SECOM RUGGUTs

トップイーストリーグDiv.1
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トップイーストリーグDiv.1 第8節

セコムラガッツ  0 三菱重工相模原ダイナボアーズ  103
開催日 2013年11月24日(日) キックオフ 14:00
天候 晴/微風 開催地 江戸川区陸上競技場
レフリー 工藤 隆太(関東協会) 観客数 1,159人

開幕8連敗、屈辱の103失点。このままじゃ終われない。変わり者“ムサザイル”の途切れぬ心にラガッツのDNAを見る

セコムラグビー部1:12年ぶりの三桁失点
三桁失点を喫したのは12年前のサントリー戦以来の屈辱
【PHOTOGRAPHED BY Aki NAGAO】
 燃えるようなでっかい夕陽が、選手の去ったグラウンド脇のハイウェイへ沈んでいく。
 最終スコアは0−103。だが落日を迎えた感じはない。これが現在地、再び動き出したラガッツが「いまできること」のすべてを出して、リーグ最強の相手に挑んでいった結果だった──

「負けが続けている状況だからこそ逃げてはいけない。歯を食いしばろう。もっともっと必死になろう。かっこ悪くても、周りに笑われても関係ない。馬鹿みたいに声を出そう。皆でやればそれが普通になる」。
試合前、今村六十キャプテンはチーム全員にほとばしる闘志をぶつけた。「どんなに強くても同じ人間同士だから。後悔だけはしたくない」。
 ここまで7戦全勝と7戦全敗のチームの戦いは、激情と慈愛に溢れた真剣勝負だった。三菱重工相模原は本気でトップリーグ昇格を狙いながら、喘ぐラガッツを全力で潰しにきた。
 10番をつけたスティーブン・ドナルドがピッチに姿を現す。2011年W杯、オールブラックスの正SOダン・カーター、2番手のコリン・スレイド、さらにはバックアップのアーロン・クルーデンが相次いで負傷離脱する中、緊急招集されて決勝の舞台に立ち、24年ぶりの世界一へと導いた第4の男。ジャージーの用意もなく、まったくサイズ違いでつんつるてんの黒衣を無理やりに着て、何度も引っ張り下ろしながらのプレーが印象深い。
 身長200cmのアンソニー・ボーリッチも黒衣をまとった一人だ。リザーブに控えるウェールズの英雄、シェーン・ウィリアムズ(2008年IRB世界最優秀選手)がアップに備えて上半身裸になると、協会関係者からはため息が漏れた。36歳にしてギリシャ彫刻と見紛うほどの肉体美。何ひとつ無駄がなく鋼鉄のように隆起した筋肉、ここから神業のステップと爆発的な光速ランが生み出される。

セコムラグビー部2:LO丸山選手
がむしゃらにプレーするLO丸山隆正、アタックは通用していた
 午後2時、2倍大きく、2倍強い者への挑戦が始まった。FW平均体重で13kg、エイト合計で130kg以上軽いラガッツが踏ん張った。序盤からスクラムでがっちり組み合う。スピードに乗って突進してくる相手に鋭いタックルを突き刺し、地面に倒す。また来る、倒す。三菱の波状攻撃に耐え続け、ボールを奪っては切り返す。
 立ち上がりからディフェンス9割5分のゲーム。大男たちの中でひと際目立っていたのは最も小さい選手だ。体重75kg、FW最軽量のルーキーFL撫佐俊介。タックルを買われて勝ち取った初のスタメンだった。
 撫佐はタックルだけに賭けた。CTBロツコイ・シュウペリがものすごい形相で突っ込んでくる。そこに真正面からぶち当たる。頭が芝に突っ伏すような地を這うロータックル。「重すぎてしびれた。肩が取れたかと思いました」(撫佐)。生身の人間がブルドーザーと激突したような衝撃が体中に走る。それでも倒した。起き上がってまた備える。今度はNo.8李眩羽が襲ってくる。再び突き刺した。抜かれそうになってもつかんだ足だけは離さない。
「体の小さい人間が生きる術を理解して実践している。黙々と。存在は地味だけどそれ以上にプレーの激しさが勝っている感じ」(西川匠バイスキャプテン)。

セコムラグビー部3:FB本郷選手
FB本郷伸太郎は最後尾から何度もカウンターを仕掛けた
 京都出身と言い張りながらも滋賀県生まれの撫佐。進学した唐崎中では入学と同時にラグビー部が廃部に。だがそのおかげもあってさまざまなスポーツを体得した。柔道の得意技は背負い投げ、水泳はバタフライ、陸上では円盤投げの選手だった。「大きなケガをしたことがない。頑丈な体に産んでくれたおかんには感謝しています」(撫佐)。
 京都成章高に進み、再びラグビーの道に。3年の冬には伏見工高を破って花園に出場し、全国ベスト4に輝いた。立正大では最終学年に念願の一部昇格へと導いた。
 ラガッツでは森耕太郎や佐藤雄太といった新人同士でポジションが重なることもあり、これまでなかなかメンバー入りする機会がなかった。入社して慣れない夜勤に苦しみ10kgも体重を落とした。サイズでは劣る、黙々と体を張るが主張が強い方ではない。どちらかといえば目立たない存在だった。
 イケメンかわいいキャラで売り出し中の撫佐。レッサーパンダを自認するがそのプレースタイルはハイエナのようだ。容赦なく突き刺さり、動物的に絡み付くタックル。永遠を感じさせる反復には圧倒的な説得力がある。
 我を忘れたかのように、おそらくリミッターは最初の笛が鳴ったときから外れている。決して途切れない集中力、破壊と快楽が同居する。どこかダンスパフォーマー、EXILEに通ずるものがある。踊り狂うかのようにタックルを浴びせる“ムサザイル”の真骨頂だ。
 後半10分すぎ、タックルに入ろうとして相手の膝がまともに入り、撫佐は頭部を裂傷。ついに倒れた。安藤敬介監督は大事を取って交代を告げた。「プレー時間53分で、タックル17回。自分の強みを出そうとしくれた結果の賜物。評価したい」(安藤監督)。

セコムラグビー部4:FL撫佐選手
ロータックルから何度ジャッカルを狙ったFL撫佐俊介
セコムラグビー部5:CTB湯上選手
オールブラックス相手にもCTB湯上裕盛は恐れず真っ直ぐ
 なんとも笑顔がヘタクソだ。試合後、その場で頭を3針縫った撫佐は鮮血を垂らしながらはにかんだ。必死で笑顔を作っているが、にやけたようにしか見えない。シャイで人見知りな性格。「自分、インタビューとか無理なんすよ」と逃げ惑う本人を捕まえしつこく話を聞いたが、何一つまともなアンサーが返ってこない。
小谷「マン・オブ・ザ・マッチですが?」
撫佐「・・・。いや、うれしかったです」
小谷「これまで出番がなかったが?」
撫佐「・・・。あ、出られてよかったです」
小谷「ラグビー人生で100点取られた経験は?」
撫佐「いや、ないですね。・・初めてっす」
小谷「試合を終えて、いまどういう心境?」
撫佐「・・・。そうっすね・・悔しいです」
小谷「自分をどういうプレーヤーだと思う?」
撫佐「顔がかわいいって書いといてください」
小谷「・・・・・・」

 AB型ではないが、とても変わり者だ。「コンビニのレジでゆうちょのカードを出してみたり常に行動が怪しい」(小野木匠バックスリーダー)。違う側面からも探りを入れてみる。「好きな芸人はブラマヨ、好きな女優は吉高由里子です。休みの日ですか?カラオケいったり、釣りしたり。お酒飲むのは好きですね。ウーロンハイとレゲエパンチ。他に好きなものは・・あ、においとか好きです。夏場にデートに行った彼女の足の裏とか嗅ぎたいです。いまは彼女いませんけど」(撫佐)。
 目標とする選手は啓光学園四連覇の主将、上田一貴氏(現・早稲田大FWコーチ)。小柄なのにすごいタックルとアタック、そこに自己表現の理想郷を重ねることだけはわかった。
「常にカモやと思われてきたから、何も考えんとタックルいってます。おっきい相手ばかりやし。ひっくり返せば気分はいい」(撫佐)。大きなケガはないが、顔面打撲や頭部裂傷は日常茶飯事。試合後はボクサーのように腫れぼったい目になる。それもまた勲章だ。

セコムラグビー部6:FL藤田選手
FL藤田大吾はポジションを争ったかつての仲間にハンドオフ
 撫佐の思いは風に乗り、芝生をつたってチームの熱波になった。
 総タックル数257回。一般的な試合の2試合分に相当する。大きくスコアが開いた後半残り10分を切ってなお、ラガッツの選手たちの心は折れなかった。最後の最後まで必死だった。何点取られても、行くあてのない泥臭さと激しさが残った。CTB姫野拓也の痛いタックルに大男は何度も膝をつき、顔を歪めた。負けることが大嫌いなLO佐藤はとにかく前を向いて起点になろうとした。FB本郷伸太郎はどこまでもアグレッシブだった。
 新たな血が入った今季。2001年、三菱重工相模原を相手に103点を取ったのはセコムの方だった。過去から現在へと移りゆき、トップリーグを知る者が減った。それでもかつてのチームメートには、ラガッツの変わらぬ熱が懐かしく感じられた。
「最後まであきらめない姿勢というのをものすごく感じました。得点は取ったけどずっと前に出てやるって気持ちはセコムの方が強かった気がする。本当に学ぶところがありました。ジャージーから戦術まで、手作り感に溢れていてすごくよかったです」。古巣相手に2トライ、フル出場で暴れたFL堀越健介が振り返った。ラガッツのDNAは生きていた。

 やっぱり負けた。103点を失った。それでもちぎれるほどに戦い、たしかに得たものはあった。やがて大きな軌跡を描くための80分間は、決して見世物ではなかった。脳天を突き抜ける限界の針、心臓に突き刺さる無骨な思い。傷つき、また突き動かされて立ち上がる。
 オレたちは負け犬なんかじゃない。リーグ最終戦は12月第一日曜日。すべてをここに。
【the author BRAVO.K】
監督の目
監督 安藤 敬介
「さまざまな要素を飲み込んで次戦は今季の集大成に」
 この点数の差が今のクラブの総合力を反映していると思います。どうしてもディフェンスの時間が長くなるので、低いタックルで強いランナーを止め、1秒でも早くグラウンドに倒し切る。アタックはエリアを意識しながら敵陣で戦うことをめざしましたが、最終的にこれだけの点差となってしまいました。連戦で疲労もありますし、限られた準備時間しかありませんが、リーグ戦を負けたままでは終われません。さまざまな要素を飲み込んで勝ちにいく。今シーズンの集大成のつもりで勝ち点5を取りにいきます。
セコムラグビー部7:安藤監督
マンオブザマッチ
副将 西川 匠
「最終戦も挑戦者としての気持ちを忘れず勝利をめざす」
 これが現実です。昇格したばかりのチームと、本気でトップーグを狙うチームの差と実感しました。三菱さんはこれといって特別なことはしてこなかった。一人ひとりの強さや巧さがボクらよりもあったということ。格下で最下位のチームに対してウェールズ代表、オールブラックスの選手を出してきてくれたことには感謝しています。ただ、自分たちも大差の中にも通用する部分があった。各々が感じていると思いますがこれは収穫です。最終戦も挑戦者としての気持ちを忘れず勝利をめざして戦います。
セコムラグビー部8:LO西川 匠
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