SECOM RUGGUTs

トップイーストリーグDiv.1
2013-2014

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トップイーストリーグDiv.1 最終節

セコムラガッツ  21 日本IBMビッグブルー  19
開催日 2013年12月1日(日) キックオフ 13:00
天候 晴/微風 開催地 日本IBM八千代台グラウンド
レフリー 梶原 晃久(関東協会) 観客数 428人

猛攻6トライで雨中の激闘制し開幕連勝!
寡黙に全身全霊、丸山隆正の覚悟がチーム奮い立たす

セコムラグビー部1:No.8西川バイスキャプテン
悩み、苦しみ、自分を越えていくNo.8西川匠バイスキャプテン
【PHOTOGRAPHED BY DAIJU KITAMURA】
 たった1勝に酔いしれたかった。「勝てばすべてが報われるだろうか」。チームのバイスキャプテンを務める西川匠は、長い苦悩と葛藤の渦にいた。キャプテンの今村六十は開幕戦のケガで長期戦線離脱。第2戦から慣れないゲームキャプテンを任された。
 見返りが欲しかったのではない。何か次へ進むための証を手にしたいだけだった。グラウンドへ出る直前、全員で円陣を組む。張り詰めた雰囲気、のち静寂。口を開いて空気を切り裂くのはいつの世もリーダーの役目。メンバーをあおり、鼓舞する。
「オレが?顔じゃない」。いつもそんなことばかり考えていた。

「自分はすごいプレーができる選手でもないし、人に対して強いわけでもない。頭がいいわけでもなく、話が上手いわけでもない。だけどリーダーをやらせてもらっている。負けが続いてみんなのモチベーションも下がっている中、練習の前後、アップ前、試合の前後、みんなの前で話をする。正直何を話したらいいかわからないです。何から伝えたらいいのか。何を言えばみんなの心に響くのか、気持ちが昂ぶるのか。ずっと考えているのに答えが見つかりません。日本代表の廣瀬俊朗キャプテンが『上手く伝えようとしても伝わらないから、思っていることを伝える』と言っていたんですけど、やっぱり僕の言葉はちゃんと伝わっていない気がします」。
 開幕からの8連敗は創部29年の歴史でワーストとなる記録だ。まだ暑かった第2戦、横河電機に前半ロスタイムまで0−3という拮抗したゲームを演じた。冬の訪れを感じさせる第7戦、日野自動車とのゲームでは7−7のタイスコアで折り返し。いずれも競って後半勝負の様相を呈したが一気に突き放され沈んだ。「ずっと思っていました。今シーズンの低迷、少なからず原因は自分にあるんじゃないかって」(西川)──

セコムラグビー部2:CTB秋葉選手
成長が期待されるCTB秋葉友幸、リーグ後半5戦でスタメン担う
 3年ぶりのディビジョン1。すべての相手は格上。しんがりからの下克上でラガッツ再始動。そんな謳い文句とともに、サンケイスポーツのトップイーストリーグ開幕特集では、まさかのメイン記事を飾った。期待と不安が入り混じる中、しかし主力組がケガで次々に戦線離脱し、チームは長い連敗街道にあえいだ。
 最終戦を待たずして9位以下が確定、ディビジョン2との入替戦行きが決定したがこのままでは終われない。最終戦の相手は、昨年の昇格順位決定戦で15−37と大敗した日本IBM。歴史をひもとけば2006年トップリーグの最終戦で敗れ、自動降格の憂き目にあった。何かにつけて因縁は深い。この試合で8点差以上、4トライ以上を奪って勝利し、相手を3トライ以下に抑えれば9位浮上の可能性を残す。ラガッツの標的ははっきりしていた。

 気持ちでどうにかなったディビジョン2と違い、このリーグでは根性論は通用しない。それでも最後の力を振り絞る選手たちを支えたのはやはり気合と根性に集約された。序盤から勝利への飢えを感じさせる荒々しいラガッツがゲームを支配した。LO佐藤雄太の突進、SO松本聖のラインブレイク、連続攻撃で敵陣深くに入ると14分、ゴール正面でペナルティを獲得する。ベンチからの指示は「ショット」(ペナルティゴールを狙え)。だが「セオリー無視かもしれないけど、狙うべきではないというのが僕の判断。4トライを取りに行くんだという前がかりの状態をリセットしたくなかった」(西川)。
 結果、タッチに蹴り出しラインアウトからトライを狙ったが失敗。先制機を逸すると逆に30分、一瞬のスキを突かれIBMに先制トライを奪われる。「ゲームマネジメントからすれば最悪。でも取れる感覚は残っていた」(西川)。前半終了間際、ラガッツはFWに徹底してこだわった。ゴール前でペナルティをもらうとタッチでもスクラムでもなく、5mからのリスタートを選択。何度もモールを組み、押しまくった。
 PR山賀敦之、中村功知、FL渡邉庸介というベテランを軸にしたモール。さらにIBMのペナルティが続き、残り時間がなくなっても躊躇することなくトライに賭けた。

セコムラグビー部3:PR山賀選手
スキンヘッド同士のマッチアップとなったPR山賀敦之
 そしてロスタイムもタイムオーバーとなった44分、とうとうIBMのインゴールを陥れた。同点トライ。最後に抑えたのはNo.8西川だった。本郷伸太郎のゴールも決まり7−5と勝ち越してハーフタイム。今季、ラガッツが初めてリードを奪った瞬間だった。
 ハーフタイムの円陣で西川は多くを語らなかった。FWには監督経験もある渡邉がいる。「一歩引いて自分なんかよりよっぽどみんなに信頼され、年も上で発言力のある」渡邉に任せようと思った。さらにリザーブスタートだったがキャプテンの今村も戻ってきた。西川はどこか冷めた感覚で、一プレーヤーに戻っていった。
 後半、先手パンチを喰らわすのはラガッツとあれだけ確認し合ったはずなのに、いきなりIBMに攻め込まれるとあっさり逆転トライ。さらにもう1トライを奪われ、あっという間に7−19とリードを広げられた。IBMは3トライ目、後がなくなったラガッツはそれでもFW戦にフォーカスして敵陣へ。22mライン付近のラインアウトからモールを組むとぐいぐいと押し込み、そのままドライブ。右に左に西川が舵を取りながら、最後はHO吉田竜二がトライ。あきらめてなるものかと必死に追いすがる。

セコムラグビー部4:LO佐藤選手
顔面を踏まれ流血しながらも最後まで体を張ったLO佐藤雄太
 5点差としたところで、安藤敬介監督はCTB今村キャプテンをグラウンドに送り出す。今村はファーストコンタクトから野獣のように体を張りまくった。人の心を動かすパフォーマンスでチームの呼び水となった。ラガッツは敵陣でボールをキープしながら優位に立つFWで攻めた。ここでも密集の中心は渡邉だった。「最後までモールで行って取り切る」。
 だが、西川は徐々に違和感を覚え始めていた。「じろーさん(渡邉)は熱くなりすぎている。みんなもその言葉を信じきっていた。モールもいいけど残り時間が10分なかったし、それを考えたら変に時間ばかりを使いたくなかった」(西川)。
 眠れるリーダーの血が目覚めた。西川は渡邉に「いや、モールにこだわるのではなく、ピールオフで切り崩しましょう」と進言する。そしてポイントからラックを連取し、FWがタテを突く形に切り替えた。残り5分を切り、敵陣ゴール前に迫る。後半36分、途中出場のHO新井幸輝がボールを持って突進。得意のランでディフェンスを突き破った。同点トライ。そして小野木匠のキックは相手の手に当たりながらバーを通過し逆転。終了間際まできて、ようやく21−19と勝ち越しに成功した。

セコムラグビー部5:CTB今村キャプテン
CTB今村六十キャプテンが開幕戦以来の復帰で勝利呼ぶ
 残り時間、ラガッツにボールをキープして守るそぶりは一切なかった。キックオフ、自陣深くからでもあと1つ、4トライ目を狙って攻め続けた。そこにどんなリスクが潜もうとためらう者は誰ひとりとしていなかった。選手全員がいつしか真のリーダーである西川の背中を見ながら、同じ気持ちで戦っていた。
 42分、ゲームが途切れた。不思議な光景だった。ノーサイドの笛が吹かれた瞬間、敗れたIBMの選手たちは次々と膝から崩れ落ち、勝ったはずのラガッツの選手たちもまた、握り締めた拳を地面に叩きつけ、頭を両手で抱えたまま天を仰いだ。たがいに死力を尽くし勝者と敗者は確かに存在したが、喜んでいる者はいなかった。
「また負けた。そんな気分でした。4トライにこだわったので勝てたことで満足した人間はいなかったと思う」(西川)。IBMと並び最終成績は1勝8敗、されど勝ち点4止まりでリーグ最下位。待ちに待った今季初勝利を選手たちは複雑な思いで受け止めた──

 選ばれし人間ばかりがキャプテンという職に収まるのであれば、西川がその座につくことはなかっただろう。人見知りの性格で感情も表に出てこない。「後輩に対してはまず自分から壁を作ってしまう。受け入れてあげるということができない」(西川)。
 それでも自己表現の方法は無限大だ。これまでの経験則や、やれることの範疇を狭めずに殻を突き動かすことで、人は限界を超えて成長し信頼を勝ち得る。「そもそも自分みたいに細い選手が社会人で通用するとは思っていなかった」。入社当時は外国人選手も多く、ついていくのが精一杯。ボールを持つことに負い目すら感じていた。そこから這い上がり、いまやラグビーの花形ともいうべきNo.8のポジションを担う。
「ナンバーエイトって聞くとペネトレーター役で、迫力があって人のいるところを突破していくイメージだけど、僕は僕のやり方でいきたい。球を生かす。できることをやる。フィールドプレーになってしまえばポジションなんて関係ないし」(西川)。

セコムラグビー部6:HO新井選手
終了間際、途中出場のHO新井幸輝が価値ある同点トライ
「おそらくこの1年、監督である自分やどの選手より苦しい思いをしてきた人間。それでも彼の奉仕の心や深い愛情があればこそ、チームを強く保てた」(安藤監督)。
 西川の心は晴れない。もがきながらの苦闘はまだ続いている。函館で生まれ、女子マネジャーだった9歳年上の姉の影響でラグビー道へ入った。流経大に進み1年の頃から“のりお”と呼ばれる。本人どこにも“のりお”の要素はなく、西川のりおと苗字が同じだけ。渡邉庸介が“じろー”なのと同じ、他意のないニックネームだ。「“のりおさん”って下からは呼ばれたくはないですね。平気でみんな呼んでいますけど」。
 昨年3月に入籍、先月8日に人知れずそっと父になった。男の子だが「凛」と名づけた。将来はラグビーをやってほしいと願う。「まだ1ヶ月。仕事や練習で疲れて家に帰っても、寝顔を見たら癒されます」。真一文字に結んだ口元が少し和らいだ。
【the author BRAVO.K】
監督の目
監督 安藤 敬介
「ハーフタイムの過ごし方を変えなければならない」
 4トライを取れなかったので勝った感はありません。終わったなという感じ。後半の入りが悪いという点をまたしても修正できませんでした。ハーフタイムの過ごし方を変えなければなりません。それでもあそこから逆転したことについてはよくやってくれたと思います。FWでしかトライが取れず、めざすラグビーは道半ば。バックスで取れるチャンスもありましたが、若い選手たちにはまだ荷重でした。順位決定戦はけが人も戻ってくる予定なので、バックスのパフォーマンスにも期待しています。
セコムラグビー部7:安藤監督
マンオブザマッチ
副将 西川 匠
「残り試合に勝ち、来シーズンの居場所を確保する」
 「勝つこと」と「ボーナスポイントを取ること」。この両方を達成することにすべてを懸けてやってきたので、みんな勝っても負けたような気分です。リードされて熱くなった部分もありますが、最後まで冷静にプレーの選択をして逆転することができました。結果は10位に終わり、下部リーグとの試合に回ってしまいますが、メンタルの弱さをクリアにしてレベルの違いを見せつけたい。残り2戦、絶対に連勝して来シーズンも自分たちの居場所を確保したいと思います。
セコムラグビー部8:LO西川 匠
試合結果ナビゲーション
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