写真:かぶ

春の七草にも数えられる伝統食材

加熱すると、トロリとやさしい歯ごたえと味わいが楽しめるかぶ。日本では古くからなじみ深い食材で、奈良時代の古事記や日本書紀にも記載があります。全国各地で伝統的な地場品種が栽培され、別名の「すずな」は春の七草のひとつとなっています。
品種改良が進み、通年出荷されていますが、旬は甘みが増して流通量が増える11~2月の寒い時期。生産量は千葉県が全体の3割ほどを占めて全国1位で、埼玉県、青森県が続きます。この3県で、日本全体の約5割を生産しています。

「小かぶ」は、東京の下町が原産地!

かぶは、伝統的な品種が現在でも各地で栽培されています。最も多く生産されている、白くて柔らかい「小かぶ」は、東京の葛飾区付近が原産の「金町小かぶ」を改良したもの。大型のかぶの代表品種は「聖護院かぶ」で、京都名産の千枚漬けの原料となります。煮崩れにくいので、加熱調理にも向いています。西日本で多く栽培されている直径10cmほどの中型種「天王寺かぶ」は、葉も茎も柔らかいことが特徴です。
滋賀県特産の「日野菜かぶ」は、長さが20~25cmほどで大根のように細長く、葉に近い首の部分が赤紫色になっています。固くて独特の辛みがあるので、漬物に利用されます。石川県の伝統野菜「金沢青かぶ」は皮が緑色。金沢名産の「かぶら寿司」に使われています。

胃腸にやさしい、消化の良い食材

かぶの栄養価は、同じアブラナ科の大根とよく似ています。消化酵素のジアスターゼ(アミラーゼ)が多く含まれ、胃もたれや胸焼けを防ぐ効能があります。アミラーゼは加熱するとはたらきが低下するので、生で食べたほうが胃もたれなどを防ぐことができます。造血作用があり、妊婦には欠かせない葉酸、高血圧やむくみを予防するカリウムも比較的多く含まれています。
また、かぶは葉にも栄養がたっぷり含まれています。のどや鼻の粘膜を強くして抵抗力を高めるβカロテンビタミンCが豊富なので、冬の風邪予防にはピッタリ。骨や歯を強くするのに欠かせないカルシウム、カルシウムが骨に写真:かぶ浸透するのを助けるビタミンKも豊富です。

保存するときは、葉をすぐに切り分ける!

かぶを選ぶときは、皮に張りとツヤがあり、手に持ってずっしりと重いもの、葉がシャキッとみずみずしいものを選ぶようにしましょう。葉の付け根が変色しているものは鮮度が落ちているので避けます。ひび割れていたり傷があるものも、味が落ちていたり固くなっている可能性があるので避けるようにしましょう。
保存するときは、葉が付いたままだと水分が奪われてしまうので、すぐに切り分けます。新聞紙にくるむかポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で4~5日保存できます。葉は傷みが早いので、1~2日で食べきるようにします。葉はサッとゆでて、小分けして冷凍保存も可能です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

煮物にすると柔らかく滋味あふれる味わいに、漬物やサラダにするとシャキシャキした食感が楽しめるかぶ。クセがないので、和食はもちろん、洋食や中華の味付けにも合う、応用範囲の広い食材です。小かぶは火が通りやすく煮崩れしやすいので、加熱するときはサッと短めにしましょう。かぶの葉はアクが少なく、下ゆでの必要がないので、そのまま汁物や炒め物に使えて便利です。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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