SECOM RUGGUTs

トップイーストリーグ
2009-2010

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昇降格順位決定戦2回戦

セコムラガッツ  50 秋田ノーザンブレッツ  10
開催日 2010年1月17日(日) キックオフ 14:00
天候 晴れ/強風 開催地 県営熊谷ラグビー場
レフリー 鈴木 正史(関東協会) 観客数 100人

新たな歴史築いた1年、最後は「笑顔」の似合うシナリオ。痛快なトライラッシュはファンへのささやかな恩返し

セコムラグビー部12:山賀選手
山賀敦之の生涯初トライの夢は、来季に持ち越し
【PHOTOGRAPHED BY AKI NAGAO】
セコムラグビー部2:千巌選手
試合を重ねるたび昂ぶりを抑え切れなかった千巌和彦
セコムラグビー部6:中村選手
途中出場の中村功知、大器の片鱗を覗かせたシーズン
 きっとこの結末は、はじめから用意されていたものだったのだろう。今季最多8トライ50得点の大勝。笑顔が弾けたノーサイドは、選手たちへの何よりのご褒美となった。
 シーズン最終戦、ラガッツは前半7分、HO安藤敬介のトライで先制するもその後は追加点が奪えず、30分過ぎからはゴールラインを背負う我慢の展開。5−3と僅差でハーフタイムを迎えた。それでも「風下だったし、当然接戦になるだろうと思っていた」とキャプテンの姫野拓也。ロッカールームに戻るなり、皆に伝わるようあえて大声を張り上げた。「よぉーし、後半勝負だ!」。
 後半、1年間練習でやってきたすべてがついにグラウンド上で爆発した。3分、姫野主将のトライを合図に得点ショーの幕が上がる。10分には、相手ゴール前のラインアウトからモールを押し込み、LO沢口高正がトライ。優位に立つスクラムでも、勝負どころで相手ボールを押し込みターンオーバーに成功した。
 1対1で勝負する、少しでも前に出る、外での球出し、深いサポート。めざすテーマをやりきり、ボールをつなぎ、相手の間のスペースを駆けた。FLの西川匠は試合中、冷静に相手選手の顔を見ることができた。「バテてるなと感じた。肩で息をしているし、足が止まっていた。自分たちのリズムでラグビーをやる楽しさを実感できました。これがやりたかったラグビーなんだなと」(西川)。
 途中交代で入ってくる選手たちも出色のパフォーマンスで応えた。2年目のPR中村功知、巨体を揺らしてボールを運び、ハンドオフで相手を突き飛ばした。絡まれながら半身でも前に出て、きれいにボールを供給。「いつもより早い時間に使ってもらえたんで。最後だし気合い入りました」(中村)。まだ幼さの残るはにかんだ笑顔が憎めない。その後もラガッツの勢いは止まらなかった。22分、NO.8高根修平がラインを突き破り豪快なトライ。25分には姫野主将がこの日2つ目のトライで続くと、29分にはFL西川がうれしい社会人初トライをマーク。11月のリーグ戦で苦汁をなめた相手から36−3と大量リードを奪う。そして、SH樋口勝也に代わり、背番号20がピッチに登場した──
セコムラグビー部4:宮澤選手
1年間自然体でメンバーと接した宮澤永将の熱情
【PHOTOGRAPHED BY YUKA SHIGA】
セコムラグビー部5:高根選手
不動のNO.8として存在感を放った高根修平の縦突進
セコムラグビー部6:西川選手
初トライの西川匠「高根さんがいいパス放ってくれたおかげ」
 宮澤永将、32歳。日本体育大からセコムに入社したのは今から10年前。しかし、そのプレーはファンの記憶に残るものではなかった。わずか2年でジャージーを脱ぐ。幾度もケガで戦列を離れ、レギュラーの座はあまりに遠かった。残されていたのは、営業として社業に専念する道だった。
  引退後、宮澤はチームと距離を置いた。トップリーグの舞台で活躍する後輩たちの姿を追うこともなかった。「正直言って、ラガッツに対する愛着心はほぼないに等しい状態でした」(宮澤)。
 突如としてチームから現役復帰を打診されたのは4月のことだった。今春、部員16人からスタートした新生ラガッツの自主活動。だが致命的な問題があった。“SHがいない”。姫野主将やWTBの河村雄二、新人の山田久郎らがテストしたが本職の動きとは雲泥の差があった。
 白羽の矢が立ったのは会社で働く若手OB。幸いにもカラダは生きていた。宮澤は引退後、大学時代の仲間とビーチフットボールに参戦し、チームのキャプテンとして2度の全国制覇。TBSの「SASUKE」から出演オファーを受けたことがあるほど、強じんフィットネスの持ち主だ。だがもう一度、生活の中にトップレベルのラグビーを織り交ぜる気持ちは湧いてこなかった。「どうやって断ろうかとそればかり考えていた。でも心のどこかに何か断ち切れない思いもあり・・・」(宮澤)。
 数日後、チーム代表の荒川泰から電話があった。「ミヤ、このような状況になっても必死で頑張っている選手たちを一度でいいから見てほしい」。
 とりあえずと軽い気持ちで参加した練習。あの時の光景を、宮澤は生涯忘れることはないだろう。「選手たちが本気でキラキラと輝いていた。どの顔も真剣で、監督やキャプテンだけが意見するのではなく、メンバー一人ひとりが発言し、必死に勝つためのラグビーをしようとしていた。とても強化中止を言い渡されたチームとは思えなかった」(宮澤)。
 心底、感動した。帰り道にはすっかりその気になっていた。「断るなんて気持ちはこれっぽっちもなくなっていた。そんなことより、みんなの力になるにはどうしたらいいか。もう心はラガッツ一色で、希望の未来しか見えませんでした。単純ですよね」。
 それからは早く次回の練習に行きたい。そんな毎日だった。一緒にプレーしたことのないメンバーばかりだったが、自然体で接した。最終的には昨季までのメンバー・樋口の復帰で全試合リザーブに甘んじたが、タイプの異なる攻撃的なSHは、ゲーム終盤にチームのリズムを変えられる貴重な存在として輝きを放った。
「頭の先から爪先まで、すべての感情を体じゅうで奮えた年。試合を重ねるごとに、自分がチームの一員になっていく感覚が強くなっていった。たぶんチーム全体が一つにまとまっていった結果なんだと思う」(宮澤)。最終戦の出場時間は11分。宮澤がスペースにパスを放るだけで周りの選手たちが躍動した。31分にFB加藤祐太、ロスタイムにWTB河村がトライ。SO升本草原が角度のあるコンバージョンをど真ん中から撃ち抜き、最終スコアを50点に乗せた。
セコムラグビー部7:河村選手
終了間際、石橋秀基からのパスを受け河村雄二がトライ
セコムラグビー部8:姫野主将
率先垂範の主将・姫野拓也は持ち味の機動力で2トライ
 今シーズン、13本の試合観戦記に絡めながら綴ってきたエピソードはほんの一握りにすぎない。リーグ戦に出場した24人の選手たち、出場は適わなかったがチームを盛り立てた赤嶺良太郎、中井高志、小俣圭輔の3人。そしてチームスタッフ、トレーナー、ドクター。その誰もが青春ドラマの主役だった。
 最後に1年間、主将を務め上げた姫野。雑誌『Number』の大学ラグビー特集を読みながら思った。「チームはキャプテンの色で左右される。そんな記事を何本も読んだけど自分にはしっくりこなかった。今年のラガッツはみんなで作ったチームだし、自分は一生懸命に練習して、CTBとしてタックルもアタックも前に出ようとしただけ。口も上手いわけでもないし、ジローさんみたいに説得力のあることも言えないから」(姫野)。
 それでも頬はこけ、昨シーズンより体重は5kg落ちた。激務を全うした姫野が手にした境地とは。「はっきりしたのは練習しないで勝てるほど勝負の世界は甘くないということ。栄養摂ることも体を休めることも大事だし、トップイーストはどこも強化している。その反面、矛盾しているかもしれないけど、やっぱりラグビーって気持ちでどうにかなる部分があることも確信できた。チームの一体感はどこよりもあったし、それは相手チームにも見ている人にも伝わったと思う」。
 楕円球にとりつかれながら無償の愛に生きた選手たちの物語は、ひとまずここで終わりを迎える。語りつくせぬ青春の日々。棄権も危ぶまれたラガッツは最後まで戦い抜いた。選手全員の五感は研ぎ澄まされ、人間力が格段に向上した。あんなにも辛い日々だったのに、気付けば喜びと感動にまみれたかけがえのない時間。1年前、セコムラガッツに同情の目を向けていた人々の中には、今の彼らをうらやむ者さえいた。
 人生、現実を見つめなければならないときもある。しかし、そんなの退屈すぎる。夢と現実、どちらかを選べと突きつけられて夢だけを追いかけた1年。今のラガッツの仲間とだったら、その両方だってつかみにいける。火のついたハートが真っ赤に燃えている限り。

この笑顔が見たかった。周りに支えられながら貴重な経験をした1年
セコムラグビー部9:笑顔のラガッツ一同

セコムラグビー部8:渡邊監督 監 督  渡邉 庸介
「先が見えなくても挑戦することの大切さを実感」
 後半意図した戦いができたのも、前半耐えることができた結果だと思います。メンバーも少しずつ変えていってその選手たちが活躍してくれました。今季初めての経験でしたが、これがラガッツのすべてを出した戦い方だと思います。
 1年間、プレーヤー兼任の監督として難しい部分もありましたが、チームをまとめる上で一つの目標に皆の意識が向いていく瞬間は、なんとも言えない充実感がありました。「先が見えなくても挑戦することが大事なんだ」と肌身で感じることができました。選手一人ひとりが自立して、責任感を持って意見を言って、本当に大きく成長できたと思います。僕たちは幾度となく壁にぶつかりましたが、皆様の支えがあったからこそ、最後まで戦い抜くことができました。これからも応援よろしくお願いします。

セコムラグビー部9:姫野主将 主 将  姫野 拓也
「皆に感謝、このチームでラグビーがやれてよかった」
 最終戦を最高の形で終えることができました。本当にたくさんの方々に助けていただきながら、ここまで来ることができたと思っています。心から感謝の気持ちでいっぱいです。試合では、今シーズンずっと感じていたチームとしての一体感をより強く感じました。まさに「ONE TEAM」そのものでした。
 このチームでラグビーがやれて本当によかった。ラガッツは最高のチームだと思えた1月17日でした。周りから推されてキャプテンになり、序盤は自分のタックルミスで試合に負けたりもして、パフォーマンスに対してプレッシャーも感じていましたが、みんなのおかげで乗り越えられました。11月に膝を痛めて今季絶望と言われながら、半月で復帰できて、またみんなと一緒にラグビーができたことも夢のようです。

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