SECOM RUGGUTs

トップイーストリーグ
2009-2010

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トップイーストリーグ第7節

セコムラガッツ  3 NTTコミュニケーションズ  69
開催日 2009年11月15日(日) キックオフ 13:00
天候 晴れ/弱風 開催地 NTT千葉総合運動場グラウンド
レフリー 近藤 栄作(九州協会) 観客数 550人

見出し

 焼けるような喉の渇きを覚えた。ついさっきまで激闘が繰り広げられていた芝の上に立つと視界が何度も歪んでは、ぐらぐらと揺れた。
 ずっと気持ちだけが、人間のすべてを司っているのだと思っていた。勝ちたいと強く念じる心があれば、どんな相手にだって挑めるはずだと。空はこんなにも青く透き通っているというのに。眩しい陽射しが、優しく体を包み込んでくれるのに。みんな必死に楕円球を追いかけた。掠れた声で倒れこむ仲間を鼓舞し、何度やられてもトライを狙って走った。それでも、好きなだけじゃダメなのか。こんなにもチームを想い、ラグビーを愛して、目の前の一戦にかけて戦った結果は──
セコムラグビー部1:渡邉監督兼任
体を張ってラガッツの精神を代弁する渡邉庸介監督兼任
【PHOTOGRAPHED BY YUKA SHIGA】
セコムラグビー部2:山賀選手
山賀敦之がボールを持って突進するシーンも
セコムラグビー部3:今村選手
抜かれても外されても指一本でもしがみつく今村六十
 3−69、惨劇だった。試合後の円陣、言い様のない悔しさとともにこみ上げてくるものを必死で押しこらえた。胸いっぱいに広がる喪失感。冗談じゃない。ふざけんな。こんな試合で涙なんか流せるか。選手の誰もがそう思っていた。それはあくまで降参はしない、絶対に最後まであきらめないという意志の表れだった。
 第7節、セコムラガッツはいよいよトップリーグを狙う上位陣との対戦を迎えていた。全勝で首位をひた走るNTTコミュニケーションズシャイニングアークス。妙に穏やかすぎる、暖かな気候は嵐の前の静けさだろうか。何かが起こる予感めいたものがあった。
 だが、波乱はなかった。次々に襲い掛かってくるアクシデントにラガッツは対応できなかった。まずはNTTのメンバーが代わってしまったこと。SO君島良夫が試合前日の練習で負傷。急きょメンバーから外れた。安定したキック力を持つ君島が、キックを多用してくると踏んでいたが試合が始まると、もう立ち上がりからビデオで分析していたNTTのラグビーとは程遠かった。代わったSOはラインを前に押し上げながら、テンポ良く両WTBを走らせる。前半開始わずか6分、7人制日本代表のWTB友井川拓に走られ、先制トライを奪われた。
 続く14分、切り札のFB石橋秀基が倒れた。相手と空中でのボールの競り合いから地面に崩れ落ち、起き上がることができない。ハイタックル気味に入った相手選手の指が顔面に引っ掛かり、そのまま目の周りがえぐれたように開放していた。出血は簡単には止まらなかった。
 結局一時交替で入った河村雄二がそのままWTBに入り石橋は退場。これまでFBだった加藤祐太をWTBに、WTBだった石橋をFBで起用するという布陣で、新たなアタックの準備をしていたが披露する間もなく、チームは作戦変更を余儀なくされた。
 直後、再び友井川にスペースを走られトライを許すも、その後はNTTのペナルティが続き、落ち着きを取り戻したラガッツ。しかし、せっかく手にしたマイボールも、ラインアウトがまったく取れずに流れを引き寄せることができない。「前半風上に立ちながら自分のスローイングが悪くて陣地が獲得できなかった。せっかくスタメンのチャンスを手にしたのに情けない」(HO海老沢洋)。
 そして前半30分すぎ。監督兼任、ラガッツの精神的支柱である渡邉庸介の顔が苦痛に歪んだ。「パチンッ」。その金属音にも似た嫌な音を自分の足元で聞いてしまった。倒れこんだまま顔を上げると、相手のNO.8ダレン・マーフィーの巨漢が膝に覆いかぶさっていた。それでも「ここで下がるわけにはいかない」。渡邉は、なんとか立ち上がると何事もなかったような涼しい顔でスクラムまで小走りに駆けていった。
セコムラグビー部4:西川選手
強烈なタックルを浴びる西川匠、仰向けの屈辱を晴らせ
セコムラグビー部5:都出選手
研ぎ澄まされた集中力でボールに絡む都出清士郎
セコムラグビー部6:選手たち
惨敗にも決して下を向かず、力の限り走り出す選手たち
 前半だけで大量30点のリードを奪われたラガッツ。くそったれ。これ以上やられてたまるか。全員が必死だった。なんとか流れを変えようと次々にリザーブ陣がグラウンドへ。SH宮澤永将は小気味よく球出しのテンポを変えながらボールをさばく。コーチ兼任のFL浅野和義は大声を張り上げてチームに活を入れる。抜かれても、外されても追いかけては手を伸ばすバックス陣の背走。
 試合終盤、スクラムはめくり上げられ、ブラッドリー・ミカ、マーク・ジェラードといった強烈すぎる外国人選手の突進にディフェンスは破綻した。「なめられてるよ!」。LO西川匠が目を剥いて叫んだ。オレ達はあきらめたら終わってしまう。やらなきゃ明日はない。
 春先には16人まで減ってしまった部員。チーム存亡の危機。それが今や毅然とした態度で立派にリーグ戦を戦っている。ラガッツに今年現役復帰した選手は一人や二人ではない。昨年12月27日、トップイーストリーグ最終節、秩父宮で行われたラガッツ×NTTコミュニケーションズ戦。LO都出清士郎はワンカップ片手に、観客席から気楽な面持ちで後輩たちの雄姿を眺めていた。あれから1年も経たないうちに、誰がこんな未来を想像したというのだろうか。
 4年ぶりの現役復帰。ブランクは長く、体の衰えは隠せない。打ちどころが悪ければ今後の人生にも影響するだろう。都出は全神経を研ぎ澄ませながら、目の前に迫ってくるオールブラックスの巨体めがけて唸り声を上げながら飛び込んでいった。「何のためにここに戻ってきたのか」。そんなことを考える余裕など微塵もなかった。
 こんなにも乾いた時代に、これほど心を熱くして泣き笑いできる人生は最高に幸せだ。もう十分だ、これ以上見るのが辛い。そんなことを言ったら選手にぶっ飛ばされるだろう。オレたちはもっとやれる。まだまだ強くなれる。ラガッツの心はこれっぽっちも折れていない。
 だから、もう少し信じてみようと思う。気持ちが人間のすべてを司るのだと。どんなにボロボロな姿になって、笑われ、蔑まれようが、魂を持ったラガッツの男たちはかっこいい。いつまでもオレたちにとってのヒーローだ。必ず光は射す。

セコムラグビー部7:渡邊監督 監 督  渡邉 庸介
「きつさを楽しんで最後まであきらめずに戦う」
 前半、相手のペナルティを有効に使えなかったところと個々のタックルの悪さが反省点です。相手にいいようにつながれ、簡単に前進させてしまいました。アタックに関しては、WTBとFBを使った攻撃を考えていましたが、FBで起用した石橋がケガで退場するアクシデントもあり、準備していたことができませんでした。厳しいときこそ状況をタフに楽しんで、最後であきらめず「ONE TEAM」で戦うことに変わりはありません。

セコムラグビー部8:姫野主将 主 将  姫野 拓也
「この苦い経験を糧に次戦につなげられれば」
 すべての面で圧倒されてしまいました。NTTコミュニケーションズさんは強かったです。今シーズン、春から考えてもこれほどの相手と試合をしたことがなかったですし、普段なかなか相手を付けての練習をすることもできないので、この苦い経験を糧に次戦につなげられればと思います。チームが強くなるために、各自がやれることは全部やって、みんながもう1ランクレベルアップします。このままでは終われません。

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