SECOM RUGGUTs

2006年トップリーグ

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試合日程/結果

セコムラガッツ  15 ヤマハ発動機ジュビロ  17
トップリーグ 第11節 開催地 ヤマハスタジアム
開催日 2006年12月23日(土) キックオフ 14:00

逃げた金星、ロスタイム、ラストワンプレーに泣く

ヤマハ発動機・堀川監督「セコムはまぎれもなく、トップリーグのチームだ」

 「オレが行く前と何も変わってないじゃないですか。こんなんで、本当に勝つ気あるんすか」。14日の練習後、ドーハアジア大会で金メダルを取って帰国したWTB鈴木貴士が選手全員の前で怒りを爆発させた。鈴木貴が不在の間、ラガッツはリコーに敗れた。崖っぷちに追い込まれてなお、緊張感が表に出てこない、一つになりきれないチームに苛立ちが募った。
セコムラグビー部1:ヤマハ戦今井選手
相手をギリギリまで引き付けてラストパスを放ったCTB今井通の職人芸【カメラ:姉崎秀樹】
セコムラグビー部2:ヤマハ戦喜ぶ選手たち
セットプレーからの鮮やかな先制トライに喜びを爆発させる選手たち
セコムラグビー部3:ヤマハ戦姫野選手
ビックタックルを連発したCTB姫野拓也、パスでも幾多のチャンスを演出
 気持ちを整理できないまま、チームは福岡サニックス戦を僅差で落とす。「あの負けで、一気に緊迫した空気になった。吹っ切れたし、今年一番の練習ができたと思う」(HO上野進)。ついケガの心配をしてしまうような激しく激しいタックル練習が連日、日が落ちたグラウンドで繰り返された。
 追い込まれたラガッツの再生。試合前日のミーティングで、今季初めてメンバー入りしたベテランPRの竹内基詔が皆に覚悟を問う。トップリーグ初年度に、ラガッツがNECを倒したときの試合前、同じようにLOイノケ・アフェアキが話した言葉を引用し「野獣が動物を、餌を狩るように敵に向かっていこう。みんなで野獣になろう。そして勝とう」(竹内)。
 獣(けだもの)になった選手たち。ラガッツは今季、ずっと見たかったラグビーをようやくグラウンドで体現してくれた。これを見たら、お客さんは皆ファンになる。そう自負できる魅力的なラグビー。しつこく相手に突き刺さり、接点でボールを奪い返す。グラウンドを広く使って、FW・バックスが一体になって前へ出る。気持ちが伝わる、闘志が全面にあふれ出るプレーを披露した。
 そして前半8分、鮮やかなトライが生まれる。敵陣のスクラムからサインプレー。左へ展開し、きれいに外に一人余らせて、WTB鈴木貴がインゴールを陥れた。「練習でもなかなか成功しなかったプレー。全員の集中力が勝った」(CTB姫野拓也)。先制した後は相手ペースの時間帯。ゴールラインを背負ったプレーが続くが、FLスコット・カウチ、川口和晃が激しいディフェンスで応戦。ボールキープを許さない。
 しかし28分、ラガッツに大きな危機が訪れる。PR千巌和彦がレイトチャージのペナルティでシンビン。ここからの10分間を14人での戦いを強いられることになった。このピンチにラガッツはFL川口を一旦下げ、PRに竹内を投入した。
 今季公式戦はおろか、オープン戦すら出場はサテライトリーグの3戦だけ。かつては不動の3番として10年近くラガッツの生命線であるスクラムを支えてきた職人も「不安はあった」と話す入替すぐのゴール前スクラム。7人で組んだスクラムは完璧なヒットを見せる。びくともしない固いパックにヤマハ発動機はやむなくバックスへボールを展開。相手CTBの大田尾竜彦に、姫野が渾身のタックルで突き刺さる。ノットリリースザボールのペナルティ、ピンチを脱した。
 「自分が入ってチームのパフォーマンスが落ちないように。それだけだね。まとめようとかそういうことは意識しなかった。もう試合に出られる、出られないで練習に対する取り組みが変わる年でもないし。年齢的にもそういう時期を越えたからね。あの場面、いいスクラムが組めてよかった」(竹内)。
 一人少ない10分間をしのぎ切ったラガッツ。しかし、直後の前半終了間際に痛恨のトライを許し5−7とリードされての折り返しとなった。「我々は磐田に勝負しにきたんだ。あと40分、勝つか、負けるかはファイト、ガッツ、ハート。前へ出ろ。下がるな。後ろを向くな」(ウェイン・ラブヘッドコーチ)。ここまで来たらもう気持ちだけ。勝利だけを目指して後半戦の火ぶたが切られる。
セコムラグビー部4:ヤマハ戦川口選手
FL川口和晃はカバーディフェンス、ルーズボールへの働きかけでも貢献した
セコムラグビー部4:ヤマハ戦白藤選手
プレッシャーの掛かる中でもまれ、日に日に成長が見て取れるFB白藤友数
セコムラグビー部5:ヤマハ戦上野選手
得意のフィールドプレーが光るHO上野進、「チームに勢いをつけられるように」
 8分、ミスからトライを奪われ5−14とリードされるが、そこからギアチェンジ。12分、自陣でターンオーバー。LO沢口高正が独走。フォローしたカウチへラストパスを放るも、相手SH佐藤貴志の指に阻まれる。しかし、そこで得たペナルティからタッチに蹴り出し、ラインアウトから攻める。
 FLカウチ、NO.8セネ・タアラ、SH小池主将が縦にラッシュ。さらにラックからタアラが持ち込みゴール下へトライ。長井達哉のゴール決まり12−14と再び2点差に迫った。ラガッツの猛攻は止まらない。25分すぎ、タアラの突進、あと一歩届かないも、小池から大外の石橋秀基へパス。インゴールにボールを付いたかに見えたがすんでのところでタッチ。さらに逆サイドの鈴木貴が巧みなステップワークでラインを切り裂く。相手を敵陣ゴール前に釘付けにして攻め立てた。
 そしてついに35分、ラガッツの波状攻撃に堪えきれず、ヤマハ発動機はゴール正面でペナルティを犯す。長井がPGを決め15―14。とうとうゲームをひっくり返した。「今の順位は関係ない。セコムはまぎれもなくトップリーグのチーム。100%の力を出されたらこういうこともあり得る」(ヤマハ発動機ジュビロ・堀川隆延監督)。
 試合はロスタイムに突入。42分には自陣ゴール前で痛恨のペナルティを取られ、万事休す。しかし、このイージーなPGをなんとヤマハ発動機の名キッカー、ネイサン・ウィリアムスが失敗。奇跡が起きた。勝利まであとラスト1分。22mライン上からのドロップアウト。焦る相手の攻撃を必死に止め続けるラガッツ。
 そして、最後の場面。ヤマハ発動機はゴール前ラックから右へ展開。ウィリアムスがDGを狙ってくる。チャージに行く選手たち。プレッシャーに負け、キックは右に逸れ失敗。平林泰三レフリーが口に笛をあてる。「ピー」という長い音。高々と上がった手。ノーサイドか、と思ったがその笛は、残酷にも直前のプレーにおけるラガッツ、オフサイドのペナルティだった。
 ゴール真正面、静まり返ったヤマハスタジアム。今度は慎重にウィリアムスがPGを決める。15−17、そして──、試合終了を告げる笛は歓声と悲鳴でかき消されていった。
 選手たちがグラウンドに崩れ落ちた。唇を震わせる者、頭を垂れる者。それでもラガッツは、ようやく自分たちのラグビーを取り戻してくれた。「負けたことは本当に悔しい。でも、失いかけていた自信、プライドを最後まで持てた試合。ノンメンバーも本気で大声出して応援してくれて。今シーズン初めてのことだと思う。ここにきて、チームが一つになれた。とにかく、勝って残留するしかないと、皆が本気で思えた」(PR山賀敦之)。
 連敗は10に伸びたが、次につながる敗戦だった。まだ自力で自動降格を回避できる位置にいる。他チームの結果次第では、入替戦すら免れることのできる10位浮上も可能だ。
 「こういうゲームができれば、残り試合は勝てるだろうけど、ビデオを見返してもミスばかり。何より勝てなかったのは自分たちの弱さ。まだまだあんなもんじゃない。もう降格だって思っているファンもいると思うけど、残り2戦もっともっといいラグビーをして勝つ。1年間の感謝を込めて、社員の皆さんへ新年の挨拶のつもりで体張って戦いたい」(石橋)。
 試合後の記者会見でヤマハ発動機の木曽一主将は「たくさんのファンの前でプレーができて幸せです」と話した。それはラガッツとて同じこと。トップリーグにいるからこそ、これだけの観衆の前で、素晴らしいスタジアムでラグビーをすることができる。失ってはいけない自分たちの居場所だ。
 守りたいもの、手に入れたいものは自分たちの手で掴み取るしかない。年明け2戦、昇格組を圧倒して「残留」を勝ち取るためにはチーム全員の燃えたぎる熱き魂、それだけだ。
【文責=小谷たけし】
セコムラガッツ   ヤマハ発動機ジュビロ
前半 後半 得点 前半 後半
1 1 T 1 1
0 1 G 1 1
0 1 PG 0 1
0 0 DG 0 0
5 10 7 10
15 合計 17
10 反則 11
セコムラガッツ アキ ヤマハ発動機ジュビロ
トライ ゴール ペナルティゴール ドロップゴール プレーヤー ノート ポジション トライ ゴール ペナルティゴール ドロップゴール プレーヤー ノート
    山賀 敦之  (PR)     中越 将通 
    安藤 敬介  (HO)     古川 新一 
    千巖 和彦前28分シンビン (PR)     山村 亮 
    沢口 高正  (LO)     坂本 一哉 
    生沼 知裕  (LO)     勝又 貴光 
    川口 和晃  (FL)     ジェフリー マカ前41分
    スコット カウチ  (FL)     串田 義和 
    セネ タアラ後16分 (NO8)     木曽 一 
    小池 善行  (SH)     佐藤 貴志 
    長井 達哉1/2,PG 1/2 10(SO)     大西 将太郎 
    鈴木 貴士前8分 11(WTB)     辻井 厚之 
    姫野 拓也  12(CTB)     大田尾 竜彦 
    今井 通  13(CTB)     守屋 篤 
    石橋 秀基  14(WTB)     永本 宗秀後8分
    白藤 友数  15(FB)     ネイサン ウィリアムス2/2,PG 1/2,DG 0/1
    上野 進  16(R)     米倉 隆之 
    竹内 基詔  17(R)     高木 重保 
    小松 元気  18(R)     イポリト フェヌキタウ 
    岡本 信児  19(R)     石神 勝 
    大野 達也  20(R)     三角 公志 
    小原 義巧  21(R)     ブレンダン レーニーDG 0/1
    下瀬 央輔  22(R)     中垣 裕介 
凡例
前半28分6.川口 → 17.竹内
(前半38分まで入替出場)
交替 後半0分1.中越 → 17.高木
後半7分2.安藤 → 16.上野 6.マカ → 18.フェヌキタウ
   後半22分18.フェヌキタウ → 21.レーニー
   13.守屋 → 19.石神
   後半35分2.古川 → 16.米倉
   11.辻井 → 22.中垣

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