SECOM RUGGUTs

2006年トップリーグ

●第1節
●第2節
●第3節
●第4節
●第5節
●第6節
●第7節
●第8節
●第9節
●第10節
●第11節
●第12節
●第13節


試合日程/結果

セコムラガッツ  24 日本IBMビッグブル− 27
トップリーグ 第13節 開催地 駒沢陸上競技場
開催日 2007年1月14日(日) キックオフ 12:01

駒沢の悲劇、来季トップリーグ自動降格決まる

ロスタイム執念の同点劇の先に待っていた試練のシナリオ

 手もとの時計の針は後半52分を差していた。日本IBMビックブルーが運命を託したキャプテンの右足が迷いなく振り抜かれる。ボールがゴールポストの間を抜けていき、高らかにホイッスルが鳴った。そして、間髪入れずにもう一度長い笛が鳴り響くと、グラウンドには勝者と敗者が生まれた。
 今年1年間、戦い続けた末の答えだった。無情にもセコムラガッツは敗者となった──。
セコムラグビー部1:IBM戦ボール争奪
キックオフ直後からボール争奪戦は激しさの一途を辿った【カメラ:姉崎秀樹】
セコムラグビー部2:IBM戦ディフェンス
この数試合で安定したディフェンス、前半は自陣でプレーさせなかった
セコムラグビー部3:IBM戦タアラ選手
NO.8セネ・タアラ、何人掛かりでタックルに来ても突き破っていった
セコムラグビー部4:IBM戦小池主将
主将の重圧に苦しんだSH小池善行だが、後半戦本来のキレが戻った
 1月14日、トップリーグ初開催の駒沢陸上競技場は、大変な試合を迎えていた。12位のラガッツと13位日本IBMの最終戦。お互いに勝てば入替戦へ望みをつなぐ。だが、負ければリーグからの自動降格が決まる一戦。
 前節でコカ・コーラウエストを下し、実に4ヶ月ぶりの白星を挙げたラガッツ。リーグ終盤に来てチーム状態は上向きだ。「仲間を信じろ。いいか、オレたちの背中にはチーム全員が付いてるんだ。絶対勝つぞ」(SH小池善行主将)。
 序盤からラガッツはゲームの主導権を握った。ボールを小気味よく動かして、IBM陣でプレーする時間帯が続く。先制は18分、ラインアウトからのサインプレー。今季何度も決めてきた[2]−[7]−[2]のリターンパスでHO安藤敬介がトライ。SO長井達哉のゴールも決まり7点を先行した。だが、この後風上を生かしてリードを拡げられなかったことが後々に響いてくる。「激しさとスピードが足りない。こんな大事なゲームに一体どうしたというんだ」(ウェイン・ラブヘッドコーチ)。
 ヘッドコーチの胸騒ぎは的中。前半終了間際のロスタイムには小さなミスから自陣に入られると、ワンチャンスでWTB櫻井崇将にトライを決められ、逆転されての折り返しとなった。後半に入ると流れは完全にIBM。11分、際どいタイミングでボールに働きかけたLOマアマ・モリティカがターンオーバーから独走しトライ。ラガッツもすぐさま、長井のPGで点差を詰めるが16分、かつてラガッツでプレーしていた高彰伸氏の弟、IBMのFB高忠伸主将がラインブレイクし、途中出場のWTBカール・テナナ。10−24、ラガッツは絶体絶命の状況に追い込まれた。
 「負けてから後悔しても遅いぞ」。バイスキャプテン・安藤の檄。FWが一つの塊となる。ここから強風下をもろともしないラガッツの逆襲が始まった。後半28分、相手ゴール前5mスクラムでNO.8セネ・タアラが突進。一度は防がれたが、直後のスクラムでは迷いなく、同じサインから抜け出すと相手SO阪元弘幸を弾き飛ばしゴールポスト真下にトライ。7点差に詰め寄る。
 その後も波状攻撃は続く。攻めるラガッツ、守るIBM。時計は37分、岩下眞一レフリーが第3タッチジャッジに残り時間を伝える。「まだあと9分あります、9分」。場内にロスタイム5分のアナウンスが流れた。
 敵陣ゴール前5mスクラム、三度タアラが咆哮し突っ込んでいく。体ごとインゴールになだれ込んだが、グランディング不十分。トライは認められない。ならばもう一度、タアラ4度目は逆サイドをえぐる。ここは捕まるもすぐにバックスへ展開、ライン全体で攻め上がる。WTB鈴木貴士が突っ込み、FB白藤友数へパスが通る。が、すんでのところでタッチ。時計は40分を回っていた。
 時間との戦い。ゴール前相手ボールのラインアウト。ここでLO生沼知裕がドンピシャのタイミングで跳んだ。ターンオーバー、マイボールをラックにし、外に開く。一番外で待っていたWTB石橋秀基がテナナのタックルを振り切り、執念でインゴールに飛び込んだ。トライだ。その差は2点、長井、緊張感の伝わるゴールキックを気持ちでねじ込む。24−24、同点。同点!
 土壇場でついに追いついた。スタンドは狂喜乱舞、興奮のるつぼと化していた。このままドローでも勝ち点で上回るラガッツは自動降格を回避できる。だが、まだ試合は終わらなかった。残り時間の使い方。ひたすらボールキープ、モールを組んで時間を使い逃げ切る。そんな選択肢もあっただろう。明らかなダイレクトタッチでボールを外に蹴り出すこともできた。だが「うちは受けに回って戦えるようなチームじゃない。常に全員で前に出なきゃいけないと思った」(小池主将)。
セコムラグビー部4:IBM戦石橋選手
ロスタイム42分、執念のトライを決めたのはWTB石橋秀基
セコムラグビー部6:IBM戦長井選手
夢を乗せた長井達哉の同点ゴールキック。この日は成功率100%
セコムラグビー部7:IBM戦祈り
リザーブ、交替選手、トレーナー、皆で肩を組みキックの成功を祈った
 リスクも伴うがどこからでも攻める姿勢を持ったスタイル。その一方でペナルティの少なさはリーグ2位。寝たままプレーしない。ラックで手を使わない。レフリーの見えないところなら何をやってもいいなどといった思想は微塵もない。そんな信念のもと、フェアプレーの精神を鍛えられてきたチームだ。逃げることも立派な兵法。しかし、露骨な沈黙よりもう1トライ。それがラガッツのラグビーだった。4トライ目を奪って、勝ち点5をめざす。選手たちは愚直なまでに、この「勝負」の決着を付けにいった。
 勢いの止まらないラガッツ、途中出場のLO堀越健介がビックゲイン。スコット・カウチ、川口和晃の両FLの運動量も落ちることなく縦横にグラウンドを駆け回る。SH小池主将がさばき、WTB鈴木貴が飛ぶようにゴールラインに迫る。だが、あと3m届かず。激しいボールの争奪戦の末、試合時間はついになくなった。49分すぎ、IBMはオープンサイドに展開。密集に絡んでラガッツはボールをターンオーバー。SH小池主将がパスアウト、SO長井が敵陣目掛けてキックを蹴る。低い弾道のキックがタッチライン際に落ちる。これがラインを割って試合は終了。
 そう思った瞬間、神のいたずらか。楕円球はワンバウンドしてグラウンドの内側に戻ってきた。IBMのLOモリティカが拾い逆サイドへ。長いパスをつないでいく。必死の形相で止めにいくラガッツの選手たち。ボールを持った選手が倒れ、密集ができる。ハーフウェイからラガッツ陣に少し入ったところ。岩下レフリーの右手が上がった。「オーバー・ザ・トップ(倒れこみ)」。最後の最後でラガッツは痛恨のペナルティを取られた。
 あまりにも残酷な結末。IBMの歓喜の輪ができる中、選手たちは信じられない現実の前でただ呆然と立ち尽くしていた──。
 試合が終わり、降格が決まり、今シーズンは幕を閉じた。部員たちはそれぞれの夜を過ごした。いくら飲んでも酔えない。酒を呷るたび頭が冴えてきて、目を閉じても、瞼の裏には最後のシーンが蘇ってくる。そんな夜だった。
 こんなとき、応援してくれる人たちの言葉は心に沁みた。ここで紹介しきれないくらいたくさんの言葉をいただいた。「私たちはトップリーグのチームだから応援してきたわけじゃない。ラガッツだからです」。そのひと言が、再出発への第一歩を踏み出す活力をくれた。
 「最後の1試合だけのことじゃない。これが今年1年間の結果。悔やんでも悔やみきれないけど、ここまで成長できた、この現実を忘れてはいけない。戦えるという気持ち。また1からのスタートなのではなく、ここ数年で築き上げたラガッツのラグビーを完成させる。土俵は違ってもトップリーグで戦えるチームを作って来年必ず帰ってくる。その気持ちを常に持って戦っていきたい」(小池主将)。
 幸いにもラガッツは他のチームよりも早くシーズンがスタートできる。春から夏までは、トップリーグも地域リーグも関係ない。どんどん胸を借りらればいい。公式戦が始まればトップイーストリーグ11で優勝し、東日本・関西・九州の3地域で争うトップチャレンジシリーズを1位で通過。トップリーグ復帰を決める。これにより、来季も同じシステムならば、日本選手権出場権を獲得できる。1回戦で学生トップチームの挑戦を跳ね返すことができれば、トップリーグ勢に挑むチャンスを得られるのだ。打倒・東芝、打倒・サントリーを掲げてこそ、2008年度に返り咲くトップリーグへの最高の挨拶状となるだろう。
 3年前、一度は味わった降格。下で戦うことの厳しさを知っているからこそ、これから先の道程はあまりにも遠く思えてしまう。だが、勇気を持てばなんだってできる。泣きたいときは気が済むまで泣けばいい。それでも、また新しい朝はやってくる。
 人生まだまだこれから。2007年、まだ来ぬ春に胸を張って出直しだ。
【文責=小谷たけし】
見出し
セコムラグビー部8:IBM戦選手セコムラグビー部9:IBM戦選手セコムラグビー部10:IBM戦選手セコムラグビー部11:IBM戦選手
セコムラグビー部12:IBM戦選手セコムラグビー部13:IBM戦選手セコムラグビー部14:IBM戦選手セコムラグビー部15:IBM戦選手
セコムラグビー部16:IBM戦選手セコムラグビー部17:IBM戦選手セコムラグビー部18:IBM戦選手セコムラグビー部19:IBM戦選手
セコムラガッツ   日本IBMビッグブル−
前半 後半 得点 前半 後半
1 2 T 1 2
1 2 G 1 2
0 1 PG 1 1
0 0 DG 0 0
7 17 10 17
24 合計 27
12 反則 11
セコムラガッツ アキ 日本IBMビッグブル−
トライ ゴール ペナルティゴール ドロップゴール プレーヤー ノート ポジション トライ ゴール ペナルティゴール ドロップゴール プレーヤー ノート
    山賀 敦之  (PR)     田辺 篤 
    安藤 敬介前18分 (HO)     作田 敏哉 
    千巖 和彦  (PR)     山口 泰生 
    沢口 高正  (LO)     小嶋 信哉 
    生沼 知裕  (LO)     マアマ モリティカ後11分
    川口 和晃  (FL)     伊藤 太進 
    スコット カウチ  (FL)     サイモン カスプロウィックス 
    セネ タアラ後28分 (NO8)     須田 康夫 
    小池 善行  (SH)     山中 俊幸 
    長井 達哉3/3,PG 1/1 10(SO)     阪元 弘幸2/2
    鈴木 貴士  11(WTB)     櫻井 崇将前41分
    姫野 拓也  12(CTB)     大松 真後36分シンビン
    今井 通  13(CTB)     徳永 伸太郎 
    石橋 秀基後42分 14(WTB)     畠山 健 
    白藤 友数  15(FB)     高 忠伸3/3,PG 2/2
    上野 進  16(R)     菅野 泰慎 
    田村 義和  17(R)     文原 俊和 
    堀越 健介  18(R)     南方 誠支 
    シオペ カペリ  19(R)     大島 慶 
    大野 達也  20(R)     塩谷 純司 
    升本 草原  21(R)     榮田 佑希 
    下瀬 央輔  22(R)     カール テナナ後16分
凡例
後半20分4.沢口 → 18.堀越 交替 前半26分3.山口 → 17.文原
後半25分2.安藤 → 16.上野 後半7分7.カスプロウィックス → 19.大島
3.千巖 → 17.田村 11.櫻井 → 22.テナナ
   後半21分4.小嶋 → 18.南方

ページトップへ戻る

SECOM 信頼される安心を、社会へ。 お問い合わせ セコムラグビー部