写真:ししゃも

「子持ちししゃも」は、ししゃもではない!?

丸ごと食べられる子持ちの干物で、おなじみのししゃも。ししゃもは北海道の太平洋沿岸だけで水揚げされる貴重な魚ですが、一般に「子持ちししゃも」として売られているのは、「カラフトシシャモ」「カペリン」と呼ばれる別の魚です。国産のししゃもは、このカラフトシシャモと混同を避けるために「本ししゃも」とも呼ばれています。
旬は、産卵のために海から川を遡上する10~11月中旬のわずかな期間で、産地では干物だけでなく、刺身や寿司ネタ、塩焼きなども味わうことができます。卵の入っている雌よりも、雄のほうがさっぱりとしたうまみがあり、美味とされています。ししゃもが上る川のひとつである鵡川(むかわ)が流れるむかわ町では町魚に指定され、「むかわししゃも」はブランド化しています。

北海道ししゃもは貴重品!

北海道産のししゃもの漁獲量は1970年代から急減し、一時期は400トン未満にまで落ち込みました。漁獲制限や、親魚を捕獲して卵を人工的に効率よくふ化させる取り組みのおかげで徐々に回復し、現在は1300~1400トンで比較的安定していますが、主に北海道内で消費され、本州など他の地方にはほとんど出回りません。一方、カラフトシシャモは、アイスランド、ノルウェーなどから年間30000トンも輸入されています。
ししゃもはカラフトシシャモに比べて身体が太く、鱗が大きくてハッキリしています。カラフトシシャモは細身で、鱗が小さく皮と判別できないほどで、青みを帯びた銀色をしています。

写真:ししゃも

効率よくカルシウムを摂取できる食材

ししゃもは丸ごと食べられるので、豊富に含まれるカルシウムを効率的に摂取できます。カルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富なので、成長期のお子さんや骨粗しょう症が気になる高齢者の方にはピッタリの食材です。
抗酸化作用があり、アンチエイジングやガン予防が期待できるビタミンEとセレン、脂質の代謝に関わり、エネルギーの生成を促進して疲労回復につながるビタミンB2も豊富に含まれています。青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸のDHAIPA(EPA)も含まれ、生活習慣病の予防などが期待できます。

バター焼きや揚げ物も美味!

生干しのししゃもを選ぶときは、身体にツヤがあり、子持ちのものはできるだけ大型で腹がふっくらとし、卵が詰まってしっかりしているものを選びましょう。表面がネバネバしているものは避けます。
賞味期限内に食べきれないときは、冷凍保存も可能です。冷凍のししゃもは、解凍すると腹がゆるんで身崩れしやすいので、そのまま焼いたほうが良いでしょう。グリルなどで焼くのが定番ですが、フライパンでバター焼きにしたり、天ぷらや唐揚げ、南蛮漬けなどの揚げ物にしてもおいしくいただけます。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

国産のししゃもは、北海道の特産品です。ししゃもの語源は、アイヌ語の「スス(柳)」「ハム(葉)」に由来し、漢字では「柳葉魚」と書きます。国産ししゃもは、一般に出回っている輸入のカラフトシシャモの3倍以上の価格が付けられ、産地以外ではほとんど出回りませんが、味の良さが評判で、北海道物産展やお取り寄せを利用して手に入れる人も増えているようです。栄養的には、カラフトシシャモのほうがやや脂質が多い程度で、大きな違いはありません。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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