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2006年トップリーグ

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試合日程/結果

セコムラガッツ  17 東芝ブレイブルーパス  45
トップリーグ 第4節 開催地 秩父宮ラグビー場
開催日 2006年9月30日(土) キックオフ 15:01

スタンドの大歓声鳴り止まず、最後は力の差に屈す

圧巻は後半25分、チームの総力を懸けて奪った鈴木貴士のミラクルトライ

 秩父宮、ひいき目なしに今年一番の大歓声はラガッツに贈られた。東京初見参のラガッツ。王者・東芝を敵に回してFWは80分間、相手の膝下へ刺さり続けた。バックスはボールを散らして、今季鉄壁を誇った狼軍団の美しいラインを凸凹に歪ませた。「ノンプレッシャーだからな。出し切るぞ」(小池善行主将)。不可能を可能に変える戦い。9月30日、逆境に燃えた男たちの80分間回顧録。
セコムラグビー部1:及川選手
巨漢FWに真っ向からぶつかっていくCTB及川英典。激しいプレーでノックオンを誘う【カメラ:姉崎秀樹】
セコムラグビー部2:渡邉選手
セットプレーにこだわりを見せたFL渡邉庸介。ハードタックルを連発し、相手の前進を許さず
 トップリーグ三連覇に死角なし。王者の風格を漂わせる東芝。スタメン15人中、日本代表経験者が9人。NZ代表にトンガ代表まで揃えた顔ぶれ。ここまで危なげなく開幕3連勝と、威圧感たっぷりの優勝候補最右翼だ。ラガッツは、キックオフと同時に猛然と襲い掛かった。2分、CTB及川英典が挨拶代わりに巨漢LO、ルアタンギ・侍バツベイに刺さる。弾き飛ばされながらも必死で喰い付くと、たまらずバツベイは落球。SOリチャード・アパヌイがこぼれ球を拾いハイパントを上げ、WTB石橋秀基を走らせる。
 さらに4分。ゴール前で好機到来。SH小池−SOアパヌイとつなぎ、最後は石橋がタックラーもろともインゴールに飛び込んだ。先制トライ、と思われたが惜しくもノックオンでスコアならず。14分に先制こそ許すが、鍛え上げたスクラムは微動だにせず。相手自慢のドライビングモールを押さえ込み、簡単に前進を許さない。「対東芝戦用のモール対策を重ねてきた。秘策も用意してあった」(FL渡邉庸介)。
 元々アタックには定評のあるチーム。セットが安定し、ディフェンスが充実すれば、国内のどのチームとやってもまともな試合ができるだろう。王者のワンサイドゲームを予想していた観衆も、息を呑む試合展開に、徐々にゲームへ引きずり込まれていった。(まさか、セコムは本気で東芝を倒すつもりなのか)。
 30分、敵陣に入ったところで得たペナルティ。アパヌイが迷わずゴールを狙う。ゴール右から直線距離で40mのキック。ボールは放物線を描きながら、ど真ん中を通り成功。3−7と追い上げ前半残り10分を迎えると、東芝はたまらずメンバー交代。予定時間よりも大幅に早く、日本代表主将の大野均をグラウンドに引きずり出した。
 「前半40分で見せてくれたFWのSTRONG MIND(強い気持ち)、STRONG HEART(強いハート)を誇りに思う。後半初めの15分が勝負だ」(ジョニー・シュースターコーチ)。チャンスが来た。終了間際に東芝、伝家の宝刀・モールでトライこそ奪われたが、わずか9点のビハインドで折り返し。刺され、刺され。相手は簡単に足が止まるぞ。熱いカラダと、一方でクールな頭。「来るぞ、後半。東芝は目の色変えてくるぞ。絶対に気持ちで負けるな」(HO安藤敬介)。
セコムラグビー部3:沢口選手
開幕から好調のLO沢口高正、得意の空中戦だけでなく柔らかいステップでゴールラインへ迫る
セコムラグビー部4:長井選手
攻守に存在感を発揮するFB長井達哉は、ラガッツのダイナミックなラグビーの生命線
セコムラグビー部5:カウチ選手
FLスコット・カウチのフィジカルの強さは随一。昨季トライ王、セネ・タアラの穴を感じさせない活躍
 残り40分、キックオフ。気合いを入れ直した王者が牙をむく。前半、徹底的に封じ込めていたトップリーグNO. 1のインサイドCTB、スコット・マクラウドが止まらない。後半から入った秘密兵器、WTBシオネ・ケプへのタックルもことごとく外される。「体は向かって行こうとしても、フィジカルの強さが違った。モールもしっかり修正されていて、崩しきれなかった」(渡邉)。
 2分、11分、13分。立て続けにトライを奪われ、勝利が遠のいていく。「攻めに行ってのミスだから責められないが、結局は練習でのこだわりの足りなさが招いたもの」(小池)。とうとう30点差。勝負は決まった、かに見えた。
 しかし、ラガッツは諦めてはいなかった。集中力の切れないタックル、タックル。またタックル。鈍い音を響かせながら勢いづいた相手の出足を寸断する。数少ない東芝の守備のほころびに付け込んだ後半20分。ペナルティからの速攻で、WTB鈴木貴士がようやく初トライを挙げるとスタンドは大歓声に包まれる。
 そして、圧巻は直後の23分。初トライを奪われ波状攻撃に転じる東芝に攻め込まれるが、途中出場のCTB今井通が決死のディフェンスでターンオーバー。ラックから鈴木学がボールを出すと、小池主将が魅せた。インゴール内からキックを蹴らず、二人を抜いて一気に攻め上がる。「逃げてばかりじゃ、勝利は呼び込めない」(小池主将)。大外の石橋につなぎ、さらに前進。ラックから球が出たときには、東芝のラインディフェンスはガタガタに崩れていた。
 この場面、相手の意識が外に行ったのを見たCTB升本草原は、自ら内へと切れ込み2人、3人と交わし独走。非凡なセンスを発揮する。しかし、一度抜かれても戻りの早い東芝は、日本代表のWTBナタニエラ・オトが強烈なタックルを見舞うと、升本からボールを奪い取り、今度はケプが持ち出し、再びゴール前まで運ばれる。ラガッツも今井が返って、またターンオーバー。FL渡邉からWTB石橋とつなぎ三度、前進を図る。
 めまぐるしくボールが動く展開。一連のプレーに終止符を打ったのはラガッツ総力を結集したトライだった。ハーフウェイ付近のラックから小池主将がボールを受けるが、もはやラインに誰も残っていない手詰まり状態。小池主将は、もうここしかないという相手ゴール前へ絶妙なキックパスを上げ、快足の鈴木貴を走らせる。ヨーイドンでスタートを切った鈴木貴はものすごい速さでディフェンスラインを追い越し、ボールの落下地点へひた走る。ワンバウンドしたボールは、意思を持ったかのようにすっぽりとその胸に収まり、そのままインゴールを駆け抜けた──。
 割れんばかりの大歓声。キック一つで人の心を動かすアパヌイの、難しい角度のコンバージョンが決まり17−33。ザワザワと身の毛のよだつ快感が突き抜けた。何かが起こる。スタンドの空気を完全にラガッツが支配した。今季のトップリーグでこれほどまでに、スタンドが沸いたゲームがあったろうか。観衆の反応こそがラガッツのラグビーが受け入れられた何よりの証だった。
セコムラグビー部6:千巖選手
FWの健闘がそのままゲームを引き締めた。体も一回り大きくなって頼もしさが増したPR千巌和彦
 だが、これがこの日のチャレンジの限界だった。残り10分。東芝に突き放され最終スコアは完敗。王者を存分に慌てさせたが、奇跡は起こせなかった。試合後の会見で、東芝の薫田真広監督。「セコムはディフェンスが前に出てこないスタイルなので、余裕を持ってスペースを使えると思っていたが・・・。途中、気持ちが切れる場面があったので、シオネとマクラウドの2枚を使ってしのいだ」と、計算外の展開に終始苦虫を噛み潰した表情。冨岡鉄平主将は「常にディフェンスラインを整備して、網を張ってオーバーラップを作る、というのができない時間帯もあった」とラガッツのアタックに崩された部分を認めた。
 健闘、この結果に選手たちは。新人ながら開幕から4戦連続出場、評価を上げ続けているCTBの升本。「マクラウドにやられました。あそこを止めるのが自分の仕事だったのに。強さもあるけど巧い。止めてやろうと気負って、自分が少し前に出すぎた一瞬を狙われてブレイクされた。FWががんばっていただけに悔しいです」。
 ここまでの自分の出来については「コーチからチャンスをもらっているという認識。いつ落とされるかわからない緊張感が常にあります。元々SOなので、小池さんからいつも言われるのはリッチ(アパヌイ)がラックに入っていなくなったときは、お前がコントロールしろと。次戦のサントリーは自分の同期選手が注目されてますけど、あまりにも騒がれすぎ。次もメンバーに選ばれたら、チームの勝利に貢献したいです」(升本)。
 そして、もう一人。4年目で初のファーストジャージー、FL川口和晃。「とにかく今までがんばってきてよかった。リザーブからだったので、出たら思い切りやろうと。あまり緊張はしなかった。東芝が強いと全然思わなかったし、敗因は自分たちのミスによる自滅」。開幕からめざすラグビーを形にしてきたラガッツ。大観衆を前にした王者への挑戦で、その自信はより一層深まった。
 「もはやトップリーグのどのチームも、我々を軽視することはできなくなった」(ウェイン・ラブヘッドコーチ)。日々の練習の強度を上げ、持ちえる力を出し切れば、番狂わせは必ず起こせる。
 それは、そう遠くない将来にやってくる。
【文責=小谷たけし】
セコムラガッツ   東芝ブレイブルーパス
前半 後半 得点 前半 後半
0 2 T 2 5
0 2 G 1 4
1 0 PG 0 0
0 0 DG 0 0
3 14 12 33
17 合計 45
17 反則 6
セコムラガッツ アキ 東芝ブレイブルーパス
トライ ゴール ペナルティゴール ドロップゴール プレーヤー ノート ポジション トライ ゴール ペナルティゴール ドロップゴール プレーヤー ノート
    山賀 敦之  (PR)     高橋 寛 
    安藤 敬介  (HO)     松尾 大樹 
    千巖 和彦  (PR)     櫻井 寿貴 
    沢口 高正  (LO)     石澤 健太郎 
    鈴木 学  (LO)     ルアタンギ 侍バツベイ前37,後2分
    渡邉 庸介  (FL)     渡邉 泰憲 
    スコット カウチ  (FL)     中居 智昭 
    堀越 健介  (NO8)     ニコラス ホルテン 
    小池 善行  (SH)     伊藤 護 
    リチャード アパヌイ2/2,PG1/1 10(SO)     吉田 大樹前14分,5/7
    鈴木 貴士後20,25分 11(WTB)     ナタニエラ オト後31分
    升本 草原  12(CTB)     スコット マクラウド後40分
    及川 英典  13(CTB)     冨岡 鉄平 
    石橋 秀基  14(WTB)     廣瀬 俊朗後11,13分
    長井 達哉  15(FB)     立川 剛士 
    上野 進  16(R)     猪口 拓 
    石塚 陽介  17(R)     笠井 建志 
    生沼 知裕  18(R)     横山 恒雄 
    川口 和晃  19(R)     大野 均 
    大野 達也  20(R)     吉田 朋生 
    今井 通  21(R)     シオネ ケプ後34分
    ジェームズ リチャーズ  22(R)     鄭 晃彰 
凡例
後半15分13.及川 → 21.今井 交替 前半10分15.立川 → 22.鄭
後半21分2.安藤 → 16.上野 前半35分4.石澤 → 19.大野
8.堀越 → 19.川口 後半0分8.ホルテン → 18.横山
後半26分3.千巖 → 17.石塚 22.鄭 → 21.ケプ
後半35分10.アパヌイ → 22.リチャーズ 後半22分3.櫻井 → 17.笠井
後半36分4.沢口 → 18.生沼 後半35分2.松尾 → 16.猪口

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