

 厚生労働省は、電子カルテを中心とした情報化のグランドデザインを昨年12月26日に発表しました。その計画の中で、同省は今後、6割以上の医療機関に電子カルテの導入をめざしています。1999年以降、電子媒体による診療の記録が認められ、入院患者や外来患者の診療記録に電子カルテシステムを利用する医療機関が増えてきました。在宅医療を中心に医療サービスに取り組むセコムでは、在宅療養の患者さんへのチーム医療サービスを支える本格的な電子カルテシステムが、セコムのめざす「24時間365日、在宅の患者さんや家族が安心して過ごせる在宅療養」を実現するために、必要不可欠な医療情報基盤と考えております。そのため、在宅医療に注力するクリニック、訪問看護ステーション、後方支援病院、薬局、ナースセンター、患者さん間で、診療情報を共有できる仕組みは、今後不可欠になると考えています。

 セコムはこの課題を解決するため、このたび共同利用型で診療情報の共有ができる「セコム電子カルテシステム」を開発しました。このシステムは、医療機関にとってシステムの維持管理や法令改正など、メンテナンスが一切必要ない便利なシステムです。さらに、セキュリティにも十分配慮されており、セコムヘルスケアネット(医療専用のIP−VPN:Internet Protocol-Virtual Private Network:仮想専用線)を通信インフラとし、USBメモリスティックを用いたPKI(公開鍵)と個人認証まで行っています。これらにより、モバイル環境下でも安全で安心して利用できる電子カルテシステムとなっています。

 今後は、電子カルテシステムの付加価値を高めるため、音声認識機能や画像情報とのリンク機能の付加開発を検討中です。また、共同利用型のシステムとして、医療機関向けのインシデントレポートシステムや統合管理システム(ERP)、および画像情報システムも新しいサービスとして視野に入れていく所存です。 

 現在の在宅医療を取り巻く状況は、在宅医療サービスを受けたくても受け入れてくれる医療機関が少なく、入院を余儀なくされている患者さんが多いのが現状です。「セコム電子カルテシステム」は、特定の医療機関および医師に負担をかけさせないチーム医療を促進する情報基盤として、より一層在宅医療の普及に貢献できるものと考えております。  

本システムの主な特長は以下の通りです。
  1. チーム医療に役立つ電子カルテシステム
    本システムによる情報共有化によって、深夜や休日の患者さんからの緊急コールにも医師や看護婦の適切な判断と対処が期待できます。在宅療養中の患者さんを例にとると、家族からの緊急電話連絡に、自宅待機の当直ナースが電子カルテを参照し、家族への説明や主治医への指示を仰ぐことが可能になります。また、主治医が不在の時などは当番医が電子カルテを参照し、適切な判断と指示が出せるようになります。このように外来診療・一般病棟はもちろん24時間365日体制で在宅医療サービスを提供する主治医にも強力な味方と言えます。

  2. 病診連携と患者さんへのカルテ開示が容易に可能
    本システムは、在宅医療、外来診療、療養型病棟、リハビリ病棟、急性期病棟など、多くのユーザーで利用でき、院内はもとより病診や診診間でネットワークを介して患者情報の共有化が可能です。患者情報の共有化は、チーム医療や医療機関の連携に威力を発揮します。また、患者さんはインターネットを利用してパソコンから自分のカルテを参照したり症状を記入したりすることができます。

  3. 操作が簡単で短期間に導入できる電子カルテ
    インターネットの操作と同じ操作で誰でも簡単に電子カルテシステムを利用できます。定型的な業務にはテンプレート機能や書式機能が搭載されており、利用者一人ひとりに適した環境も構築できます。

  4. レンタル価格でシステム購入に比べ安価
    共同利用型なので開発費用が発生しません。さらに、導入費用、運用費用、保守費用が軽減できます。概算で、外来患者1回100円、入院患者1日300円程度の利用料金となります。

また、セコムの電子カルテシステムの技術的な特長は以下の通りです。
  1. 共同利用方式(ASP方式:Application Service Provider)で情報共有化
    (1)ブラウザ上で動作し、端末にアプリケーションを登録しなくても利用できる。
    (2)ソフトウェアも共用利用のため、初期投資やランニングコストが低減される。
    (3)成長・進化する環境であり常に最新のソフトウェアが利用できる。
    (4)システムで医療情報の標準化がされており、診療報酬請求にもデータ利用できる。
    (5)主治医・往診医・訪問看護婦(士)・薬局・患者さんが1つのカルテデータサーバーを共有するため、常に最新データが活用でき、重複するデータの打ち込みが省ける。
    (6)主治医・往診医・訪問看護婦(士)の間で電子カルテを用いて診療スケジュールを調整できる。
    (7)地域全体でカルテ情報を共有でき生涯1患者1カルテが可能になる。

  2. ネットワークアクセス
    通信回線は、セコム医療事業専用WAN:Wide Area Network(セコムヘルスケアネット)を使用しており、いつでも、国内どこからでもアクセスすることができます。また固定電話網からもPHSを利用したモバイル環境からも接続可能であり、また伝送時の漏えい、情報の盗聴、サイバーアタックから厳重に守られています。
    患者の個人認証は、ワンタイムパスワード方式を採用しているので、この方式によりインターネットを用いて、より安全にカルテ開示できる環境を提供しています。

  3. セキュリティ
    電子認証とセキュアデータセンターを中心にセキュリティ対策を行っています。システムの利用者にはPKIによる確実な個人認証を実現し、電子認証で使用する証明書はUSBメモリスティックに保存されます。これにより特殊な付属装置を必要せずに、モバイル特性に適した安全な環境を作りあげました。米国のHIPAA法にも通用するセキュリティレベルをめざしており、アクセスマネージャーやログ管理を搭載しました。
    また、カルテデータは厳格な運用ルールのもと、セキュアデータセンター内のサーバーに長期間にわたって安全に保存されます。
    これらの情報セキュリティとセキュアデータセンター(SDC)については、グループ企業のセコムトラストネット株式会社が提供しています。

  4. 使い勝手
    電子カルテでは、入力の容易さが要求されます。本システムでは、豊富なテンプレートおよびプルダウンメニューを用意して入力を簡便にしています。テンプレートはカスタマイズ可能であり、またグループ内で共有することも、個人用として使用することも可能です。  

  5. 経済効果
    電子カルテシステムのデータは、保険請求事務にも利用され、患者一部自己負担金の計算や請求書発行、レセプト発行、クリニックの経営管理などにも役立ちます。

    構築、適正な利用環境実現のためのアクセスコントロール、PKI(公開鍵基盤)に基づいた電子認証サービス、インタセコムトラストネット株式会社は、経験豊富なコンサルティング力、セキュリティポリシーに立脚したネットワークのーネットを最大限に活用する各種サービス、そしてEDI運用支援など、24時間365日休みなくお客様の経営資源のネットワークを見守り、これらのサービスを提供している。 (Webサイト:https://www.secomtrust.net/)
付録利用料金表

<報道関係のお問合せ先>
セコム(株)広報室 安田 TEL(03)5775-8210

<技術関係のお問合せ>
セコム医療システム(株)ソリューション部 出野 TEL(03)5775-8031

以上