写真:白魚<しらうお>

上品な見た目と味わいで、春を感じさせる魚

細長い流線形で透き通るように白く、見た目も味わいも上品な白魚。日本全国の沿岸付近、河口域、淡水と海水が入り混じった水域の汽水域(きすいいき)などに生息しています。旬は産卵のために川に上ってくる2~4月で、春の季語にもなっています。
江戸時代には東京でも豊富に獲れ、古くから江戸前寿司の定番のネタでした。隅田川でかがり火を焚いて魚をおびき寄せる白魚漁の様子は春の風物詩で、この時代につくられた芝居や短歌などにもよく登場します。
現在は青森県が漁獲量No.1。茨城県の霞ヶ浦、島根県の宍道湖でも名物となっていて、宍道湖では「宍道湖七珍(スズキ、モロゲエビ、ウナギ、ワカサギ、コイ、しじみ、白魚)」のひとつに数えられています。

「シラウオ」と「シロウオ」の違いは?

白魚は小さな魚ですが稚魚ではなく、稚魚の姿のまま成魚になる「幼形成熟」と言われる魚です。同じく幼形成熟で、姿も生態もよく似た「シロウオ(素魚)」と混同されやすいですが、白魚はサケ目シラウオ科、シロウオはスズキ目ハゼ科で、まったく異なる種類です。
白魚は10cmほどの大きさに成長しますが、非常に弱く、水揚げされて空気に触れるとほとんど死んでしまいます。シロウオは5cmほどの大きさで、産地の福岡県など九州地方では「シロウオの踊り食い」が名物料理になるほど強い魚です。

骨や歯をつくるのに欠かせないミネラルが豊富!

丸ごと食べられる小魚の白魚は、カルシウムが豊富な食材です。カルシウムは骨や歯を形成するのに欠かせない成分。神経のはたらきにも作用し、イライラやストレスの解消に役立ちます。また、カルシウムとともに骨や歯を形成する際に不可欠なマグネシウムリン、味覚を正常に保つ亜鉛など、さまざまなミネラルが豊富に含まれています。
ビタミンでは、ビタミンAの一種であるレチノールが豊富。皮膚や粘膜の細胞を正常な状態に保ち、免疫力をアップさせ、風邪やインフルエンザの予防につながります。

写真:白魚<しらうお>

刺身はもちろん、天ぷらやフライも美味!

白魚は鮮度が落ちるのが早いので、手に入れた当日中に使い切りましょう。鮮度が高いうちは身の透明度が高いですが、鮮度が落ちると身がすっかり白くなり、ダラッとして張りがなくなります。調理するときも、非常に繊細なので、ていねいに扱いましょう。
鮮度が高い白魚が手に入ったら、やはり刺身でまずは味わいたいもの。さっぱりした味わいなので、天ぷらフライなど、油との相性もぴったりです。また、身からは良い出汁が出るので、お吸い物卵とじにしてもおいしくいただけます。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

ほのかな甘みと苦みがあり、春らしい味わいの白魚。徳川家康の好物で、存命中は漁獲量を確保するために「御止魚(おとめうお)」とされ、献上される以外は漁も売買も禁止されていました。かつては東京湾でも豊富に獲れ、江戸っ子にはなじみ深い魚でしたが、海や河川の汚染などが原因で漁獲量は激減。現在は高値で取引されています。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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