写真:くわい

「めでたい」縁起の良い食材

ほろ苦い中にも甘みがあり、ほっこりとした食感のくわい。中国原産の水生植物で、アジア、アメリカ、ヨーロッパなどに自生していますが、食用にしているのは中国と日本だけです。小さな球形から、勢い良く芽が伸びていることから「芽(目)が出る」「めでたい」に通じ、縁起物としてお正月のおせち料理に使われます。
10月~春先まで収穫されますが、お正月の需要に合わせ、市場に流通するのは11月下旬~12月に集中。広島県と埼玉県で生産が盛んで、この2県で全国の約9割を生産しています。特に広島県福山市、埼玉県越谷市は、地域の特産品としてブランド化に取り組んでいます。

なにわの伝統野菜「吹田くわい」は超美味!

現在、市場に出回っているくわいの品種は、ほとんどが「青くわい」です。円球形で青みがかった皮で、やわらかくホクホクとした食感が特徴です。「京くわい」とも呼ばれ、京野菜のひとつとなっています。
「白くわい」は楕円形で、皮が白い品種です。主に中国で生産され、味は青くわいに比べて淡白で、シャリシャリした食感です。「吹田くわい」は、大阪府吹田市近郊で誕生し、栽培されてきた歴史の古い品種で、なにわの伝統野菜のひとつ。小粒で「姫くわい」とも呼ばれ、口当たりが良くて甘みがあり、もっとも味が良いくわいと言われています。産地の宅地化により、一時は絶滅の危機にありましたが、近年は保存活動により大切に守られています。

写真:くわい

栄養がギュッと詰まったエネルギー食材富

くわいの主な成分は炭水化物です。水分が少なく、カロリーはほぼサツマイモと同じで、野菜の中では比較的高カロリー。エネルギー補給に向いた食材です。また、サツマイモなどのイモ類と比べるとタンパク質が豊富で、その含有量は野菜の中ではトップクラスです。 さらに、ミネラルも豊富に含んでいます。体内の余分な塩分を排出し、高血圧やむくみを予防するカリウム、体内の代謝を上げる酵素の材料になり、肌のうるおいを保つコラーゲンの生成に欠かせない銅、味覚を正常に保つ亜鉛が比較的多く含まれます。また、DNAやタンパク質の合成を促し、妊娠中の女性には特に大切な成分である葉酸も含まれています。

水生植物なので、水分たっぷりで保存!

くわいを選ぶときは、丸く膨らんだ部分が固くて表面にツヤがあるもの、芽に張りがあり、ピンと伸びているものが良品です。芽がグニャグニャして張りがないものは鮮度が落ちているので注意します。おせちなどの含め煮用には直径4cmほどのものが向いていますが、素揚げにするならば、1.5~2cm程度の小さめのものが良いでしょう。
保存するときは、くわいは水生植物なので乾燥が大敵。水を張った容器に入れて、時々水を替えながら冷暗所で保存すれば、かなり日持ちします。新聞紙に包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存することもできますが、水に浸したほうが長持ちします。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

お正月料理に欠かせないくわい。含め煮などの煮物が知られていますが、丸ごと素揚げにしたり、薄くスライスして揚げ、くわいチップスにするのも美味です。くわいにはアクがあるので、調理をするときはアク抜きが必要。皮をむいたら順次水にさらし、煮物で食べる場合は下ゆでして1~2度ゆでこぼします。揚げる場合は下ゆでの必要はありません。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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