防災・防火 2012年03月28日

第88回 【インタビュー】プロに聞く!災害時に必要な心構えと対策

こんにちは。桜の便りも届き始め、ようやく春本番という気がします。今週末か来週末は、お花見に出かける人も多いのではないでしょうか?このお花見というイベントは日本ならではの風物詩。実際にお花を愛でているかどうかは別として、四季がある日本だからこそ感じられる春を楽しみたいものですね。

2012.3.28更新

 東日本大震災や各地で頻繁に起きる地震を経験し、大きな災害に備えなければと思っている方は多いと思います。「非常持ち出し袋」を準備したり、家族との連絡手段を確保したり、するべきことはたくさんあります。
 そこで今回は、セコムグループで地理情報サービスを展開する(株)パスコの飯田久美さんに、大地震など災害時に備えておきたいことについて、お話を伺ってきました。

大地震が起こったら、まずどう行動すべきか

 パスコは、測量技術や人工衛星などの新技術を取り入れた地図作成の技術など、パスコ独自の技術を防災にも役立て、さまざまなサービスを展開しています。飯田さんは、災害時に最適な徒歩帰宅ルートを知ることができる「帰宅支援マップサービス」の開発に関わった方です。

Q
大きな地震などが起きた時、どんな状況が考えられるのでしょうか。
A
例えば、直下型の地震が起こった場合、高い確率で大規模な停電が起こると考えられます。
東日本大震災のとき、首都圏で大規模な停電は起こりませんでしたが、もし仕事中に地震が起き、街全体が真っ暗になったら・・・と考えてみてください。それだけでかなり慌ててしまいますよね。
大地震が起こったら、まずどう行動すべきか
Q
そうですね。想像しただけで怖くなってしまします。そんな時、冷静に判断することは難しいと思いますが、どんなことに注意することが大切なのでしょうか。
A
まずは、自分自身の身を守ることが最優先です。
自宅の備えとしては、家具を固定したり、配置を工夫することが大切ですね。
もちろん非常持ち出し袋の準備や食料などの備蓄も欠かせません
また、日ごろから、ご家族の方との連絡手段も決めおいていただきたいです。たとえば、災害伝言ダイヤルを使うと決めたら、使い方についても、事前にご家族で話し合ってください。
Q
会社に防災グッズの準備も必要だと思いますが、飯田さんご自身は、なにか特別に準備しているものなどありますか。
A
会社にスニーカーは置いていますね。また、便器にかけて使える携帯トイレも準備しています。女性にとってお手洗いは特に気になる問題ですので、オススメです。
ほかにも、飲料水や非常食、防寒シートも準備しています。防寒シートは防寒用だけでなく、トイレや着替えの際などにも目隠しとしても使えるので便利ですよ。
勤務先など、"一日のうち、自宅以外で自分が一番長くいる場所"に非常用グッズを用意しておくことはとても大切です。

災害時は"むやみに移動しない"が基本

Q
仕事中に被災したとき、勤務先や訪問先などその場にとどまるべきか、帰宅するべきかの判断のポイントを教えてください。
A
まずは、勤務先から自宅までの距離を知っておくことです。歩いて帰ることができる距離は20キロが限界と言われています。もし20キロ以上あるなら帰宅せず安全な場所にとどまると決めてしまってよいでしょう。
「帰宅支援マップサービス」の実際の仮面をモニターを使って解説していただきました

「帰宅支援マップサービス」の実際の仮面をモニターを使って解説していただきました

Q
歩くことができそうな距離であれば、帰宅した方が良いのでしょうか。
A
そうではありません。災害時にむやみに移動すると、逆に危険な場合があります。無理に帰宅しようとせず、まずは身の安全を確保し、情報収集をして警察や行政からの指示に従い、冷静に行動することが大切です。
その上で、徒歩で帰ると判断した場合は、余震の心配や道路の状況などの情報を確認してください。ガラス張りのビルが多い、倒壊の可能性があるといった、リスクの高いルートは避けなければいけません。
Q
そこで、パスコの「帰宅支援マップサービス」が登場するわけですね。
A
はい。「帰宅支援マップサービス」は、ただ会社から自宅までの距離や帰宅ルートを示すものではありません。災害時にリスクが低いとされるルートを検出するほか、避難場所、災害時にトイレや水道水などを利用できる「帰宅支援ステーション」など、徒歩で帰宅するときに役立つ施設を地図上に示します
でも、やはり大切なのはむやみに移動せず、行政や警察の指示に従い冷静に行動すること。ご家族の安否が確認できたら、自分は一時避難場所にとどまって身の安全を確保したほうが、安心だと思います。
Q
無理に移動しないということは、災害時のポイントなんですね。では、「帰宅支援マップサービス」はどのように活用したら良いのでしょうか。
A
「帰宅支援マップサービス」は、ご自分で地図をプリントアウトし、自分だけの"帰宅支援ハンドブック"を作ることができます。
自分で作って手元に置いていただくことによって、避難場所やルートをいつでも確認できますし、地図を確認することで必然的に災害時には「ああしよう。こうしよう。」と頭に浮かんでくるので、災害についてご家族で話し合うきっかけとしていただけます。
帰宅支援ハンドブック

帰宅支援ハンドブック

Q

なるほど。"帰宅支援"といいながら、帰宅だけでなく災害時の心構えや防災意識の向上にも役立てられるものなんですね。私も、まずは勤務先から自宅までの距離を調べるところから始めてみます。

飯田さんから最後に、「地震は明日起こるかもしれません。防災対策はついつい後回しにしがちですが、ぜひ、何も起こっていない"今日"、準備を始めてください」とアドバイスもいただきました。このコラムをきっかけに、ぜひ、いつ起こるかわからない地震に今日から備えてくださいね。

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帰宅支援マップサービス
大地震が起こった時に、徒歩で帰宅する際の帰宅ルートを、地図に表すサービスです。帰宅支援ステーション、避難場所、コンビニ、災害病院など徒歩で帰宅するときに役立つ施設が網羅され、市販の地図では表現できない、あなただけのオリジナルの地図帳が作成できます。印刷して普段から持ち歩くこともできるので、防災意識の向上にも役立ちます。

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