その他安全 2020年11月18日

第319回 女性のためのメンタルヘルス講座「with コロナ」をしなやかに乗り切る

新型コロナウイルスの影響が長引くなかで、メンタルヘルスの不調を訴える人が増えているそうです。
先の見えない不安のなか、テレワークやオンライン授業などで人との交流が減ってしまった方も多いと思います。
孤独感やイライラ、気持ちの落ち込みなど、ネガティブな感情が去来することもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、セコム医療システム株式会社の倉井千恵さんに、コロナ禍を乗り切るために必要なメンタルヘルス対策をレクチャーしていただきます。不安を軽減し、前向きに毎日を過ごしたい方はぜひ最後までご覧ください。

2020.11.18更新

新型コロナウイルスの影響が長引くなかで、メンタルヘルスの不調を訴える人が増えているそうです。
先の見えない不安のなか、テレワークやオンライン授業などで人との交流が減ってしまった方も多いと思います。
孤独感やイライラ、気持ちの落ち込みなど、ネガティブな感情が去来することもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、セコム医療システム株式会社の倉井千恵さんに、コロナ禍を乗り切るために必要なメンタルヘルス対策をレクチャーしていただきます。不安を軽減し、前向きに毎日を過ごしたい方はぜひ最後までご覧ください。

<プロフィール>
プロフィール

倉井千恵
セコム医療システム株式会社
ケアサービス部課長
看護師
ケアマネジャー

コロナ禍がもたらした「ストレス」の正体

Q
外出時のマスク着用や三密回避が定着してきました。一方でメンタルヘルスの不調を感じている人が増えているそうです。
A
新型コロナウイルスの影響で、コミュニケーションの取り方、働き方や暮らし方など、あらゆる場面で新しい方法や考え方が取り入れられています。
誰も経験したことがない感染症の流行に社会全体が混乱していた時期は過ぎましたが、現状に漠然とした不安ややりにくさを募らせ、自覚がないままに精神的に不安定になっている人は少なくありません。
社会の劇的な変化になんとか対応していても、心がついていかないこともあるのです。

今までと違う環境や価値観に自分をあわせ、適応していく過程では、誰でもストレスを感じます。
しかし、かつてないほどの世の中の変化にストレスを自覚できないまま、今に至っている人もいるのではないでしょうか。普段と変わらない、大丈夫と思っていても、知らない間にストレスをため込んでいる方が多いように感じます。
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Q
自覚のない「ストレス」がメンタルヘルスの不調を引き起こしている。
A
心身に負担がかかる状況に置かれれば、誰でもストレス反応が起こります。
理由もなく気持ちが落ち込んだり、イライラしたりと、現れ方は人それぞれ。ひとり暮らしの女性なら、孤独感が募ってひとりでいることが怖くなることもあるかもしれません。

これらはすべて「ストレス」が作り出している、正常な心理的反応です。
自分の弱さのせいでも、誰かの悪意のせいでもありません。
なんとなく気分が沈んだり、わけもなくイライラするなど、ネガティブな考えが浮かんだときは、「私は今、ストレスを感じているんだな」「目まぐるしい現実に適応できなくて、気持ちが混乱しているんだな」と考えるようにしてください。
ストレスに気づいて、負の思考の連鎖をストップすることが大切です。

変化のなかで立ち止まり、変化を受け入れる

Q
新型コロナウイルスによる生活の変化そのものがストレスだとしたら、私たちはどうしたら良いのでしょうか。
A
「withコロナ」という言葉が使われるようになったことからもわかるように、これからもこの状況は長く続くことになるでしょう。
現状を変えられないのであれば、自分をどうやって現状にあわせていくか考えていかなくてはなりません。
そのためには、少し立ち止まってストレスを感じている自分と向きあってみましょう。

まずは、ストレスを感じる理由を自問自答してみましょう。

たとえば私は、人間関係を築くうえで、対面でのコミュニケーションをとても重要なものと考えてきました。
コロナ以降はWEB会議ツールを利用することが多くなりましたが、ICTでのコミュニケーションは一方通行になりがちで、互いの状況を共有することができないのが難点。また、コミュニケーションの量自体もぐっと少なくなりました。
普段の様子を知る誰かが私の忙しさを察してくれたり、反対に自分が察して手を差し伸べたりすることは、なかなかできなくなりました。
相手の様子や雰囲気がわからないと、言葉の選び方も難しく、仕事でもプライベートでもさまざまな支障があることを実感しています。これは、私にとってはとてもつらいことで、ストレスです。

このように、前の生活と比較して、「自分は何がつらいのか」を掘り下げて考えてみてください。
自分自身と対話することが、メンタルヘルス対策の第一歩。
気分が沈むままに任せるのではなく、自分が何をどう感じているのかを分析すると、対処方法も見えてきます。
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Q
「つらい」と感じること対して、どう対処したら良いのでしょうか。
A
どうしたら自分の受け止め方を変えられるか、具体的な方法を考えてみましょう。
WEB会議ツールでは「通じあえない」と感じるなら、なんとか相手に伝えるために他のコミュニケーションで補うことも考えなくてはいけません。
気軽に仲間と集まれなくなって、ストレス発散の場が失われたことがつらいと感じているなら、少人数で感染対策をしながら集まる工夫を考えてみるのも良いでしょう。
また、テレワークで周囲の状況が見えず、不確かな状況に不安やつらさを感じているなら、思い切ってその気持ちを上司や同僚に伝えれば、助けてもらえるかもしれません。

自分で対応しきれないストレスに対しては、自分ひとりで解決しようとするのではなく、身近な人や専門的な知識を持つ人に相談して、解決の糸口を見つけていくことも必要です。

気持ちを切り替えて「今」を受け入れれば、新しい楽しみもきっと見つかります。
いろいろなことを試して、「withコロナ」の暮らし方にあった対処方法を見つけてください。

「かかりつけ医」を持ちましょう

Q
元気に「withコロナ」を乗り切るために、何か心がけておくことはありますか。
A
女性の皆さんに、ぜひお伝えしたいのは「かかりつけ医を持ちましょう」ということ。
若いうちはあまり病院に行く機会がないかもしれませんが、いざ何かあったとき、「どの病院に行ったら良いかわからない」では困ります。
ひとり暮らしの方は特に、健康上の不安を何でも相談できる医師をひとり見つけておくことをおすすめします。

新型コロナウイルスの感染が広がり出したころ、自分の健康状態に不安を抱いた人は少なくないと思います。発熱したときや、体調が良くないとき「もしかしたら...」と心配がよぎったことはありませんか。

そんなとき頼りになるのがかかりつけ医です。
かかりつけ医に相談すれば、検査や治療もスムーズになると思います。
普段の体調を知っていて、正しく自分の身を診断してくれる医師が身近にいれば、安心して活動の幅を広げられるはずです。
Q
かかりつけ医はどのように見つけたら良いのでしょうか。
A
堅苦しく考える必要はありません。
予防接種や、ちょっとした健康不安があるときなど、ご近所にある病院に行ったとき先生の話しやすさ、病院の雰囲気や運用体制などを確かめてみてください。
「ここなら」と思うところがあれば、そこをかかりつけ医と心に決めて、何かあったときはそこに足を運ぶようにすれば良いのです。

ひとつの病院、ひとりの医師に決めておけば、カルテとして蓄積され、先生にも認識してもらえるようになります。
良い医師なら、メンタルヘルスの不調や感染の不安など、どんな話でも聞いてくれるはずです。
相性もありますから、しっくりこなければいくつか病院を回ってからかかりつけ医を決めても良いと思います。
次に病院にかかる機会があったら、ぜひ「かかりつけ医を見つける」ことを意識してみてくださいね。

* * * * * * * * *

「心が元気でいられるよう、がんばりすぎないことが大事。周囲を気にしすぎず、自分らしく前に進んでいってくださいね」と倉井さん。

コロナ禍でこれまでの常識や価値観が変化し続けていますが、ときには少し立ち止まって、自分自身の心の声に耳を傾けることが必要なのかもしれませんね。
メンタルヘルス対策を意識して、ストレスに負けないしなやかな女性を目指しましょう!
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