SECOM RUGGUTs

トップイーストリーグ
2009-2010

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トップイーストリーグ最終節

セコムラガッツ  7 三菱重工相模原ダイナボアーズ  62
開催日 2009年12月19日(土) キックオフ 14:00
天候 晴れ/微風 開催地 三菱重工相模原グラウンド
レフリー 三宅 渉(関東協会) 観客数 600人

リーグ戦を終えてようやく辿り着いた本当の「答え」1勝10敗で11位、年明け関東社会人1部との入替戦へ

 泣けた。最後は自然とこみ上げてくる涙で視界がにじんで見えなくなった。後半ロスタイム。今年1年、監督としてチームを牽引した渡邉庸介が動かないはずの膝を振り上げて全速力で相手に襲い掛かる。「バチンッ」。まるで交通事故のような激しい音とともに、タックルした渡邉もろともがもんどりうってグラウンドに倒れこんだ。そして、何事もなかったような顔で再び立ち上がり走り出す選手たち。どんなに点差が離れても、勝ち目がなくなっても、最後まで熱き思いを貫いた。
 そこには笑顔もあった。苦しいときも皆で声をかけあった。みんな見てくれ、これがラガッツのラグビーだ。それは、セコムラグビー部が、もうずいぶん長い間忘れていた大切なものを、ようやく取り戻した瞬間だった。
 試合前日──。時計の針は午後11時を指そうとしていた。今年1年間の総決算として挑む最終戦に向けた練習が終わり、選手たちの荒い息づかいと練習着からは汗が白い湯気となって立ち昇っていた。
 冬の狭山の冷え込みは厳しい。氷点下3度。「みんな体感温度は高いけど、ずっと体を動かしてないと。少しでも止めたら体が動かなくなる」(FL浅野和義コーチ兼任)
セコムラグビー部1:姫野主将
ひたむきに渾身のタックルを浴びせる姫野拓也主将
【PHOTOGRAPHED BY YUKA SHIGA】
セコムラグビー部2:樋口選手
9月にチームに戻り、全試合でスタメンを張った樋口勝也
セコムラグビー部3:都出選手
都出清士郎の献身的な仕事は若い選手たちのお手本
セコムラグビー部4:高根選手
攻撃の起点として体を張った高根修平の表情には笑み
 5日前に東京ガスとの激闘を演じたばかり。仕事の合間を縫って火曜、木曜と練習を行ったが「これが最後だし、後悔したくなかった。集まれるヤツだけでもやろう。最後に気持ちを確認しようと言って声をかけた」(HO安藤敬介)。本来ならば身体をゆっくり休ませたい試合前日の夜、あえてイレギュラーともいえる練習メニューを組んだ。前述の浅野をはじめ、PR山賀敦之、LO都出清士郎などベテラン勢も元気に顔を揃えた。「これが最後の練習と思うと、自分の中に何も残したくなかった。明日、グラウンドにすべて置いてこようと誓った」(SO升本草原)。
 迎えたリーグ最終戦。遥かには、白く雪化粧した霊峰富士が美しくそびえる。雲の切れ間から時折降り注ぐまばゆい光が、御光のように選手たちを照らしていた。
 どのチームも勝ちたい気持ちは同じだ。優勝を、トップリーグをめざし毎日、体を鍛え上げ、血へどを吐きながら苦しい練習に励み、泥にまみれている。いくらラグビーへの思いが強いからといって、この状況でラガッツが勝つことは決して容易なことではない。
 対戦相手は創部以来、セコムと幾度の名勝負を繰り広げてきた宿敵・三菱重工相模原ダイナボアーズ。3季ぶりのトップリーグをめざす強豪はNTTコミュニケーションズ、横河電機との直接対決に連敗し、トップリーグ昇格に黄信号が灯った状態。この試合の結果次第ではプレーオフ進出(3位以内)も危ういとあって、チームにみなぎる熱気はラガッツに勝るとも劣らないものがあった。「セコムの状況を知っているだけに、本気でやって倒すことが礼儀だと思った。重工にとってラガッツは昔からのライバル。そのチームに勝つことは、オレたちにとっても大きな意味がある」。昨年までのチームメートである三菱重工相模原のFL堀越健介の弁だ。
 開幕の頃はびっしりとサインや文字が並んでいた戦術シート。最終戦の約束事はたった3行だった。
一、全員、最後まで声を出すこと!
一、全員、最後まで前に出ること!
一、全員、最後まで諦めないこと!
 おそらく誰もがラグビーを始めた少年時代に教えられたごくごく当たり前のこと。それが最終戦の選手たちの心を支配した。この1年間の思い、これからの80分間で出しきろう。自分がラグビーが好きだということ。ラガッツのことが好きだということ、たくさんの人たちへの感謝の気持ち、全部出し切ろう。そして、この3つの約束を全員が最後までできたとき、このチームは何かを手にすることになる。
セコムラグビー部5:宮澤選手
脅威的なフィットネスで後半リズムを変えた宮澤永将
セコムラグビー部6:小嶋選手
FLとWTBをこなす小嶋辰紀は貴重なスーパーサブ
セコムラグビー部7:今村選手
バットマンばりのフェースガードでフル出場の今村六十
 試合が始まった。序盤から接点で激しいボールの争奪戦が勃発。開始早々の3分、ゴール前の密集から相手FL堀越にトライを奪われ先制される。その後もCTBヘナリ・ベラタウの3連続トライなどで0−31と大きくリードされて前半の40分を終えた。
 厳しい戦い。だが、最後までやると決めた。そこにあるのは情熱だった。そして、このチームで戦い抜く覚悟だ。一生懸命、まともに戦う選手たちの姿は見る人の心に勇気を与えてくれた。後半、さらに3トライを追加され0−50、それでもまったく歯が立たないわけではなかった。「ふとした瞬間に隙ができる。そこを見逃さずに突いていければ必ずチャンスは来る」(SH樋口勝也)。
 そして後半28分、自陣からオープンに展開して、WTB加藤祐太が抜け出す。ディフェンスをギリギリまでひきつけてオフロードパスを放ると、CTB今村六十をフォローして再びリターンでパスをもらい、インゴールへ一直線。ゴール真下に飛び込みついに1トライを奪った。リーグ戦、実に200分ぶりとなるスコア。加藤は喜ぶ間もなくボールを小脇に抱えて走り出すと、時間を惜しむかのようにドロップでコンバージョンを決める。
 勢いに乗るラガッツはさらにもう1本とあらゆるオプションを使ってアタックを続ける。大きな歓声に包まれるグラウンド。ラスト15分の攻防は、観客も敵味方関係なく、そこで繰り広げられる激しく熱いプライドを懸けた男たちの戦いを見守った。
 ノーサイドの笛が鳴り、リーグ戦は終わりを迎えた。2003年トップリーグに昇格して以降、勝利という結果を追い求めるがあまり、思うようにいかないチーム作りの過程でラガッツは多くのものを見失っていた。軋轢をも恐れぬ本気の対話、本番に懸ける情熱、仲間への信頼、愛、周囲への感謝の心、そして上を向いて戦う勇気。皆、どのように口で、体で表現していいのかわからなくなっていたものばかりだった。戦い終えた選手たちはかけがえのないこの1年、誰に言われるわけでもなく、知らず知らずのうちに大事なものを手にしていた。
セコムラグビー部8:加藤選手
執念でもぎ取った加藤祐太のトライが未来を切り拓く
 最終戦、大敗したが心に響く最高のラグビーだった。そして、三菱重工相模原のファイトにも敬意を表したい。図らずもこの試合の翌週、リーグ最下位のJALが2勝目を記録し、ラガッツの最終順位は12チーム中11位で確定した。11戦で10トライはあまりにも寂しいが、それもまたラガッツの歴史に刻まれる1ページとなろう。新年早々には関東社会人1部リーグとの入替戦に臨むことになる。
「気持ちを切らさず、もっと成長したラガッツをお見せできるよう、『One Team』に磨きをかけていきたい」(渡邉監督兼任)
 今シーズンが何のためにあったのか。ようやくその答えに辿り着いた選手たち。多くを学び、成長を続けてきた狭山グラウンドでの日々、誰もがこの学び舎から卒業したくないと願うだろう。しかし、はじまりがあれば終わりは必ず来る。それは、次のはじまりを待つための儀式に等しい。
 年明けの2試合、少しだけ伸びたその「終わり」を笑顔で終わらせるため、ラガッツは再びグラウンドへ。

セコムラグビー部7:渡邊監督 監 督  渡邉 庸介
「新しい発見や違った価値観に出会えたシーズン」
 はじめに、リーグ戦最後まで多くの声援ありがとうございました。大差になってしまいましたが、アタックでは要所でラガッツらしさを出すことができました。今まで人頼みで意見が言えなかった選手が堂々とチームのために意見を言ったり、些細なミスにも厳しくなったり、一人一人が自立できた年でした。仕事でもそうですが、何かを変えるのは自分自身が考えて行動することが必要です。当たり前なことですが、なかなかできるものではありません。でも皆が考え、行動してきたことで新しい発見や、今までとは違った価値観を持つことができました。ギリギリの状態ではありましたが、まずはリーグを戦い抜けたことを嬉しく思い、感謝の気持ちでいっぱいです。

セコムラグビー部8:姫野主将 主 将  姫野 拓也
「このチームはまだまだ伸びる、手ごたえ感じた戦い」
 序盤受けに回ってしまったのがもったいなかったです。簡単なタックルミス、ディフェンスのミスが多く、それを巧くトライにつなげられてしまいました。しかし全体を通してみると、我慢して止め続けていた時間帯も多かったです。アタックに関しても、やってきたことはかなり出せたと思います。正直手ごたえはあります。しかしそれを80分継続することの難しさも痛感しました。このチームはまだまだ伸びると思います。

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